間を開けるとトーンが変わりましたが、まあいいや。
ノックはネタメモにすればいいのに文にしようとしたので妙なことになりました。
もしこのネタをまとめるならロボの登場辺ざっくざっく切って変えるな。
…などと思いながら続きです。そろそろ書きたい部分に入りたい。
サムはディーンをしばらく待たせた後、
「これ飲んで」
と奇妙な薬を持ってきた。
「助かるかも」
とサムは言ったが、ただのヴァンパイア用の毒薬だったのかもしれない。
それでもいいが苦しすぎる。一思いに首を切られた方がよほど楽だった。
耐え切れなくなって床に倒れる。
視界の中に横向きにサムが見えた。こちらに向かって膝をつく。眉をひそめてこちらを見つめるのが何となく意外だった。
「大丈夫だディーン」
「まだ人の血を飲んでなければ」
「……の言う通りなら」
「試したことは無いんだけど」
何か言っている声は耳を通り過ぎていく。
吐くものが無くなっても内臓は痙攣を続け、一滴でも外に出そうとするかのように、口は開いたま間動かない。
ディーンは埃っぽい床の上でのたうち、よだれをたらしながらひきつったうめき声を上げた。
だが、何度か七転八倒を繰り返すうちに、苦痛の波が弱くなってくる。ついには胃の痙攣も身体の痛みも全て消えた。
と、サムにもわかったようで腕を掴んで起こされた。
「上手く行ったみたいだね」
「…」
朦朧としたディーンが応えずにいても、サムは気にした様子もない。
「まだ血を飲む前だったから、ヴァンパイアから人間に戻れたんだ」
「…初めて聞くぞそんな話」
「僕もだよ」
わけがわからないまま座りこむ。
「サミュエルが教えてくれたんだけどね。餞別にくれてやるって」
「へえ。えらい物知りだ。ハンターか」
「僕たちの爺さんだよ。マムの父親」
「………幽霊か」
「ううん。生き返ったんだって。僕と同じで」
「………」
「しばらく一緒に狩をしてたんだけど、僕が何だかおかしいからもう組むのは嫌なんだってさ」
「………」
「で、ディーンがヴァンパイアになってしまった話をしたら、薬をやるからもう出ていけって」
「………」
ディーンは座ったまま頭を抱えた。
「…つまり、とっくの昔に死んだはずのその爺とは、縁が切れたってことなんだな」
「そうなるね」
「…………」
狩を離れて大分経つ自分が考えても、祖父が普通に生き返るはずもない。
サムは自分と同じと言ったが、地獄の穴に落ちたのがすぐ地上に戻ったというのと、何十年も前の死人とを一緒にするのがそもそもおかしい。
普通に考えれば騙りか魔物なのだが、もう縁が切れたというのならばけっこうなことで、逆にそんな得体のしれない爺に「おかしいから出ていけ」と言われる今のサムなわけだ。
「じゃあ次は僕だ」
また唐突にサムが言うので、ディーンはのろのろと顔を上げる。
「なんだ」
「聖水の場所教えて」
「ああ」
ディーンが顎をしゃくると、サムは心得たように戸棚から聖水のボトルを取り出し、それを飲んでみせた。
「悪魔じゃないって納得した?」
「まあな」
先ほど腕を切った刃物が銀製だったので、シェイプシフターでもないのも分かっている。
「本物だな」
「そうだよ」
言いながらサムがディーンの肩を支えて引き戻す。また床に倒れそうになっていたディーンはぐるぐるする頭を押さえた。
「戻れて良かったなサミー」
「うん、ディーンもね」
言われて頷く。色々気になることはあるが、お互いこうして生きているのは良かったと言っていい。次第にじわじわと実感がわいてくる。
「それでさ、ディーン」
「ん」
「本物と分かったから、ここに来てもいい?」
「………」
また頭の追いつかない展開になる。
ちなみに色々投げやりになっていたディーンの住処は、モーテルのツインどころではない、思いきり狭いまさに寝るだけの部屋だった。
・・・・
日付越えちゃった。
今日はここまで。
先にお礼をしようと思ったのにうっかりネタに入り手間取ってしまいました。