年末ですねー。
皆様お忙しくお過ごしでしょうか。
冬の祭典に参加の方もいらっしゃいますよね。お疲れさまでございます\(^o^)/
年末までのもう一本くらい上げとこう。昨日から頭に浮かんでるバンカー勤務してるmol兄弟小ネタ。
バンカーの外は雪が積もり始めているようだった。
「中にいると全然わからないね」
数日前にはタイヤの心配をしていたサムだったが、今日はコーヒーカップを片手にのんびりしている。それもそのはずで、MOLの拠点の番をしている二人にはクリスマスも新年も通して持ち場に詰めているように指示があったからだ。当分車の運転をする予定はない。
「そうだな」
答えるディーンは実家からの荷物に入っていた雑誌をぱらぱらと見ている。
拠点から移動することはできないが、待機以外の任務もないので何をするかは自由だった。
「あ、この包みパンかと思ってたらシュトーレンだった」
実家から送られてきた差し入れの箱を掻き回していたサムがしまった、と声を上げる。クリスマスシーズンに少しずつ食べるようにと送られていたものらしい。
「そういえば去年あたりから母さんが凝ってたな」
ウィンチェスター家には色々としきたりがあるが、台所に関しては完全にメアリ―の采配下にある。ある年は巨大なサーモンパイが焼かれたし、ある年は大鍋一杯のタンシチューがクリスマスシーズンのメイン料理だった。
「これって兄さんと二人だからいいけど、一人勤務だったらかなり寂しい過ごし方だよね」
サムがさっそくシュトーレンを切りながら言うのに、ディーンは小さく苦笑した。
そう、年末近くなって帰宅の可否を上層部に問い合わせた時は、二人してしばらく沈黙した。
父ジョンはともかくメアリ―も寂しかったようで、穴埋めとばかりに先月から色とりどりのクッキーやターキーが次々に贈られてきている。おかげで最近の二人の食生活は、朝がクッキー、昼がクッキーとハム、夜がクッキーとハムとターキーだ。
新年までこの調子ではさすがにまずいと、二人は交代でバンカー内の運動スペースを使うようにしていた。
「まあ、読書がはかどる」
ディーンが呟いてまた雑誌に目を落とすが、えええ、とサムが声を上げる。
「せめて年越しは一緒にテレビでも見ようよ」
差し出されたシュトーレンを受け取り、少し齧る。母が作ったのか、買ったのかどちらだろう。
「わかった」
そう言うとサムがほっとしたように笑う。
「だが大して面白い番組もないだろう」
「なら映画でもいいよ」
「DVDでもあるといいがな」
「書庫にあったよ。古い映画が多いけど」
「じゃあそうするか」
視線があって何となく笑った。
これだからハンター達から温室育ちと揶揄されるのかもしれないが、がサンクスギビングやクリスマスを実家で過ごさないのは二人とも初めてだったのだ。
「警察官は大変だね」
「病院もな」
天井近くにある窓を見上げながら話す。
単調で静かな基地の勤務はまだ当分続くはずだった。
年末だというのに何の山も無いまま終わるしかない。
皆様寒い日が続きますがどうぞよいお年を~
[14回]
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