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海外ドラマの超常現象の兄弟(SD)を中心に、頭の中にほわほわ浮かぶ楽しいことをつぶやく日記です。 二次創作、BL等に流れることも多々ありますので嫌いな方は閲覧をご遠慮くださいませ。
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腕の中で自由におなり2 (SD兄弟呪そーしつ編)

どどどと長くなったお気軽きおくそーしつ企画の続き。長いけどお気軽アホ話。
ボビーおじさんに悩んでもらったら、さくさく進みました。ありがと、ボビー。




一ヶ月ほど経ったが、ディーンの記憶は戻らない。
少しずつ狩に出るようにはなったようだが、サムはまだ安全を優先するべきだと主張して、やりかけのもの以外、新しい狩をしようとはしなかった。

「どうだ、調子は」
サムが呪われている真っ最中だというのに、頼りのディーンが記憶喪失では、さすがにボビーも心配だ。実は『ディーンが戻るまでうちに来い』と言ったのだが、サムが『そこまで迷惑かけられないよ』と頑として断ってきた。仕方がないので、ちょくちょく様子を覗きに来ている。


長期滞在になってきたモーテルの駐車場で、ディーンはインパラの下に潜り、整備をしているようだった。ボビーの声に気付くと出てくる。
「体は絶好調。頭は相変わらずだけどな」
「車の整備は覚えてたのか」
「うーん、なんとなくな。サムも車関係はよくわかんねーって言うから、いじってみてる」
「どれ、見せてみろ」
「え、ボビー、車詳しいのか?」
「馬鹿もん、俺の商売だ」
忘れてるから仕方が無いとはいえ、プロに向かって何事だ。
「そうなのか」
顔全体で「すげえ!」を表現し、ディーンは目をキラキラさせる。こう新鮮に感動をストレートに表されると、悪い気はしない。
気をよくしたボビーは、様子を聞く傍ら、整備についていくつか教えてやることにした。

「サムとはうまくやってるか?」
作業をしながらさりげなく聞いてみる。
と、ディーンが周囲をうかがった。
「あんたに聞きたいと思ってたんだ」
声を潜めて聞いてくる。ボビーは(なんだ?)と視線で促した。

「サムってさ・・・俺がこうなる前から、あんなに口うるさかったか?」
言われてうーむとボビーは考える。
「確かにお前が色々無茶すると、サムはよく小言を言っていたがな」
「無茶って『仕事』でか?」
「・・・俺も一部しか知らんが、まあ生活態度とかな」
「そっか・・・もとからそうなのか・・・」
心なしかがっくりと肩を落としている。
「こんなになる前は、いくら兄貴でも、ここまで干渉させてなかったんじゃないかな、と思ったんだがもとからそういう兄弟だったか・・・・」
「いや・・言ってもお前は聞き流してた感じだったぞ」
なんだか思いつめている様子に、思わず慰めてやってしまう。途端、
「ほんとか!?」
ディーンがガバッと顔を上げた。
「そうだよなあ・・・いくら多少パーになったからって、いい大人だもんなあ・・・」
「・・・一体どうしたんだ」
聞きたくないが聞いてやる。『兄』として振舞うサムに毎日ブチ切れるディーンの愚痴に付き合うのも大変だったが、今のディーンはストレス発散すら出来ずに溜め込んでいる感じだ。

「やたらと距離が近くて、歩くとぶつかるくらいなんだ」
「・・ああ」
お前ら兄弟、確かにもとからそうだ。
「今の俺は危なっかしい、とか言ってどこにでもついてくるし」
「ふむ…」
確かに、彼らは悪魔からも天使からもお呼びのかかる稀有な立場ではある。
「俺がまあ、あいつの言う通りにしてる時はすごく穏やかなんだけどさ、違うことしようとすると、すっげえ目付きになってべらべら色んなこと言って脅されるしさ…。あー、そうだハンターの常識として、ひっついてる必要性とか、効果とかってあるのか?」
「引っ付く?どこにだ」
「・・ひ・膝に乗せようとすんだけど」
「・・・・」
誰が何をだ。いや、言うな。聞きたくない。
「防御とか魔物絡みの効果とか…」

「無い」

これはきっぱり言えた。たとえお前ら兄弟が膝だっこで毎日過ごしてたとしても、ジョンが草場の陰で泣く、いや化けてでるからボビーおじさんはこの際止めるぞ。

「ディーン。奴の膝に乗らなくても誰も困らない。気色悪いと思ったら、遠慮なく断れ」
「わかった。誰も困らないなら、いいわけだ」
ディーンはよほど思い悩んでたのか、晴れ晴れしている。
モーテルに弟(兄)を閉じこめて何をやってるんだサミュエル・ウィンチェスター。
しかしながら記憶のないディーンを、今守っているのは確かにサムなので、ディーンがあまりに不信感を持つのも困る。
「ディーン、いいか。サムはお前の兄弟で、ただ一人の家族だ。奴が言う色々は、煩いだろうが、基本的に奴がお前を守ろうとしてるのは分かってやれ」
膝だっこは除いてな。
ボビーは心の中で付け足した。



ボビーが帰った後、大分気が楽になったディーンは鼻唄混じりに部屋にもどる。
ふと振り返ると、突然至近距離にトレンチコートを着た男が立っていた。
「うわ!」
思わず声をたてると
「どうした」
間髪入れず、サムが飛び込んで来る。無意識にだがディーンはホッとした。その様子を正確に見取ったサムが満足そうに口を歪めたことまでは気付かない。
「なんだキャスか」
飛び込んで来たサムは、陰気そうな男を見て警戒を解く。
「知り合いか?」
「私は天使だ」
「へー」
「一応、本物だからね」
サムが口を挟む。
そして天使とディーンの間にぐいぐいと入った。
「ディーンを治しに来てくれたの?」
「ディーンでも君でも、今の私では治癒の力が足りない」
「肝心なところでいつも役に立たないなあ」
自分も対象になっていることはスルーだ。
「いいのか天使にそんなこと言って」
ディーンが思わず口を挟むと二人が一斉に振り向いた。
「・・・君の口からそんな言葉がでるとは意外だ」
「今ディーン記憶がないからね。で、何しに来たの?」
再度サムが問い掛けると、天使が無表情に小さな護符をディーンに差し出した。
「持っておけ。悪魔の干渉を防ぐ。今の君には必要だろう」
サムの後ろから手を出しかけて、ディーンはふと戸惑う。天使自らアイテムを持ってきてくれるとはファンタスティックだが、ホイホイもらっていいもんなのか?よくサムが脅かす『代償』の要求は、天使はしないのか?
ちらりとサムを見ると、にこっと笑って頷かれた。
ディーンは安心しかけ、はたと『兄にお伺いをたてた』自分にムカついた。
「俺がこれを受け取ると、何か代償を払うことになるのか?」
なので直接暗い顔の『天使』に聞いてみる。
「代償はない。君が悪魔に拉致される可能性が減ると、サムが突然私を呼び出す可能性も減る」
「別に僕とキャスが守護天使契約を結んでる訳じゃないよ」
疑問が顔に書いてあったのか、サムが先回りしてディーンに言う。
「そっか。そりゃ助かるぜ。ありがとうな」
危険が減ればサムへの依存度も減る。ディーンが有り難く護符を受け取ると
「素直だな」
「・・・素直だろ?」
またも一斉に見つめられた。
こいつらの視線を気にしちゃだめだ。もともとの俺は素直な反応はしない男だ、ということだけ覚えておこう、とディーンは思う。

ディーンはその夜、ボビーにも『天使』について聞いてみた。
『カスティエルは大丈夫だろう。奴はお前と親しかった。困ったときに呼ぶと、たまにだが来てくれるぞ』
言われてディーンはまた安心する。たまにしか来ないのでは、そうあてには出来ないが、サム以外の知り合いもいるのはホッとした。
『まあ、困ったことがあったら連絡しろ』
ボビーのいわゆる決まり文句でその日の会話は終わったわけだ。

 

数日後。
突然ボビーの家にディーンがナップザックを抱えてやってきた。
「悪いがしばらく泊めてくれ」
何があったか目が赤い。顔も赤い。
「泊めるのはいっこうにかまわんが、どうしたんだ」
部屋に入れてやりながらボビーは尋ねる。本人に自覚はないが、サムの方も要保護状態だ。
 

「実はさ」
ディーンが(やはり熱があった)語った経緯はこうだ。
 

どうも昨日から風邪をひいた。モーテルでおとなしく寝ていたが寒気がひどい。具合を聞かれてそのままサムに話したら、一緒に寝ようと言い出した。
「おいで」
「行かねーよ」
きっぱり却下して、喉が渇いたからビールを一本と毛布を抱えてソファにいった。(後ろでサムが風邪の時にビールは止めろとか言ってたが無視した)
そーしてソファで寝たはずなのだが。

(あれ?)
気がつくと、ベッドに運ばれて、サムに後ろからがっちりホールドされていた。しかも枕元から声がする。
「サムは君が離れると心配らしい」
胸元に抱きこまれてるので目だけ動かすと、やっぱりこの間の陰気な天使。
(そんな所でなにやってんだ)
言おうとするが、身体が重くて、口まで動かない。身じろぎしたのが伝わったのか、サムの手が額を撫でる。
(変な光景だなあ)
ぼんやりと思っていると、天使が妙なことを言い出した。
「なぜ、ディーンの飲み物に眠り薬を入れる。」
「そんなことはしないよ」
「では、ディーンの飲んだ瓶に入れた粉はなんだ」
「姿を隠してのぞき?天使の癖にマナー悪いなキャス」。
「君は楽しんでいるのかサム」
「僕はディーンの具合を心配しているだけだよ」
腕を外そうともがくと、余計に引き寄せられ、朦朧とするディーンを挟んで、言い合いは延々と続いた。


「・・というわけで、あそこじゃおちおち寝てられない。水も飲めねえ。この風邪が治るまででいいから、ここにおいてくれ」
ソファでぐらんぐらん揺れながら訴えるディーンの眉間には深い苦悩の皺が刻まれていて、ボビーの目頭が熱くなる。
「わかったから、寝てろ」
言うとそのままばったり倒れて寝てしまった。よくここまで事故らず運転してきたものだ。
 

「さて・・・」
眉間を指でもみながら振り返る。
入り口からサムと天使が顔半分だけ出して覗き込んでいた。
「話は聞いたな。この風邪が治るまではディーンは預かる。わかったら帰れ」
言うと、天使が顔を斜めにしながら近づいてきた。
「・・・!?おい待て」
ボビーが嫌な予感で声をかけるが、天使の指がディーンに触れる。
「治った」
「ホント!?キャス、ナイス!」
あっという間にサムが寄ってくる。眠るディーンの額に手をあて、熱下がった!と小さな歓声を上げた。
「どうせ治すなら記憶を治せ」
ボビーがカスティエルに詰め寄るが、
「今ので力を使ってしまったので、溜めないと無理だ」
すまない、と言いながら、天使はサムにシーツごと抱え上げられたディーンの方ばっかり見ている。
「ボビー、面倒かけてごめん。また来るから!」
早く寝かさないと!と言いながらサムが出て行き、あっという間にインパラのエンジン音が聞こえる。
振り返ると天使とナップザックも消えている。


あまりに不憫だ。今度兄弟の所へ行ったら、ディーンを独り立ちさせるつもりで、仕込んでやろうとボビーは心に決めたのだった。


おしまい


なんか、途中から別の兄貴みたいになってきたなあ。まあ同じ人間だから似てくるのかしら・・・
今回はちゃんとサミーがストーカーチックになったのでちょっと満足!

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