お久しぶりでございますーーーー!
むっぱらも終了し、梅雨も明け、通販も今日までにお申込みいただいた分は発送しました。またも遅れまくっているコメントへのお礼を今日こそいたします。
その前にちょっとだけリハビリ―。
いやもう、原稿に入ると再録なのにびたっと更新が止まるの困りますねほんとに…
頭がすっかり固まってるのでやっぱり140文字のお題った―様に頼りました。
「MOL兄弟で『甘えてよ』」
…お題った―さまったら、また微妙に難しいネタを。
「…またか」
椅子に埋もれるように腰かけた祖父が、乾いた声で呟いた。
「申し訳ありません」
応えるディーンの声は冷静だが、その顔色は青ざめ、白に近い。
ウィンチェスター家の嫡男は、体力も知力も平均以上だったが、異界の者をやたらと呼び寄せてしまうところがあった。もちろん干渉を避けるための手はあれこれ打っているが、ここのところ防御が突破されてしまうことが多かった。タイミングによっては酷くダメージを受ける。
結界の真ん中ともいえる自宅内だというのに今ディーンは立っているのがやっとだ。
何も仕事がなければいいが、ディーンやサムのような若手はなにかと出番が多く、結果として仕事に穴をあける事態になる。
「ここのところ多いな」
「はい」
「心当たりは?」
「残念ながら」
「続くようならば、配置を考えなくてはならないな」
「そうですね」
淡々と交わされているが、要は降格の話だ。
「無理もないでしょう。相手は大天使だ」
サムが口を挟むと二人が振り向く。
「サム?」
「そういう根拠はなんだ」
尋ねる祖父の声に直接は答えない。
「ウィンチェスターの血統は大天使の器に向いているようです。特に父と兄は」
夢の中で見た光景には触れなかった。特にディーンが「ミカエルの剣」と呼ばれていたことは。
「賢者の中で大天使に憑依された事例はありますか?」
「いや」
天使や悪魔に憑依されると、多くの場合が肉体と精神にダメージを受ける。直接目にしただけでも目玉が焼けこげるともいう。
「前例がない負荷がかかっているわけですから」
一般的な虚弱体質のような処遇は不当だ、と言外に告げる。
「では欠員をどうする」
「僕が行きます」
「サム」
兄が口を開きかけるのを手で止める。
「できるのか?」
もちろんサムにも同時期に仕事が振られているので、並行できるのかと訊かれている。
「間に合わせます」
祖父は頷き、話は終わりだと手ぶりで二人に告げた。
「大丈夫?」
廊下を歩きながら尋ねると、
「お前の方こそ」
と振り向かない青い顔に返される。
「え」
「昼間の仕事もあるのに無茶だろう」
「ああ、まあ」
スケジュールがきついのは確かだが、大天使に付きまとわれるのとは次元が違う。
「祖父様は厳しいからね」
僕らに、とはあえて言わなかった。年齢を重ねるにつれてここではない世界のビジョンははっきりして、まだ若い祖父が見せたハンターへの嫌悪と侮蔑の表情は生々しい。多分、自分達はあの頃の年齢に近くなっているはずだ。
「無理なときは無理だけど、まあ今回は甘えておいてよ」
普段の兄なら絶対に受け入れない物言いだろうが、本当に体調が悪いのだろう。青白い顔が「そりゃ代償が怖いな」と呟いて笑った。
終わる
時間かかるなあと思って終わってみたら140文字のお題をまた丸無視してしまった。
[25回]
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