いきなり更新が止まってすみません。
ムパラの原稿期間に入っております。
お言葉下さった皆様へのお礼も遅れていてすみません。いましばらくお時間くださいませ…
で、ムパラ新刊ですが、何となく人魚になりました。
例によってブログ再録+αです。
しかし今度こそさくっと仕上げて二冊目もなにか出したかったのですが、再録だけっていうのもなんだから、ちょっと足そう…と思ったら盛大に手間取っております。
サンプルというか追加部分はこんな感じです。
「どうしたものかな」
王は上の二人の王子に相談した。東の広大な海を預かるバルサザールとガブリエルは顔を見合わせると、歌い競うように口を開く。
「ではあの漁師を密かに殺させましょう。漁に出ている時に事故に遭うのはよくあること」
「事故よりも毒を盛りましょう。島の水に混ぜれば数日かけて自然な病死に見えます」
「………ふむ」
いきなり思った以上に積極的な「どうにか案」が出てきて老王はちょっとだけ腰が引ける。
先日のような掟破りならば即処断で決まりなのだが、この件は末の王子が人間に執着しているだけだし、相手も人間とはいえ一応実の娘の血を引いている者であるので、殺してしまうと後が気になる。主に父王の差し金に気が付いた時の娘の機嫌が。
なので、重々しく述べる。
「殺すまではせぬでよい。あとが面倒だ」
「ははあ」
「左様ですか」
王子たちはまた顔を見合わせてひそひそと囁き合う。
「それではあの人間を殺さずに末の王子の執心を断ち切る方法ですが」
「うむ」
「殺さずに眠らせておくのはいかがですか。よくある方法ですが、術師にやらせれば百年でも千年でも眠らせておけます」
「姿を蛇や蛙に変える手もあります。まれに蛙相手でも構わぬという輩もおりますが、おそらくサミーは蛙を相手にはしませんでしょう」
「一気に老人にしてしまうという手もあります。無理に恋路を邪魔せずとも近いうちに終わります」
「石に変えるのはいかがですか。海底で傍に置いておけばサムの気も紛れるでしょうし」
「塩の塊にも変えられます。いずれ溶けます」
「ふうむ…」
王の気持ちに沿いまくった案が続々出てきて大変結構なことだったが、やはりどれもメアリーが怒り狂いそうだったので、老サミュエルは結局サムの方の記憶を消す、という大変穏便な手段を取ることにした。
なにせ王なので王子を呼び出して薬入りの酒を飲ませるのは簡単だし、周囲のものに口裏合わせをさせるのも容易い。
そんなわけで呪文のかかった酒を飲んだサムはたちまち深い眠りに落ち、そのまま魚たちによってディーンのいる島から一番遠い北の海へ運ばれて行った。
・・・・・・・
…という感じにですね。
いかにも定番でがーん、でも大丈夫ちゃんちゃん、という小話を4pくらいつけようと思ったのにどんどん収集がつかなくなっております……
なんか最近こういうこと多いなあ。気のせいかなあ。元からかなあ。
書いてる最中から恥ずかしい…と思いつつ、締切がどんどんスパートかけて近づいてくるのでがんばります。