一月はもう半ばを過ぎましたねえ。早いなあ。
記憶喪失兄貴どうしようかしらと思いつつ、とりあえず続けます。思いつかなくても書くのがリハビリだから!
本日のお題ったー様は
「愛する臆病者」
というお告げをくださいました。
もうちょっともめてくれてもいいんだけどなあ。
「とにかく、一度戻ってくれ。仕事のことも説明するから」
気を取り直してサムはもう一度頼む。
いかに騒がしい店の中とはいえ、こんなところで偽造カードの話はできないし、彼らの「仕事」について具体的な話もできない。
妙に一般常識だけ残っているディーンは、
「大量の銃の仕入れはどうするんだ」だの、「墓を掘り返して問題にならないのか」だの根本的にまずい部分の説明を求めてきそうな気がする。
ディーンはまたそっぽを向いたままビールを飲んでいたが、しばらく続いた沈黙の後、店を出ていく。サムも飲みかけのグラスを置くと後を追って店を出た。
「ディーン」
店を出たディーンは、ぐるりと周囲を見回した後、サムに向き直る。
「車は?」
インパラがあれば乗り込む気だったらしいのがわかり、サムは少しホッとした。
「向こう側の駐車場に停めてきたんだ」
「なんで」
「…なんとなく」
ディーンがサムが追ってきたのを嫌がったら、インパラのエンジン音だけで気づいて逃げられると思ったというのは伏せておく。
ほんのワンブロック歩いた駐車場に停めてあるインパラを見つけると、ディーンはさっさと乗り込んだ。だがそちらが助手席だったのでサムはまた妙な気分になる。
「前の宿に戻るのか?」
「いや、引き払ってきたから」
「ふうん」
こんなにあっさり見つかると思わなかった、と言うと、怒らせそうで口をつぐむ。
ディーンは特に何も言わなかったが、何となく不機嫌なのは感じとれた。
その理由は次のモーテルにチェックインしようとしたときに判明した。
「部屋を。二人だ」
サムが話しかけると、フロントの親父はちらりと二人を見て、
「キングサイズが希望なら2階になるぞ?」
と言った。例によって不要な提案にサムが「ツインでいい」と言おうとした瞬間、それまで黙っていたディーンが、
「ああ、頼む」
と手を出してキーを受け取ってしまう。ぎょっとして横を見ると、もろに目が合った。
そう、そういえばその件については車の中でもまるっと触れずに帰ってきてしまったのだ。いまさらながらディーンの不機嫌もそれが理由かと思い当たる。
しかしキングサイズってことはそれはつまり。
(どうしよう)
何度目かの動揺しつつ、すたすたと部屋に向かうディーンの後を追う。その背が『この臆病者』と言っているような気がして、サムは聞こえないようにため息をついた。
・・・・・
140文字じゃなけど、140文字以上だからといって何が起こるわけでもないリハビリ稼業。
お題半分しか入らなかったわあ。
[12回]
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