めざせ週刊、のぼちぼちブログでございます。
蒸し暑さでもう溶けたゴム製アヒルのようになっておりますが、皆様いかがお過ごしでしょうか。台風の進路に当たる地域の皆様の御無事をお祈りしております。
ぼちぼち地味ブログなのにやっぱり覗いてくださったりぱちぱち下さったりお言葉下さったりする皆様ありがとうございます。本当にありがたく嬉しいです。廃墟にするまいと頑張る気力が出ます。
さて、MOL兄弟で何か書きたいなーと思いつつネタを思いつかーんの状態が相変わらずなのですが、イベント時に書き下ろそうとすると本当にうんうん一か月唸って20Pちょっとなので、とにかく何でもいいからネタ書いとけ!の初心に立ち返りました。
軍曹が来たらもう僕は営倉ものだ…いや、除隊の危機だ。
というわけで動かない頭の代わりに140文字のお題った―さまにすがりました。
「貴方はMOLで『寂しいなんて言えない』をお題にして140文字SSを書いてください」
文にしようとすると止まるので、書けるだけ。
※MOLネタとはS8で出てくるヘンリーじいちゃんが元の時代に戻って兄弟がMOLの後継者として育っていたら(そしてサミだけハンターやってた世界の記憶を持ってたら)という妄想です。イロモノの説明はながく恥ずかしいなあ。
父が運転する車に乗る時は、どこかここじゃない遠くに行く時だ。
明日はサッカーの試合があるのに。
友達が本を貸してくれると言ったのに。
あの子よりついにいい点数を取ったのに。
ダッドの「行くぞ」はいつも突然で、そして絶対に待ってくれない。
家族旅行に出かけた車の中で、突然サムが泣きだしたので、隣に座っていたディーンはもちろん、運転席のジョンとメアリ―もびっくりした。
「どうした」
「お腹痛いの?」
いつもは聡い子が言葉を出さずに首を振る。
「行きたくない…」
「サム?お前が行きたいって言った動物園だぞ」
ディーンが少し怒ったような声でいうのが意識の表層を通り過ぎて行く。
そうじゃない。そのことじゃない。
「気持ち悪いのサミー?」
心配そうなマムの声がして少し意識が分かれた。こんな感触はなかった。一度も。
「…もう引っ越したくない…」
絞り出すような細い声に、ディーンが応えた。
「引っ越さない。うちは一度も引っ越したことなんてないだろ」
その声に顔を横に向ける。
明るい金髪にフレクルの散った頬。
新しいシャツを着た兄が、シートベルトをつけたまま身体をひねってこちらを見ている。
ちがうちがうちがう。
そう、今は違う。
「うん…、どこにも引っ越さないんだよね」
「引っ越さない」
「僕たち、引っ越さなくていいのダッド?」
「引っ越さなくていいぞサム。夕方にはうちに帰る」
運転しながらちらちらとバックミラーで様子を伺っていたジョンは、わけがわからないまま息子を落ち着かせようとする。
「うん…」
と答えてはああと息を吐くサムに、メアリは心配そうに眉をひそめ、安心したら今度は居眠りを初めてもたれかかってくる弟にディーンはまたか、とため息をついた。
おわる
お題からなんか遠いぞ…
[22回]
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