いやー、暑いですね。
ネタは浮かべど落ちが見えない物ですが、メモだけでも置いておきます。
17日に書きだしたのに、じゃれ誕まであっという間に過ぎちゃった…
ジャレッドお誕生日おめでとーーー!
相変わらずゾンビな兄とまだ人間の弟。
「意外に新鮮なのかよ。たどり着けんのか」
同じく様子を見ていたハンターが舌打ちするのに、サムは思いきり蹴りを入れた。
「何しやがる!」
「こっちの台詞だ。半端なリサーチで引っ張り出して、兄貴に何かあったらただじゃおかないからな」
本気で殺意を込めて唸ると、相手も殺気立つ。
「元、兄貴だろうが」
言われた瞬間、サムは無言で相手を殴りつけていた。
・・・・・
しつこいようだが、ベントンはつくづく天才だ。
しん、と静まり返った街を歩きながらディーンは考える。
ゾンビが大量発生した街をどうにかしたい、というハンター達からの協力要請だった。
「都合のいい頼み事ばかりする」
とサムはブリブリしていたが、仮にも異形の自分を見逃しているのだから、向こうにしても当然これくらいの役には立てというスタンスなのだろう。
「いいぜ、別に」
サムが何か言う前にディーンは応えた。悪魔との契約を逃れては見たものの、意識を持って動いているという以外に生きているといえるのか微妙な半端な存在となっている。狩りの役に立つ、というのはディーンに取って分かりやすい存在意義だし人間への協力だ。
町の中に入り、置いてきてしまった呪いのアイテムを回収する。
「まさにゾンビにうってつけの仕事じゃないか」
サムに向かってディーンは笑ってみせた。死肉は死肉に興味を示さない。お前らには危険に満ちた場所でも、俺ならフリーパスのすいすいだ。
だがしかし。
ここで繰り返すがベントンは思った以上に天才だったらしい。
死体は死体でも、ディーンの死体っぷりはゾンビ仲間たちから見ていささか微妙だったようで、すれ違いかけると何となく興味を持ったようにディーンの方を向くゾンビがだんだん増えてきた。すぐさま襲っては来ないものの、離れようとしない。
(まいったな。俺は意外にぴちぴちなのか?おい)
訊いてみたいが、はいそうですと言う代わりに口を開けてきそうだ。
走らない。大きな音を立てない。噛まれない。
ディーンは歩きながら、もう関係ないと思っていた対ゾンビ注意事項を頭に思い浮かべる。
古式ゆかしいゾンビたちは大体足が遅いのだが、最近ディーンはさっぱり訓練もしていないので、襲われたら走って逃げるのも無理そうな気がする。
目的の建物が見えてきた。
アイテムを回収したらハンター達に連絡し、合流地点でアイテムを渡す。それだけのはずだったのだが、これはもしかするともしかするかもしれなかった。
地獄の猟犬にボロボロにされるのはもちろん嫌だが、大量のゾンビに全身食われるというのも負けず劣らず嫌な末路だ。
(贅沢は言えないけどな)
建物の入り口に立つと、ビルの中に結構な数のゾンビがウロウロしているのが外からでもわかる。
ディーンはちょっと立ち止まって周りを見回した。
自分が無事で戻れるかはどうでもいいが、頼まれごとが果たせないのはまずい。
・・・
アイテム回収の連絡が来て、サム達は合流予定の建物で待機していた。
「おせえな」
一人がイライラしたように呟くのをもう一人が止める。階段は塞いでいるので移動はエレベーターだ。万が一ゾンビが入りこんでも、一度に入ってくる数に限りがあるので、十分撃退できる。
不意にごとん、と音がして、エレベーターが作動する。
「……ちょっと多いな」
ハンターの一人が呟くのにその場の全員がサイレンサー付きの銃を手に取った。確かに上がってくる箱の中には、複数の気配がある。
待ち受ける中でモーターが止まり、扉が開いた。見慣れた革のジャケットに古びたデニムが見える。家を出たときに履いていたブーツも。
だが、短いダークブロンドはどろどろとした何かに汚れ、目はどろりとうつろに開いている。
「ディーン…!」
一瞬で血の気が引いた。周りのハンター達が一斉に銃を構える。
なんてことだなんてことだ。
なんてことをさせてしまったんだ。
ずるずるとゆっくり歩いてくる腐臭の塊のような姿を見ながら、サムは自分を責めた。
「おい、アイテムは回収できたのか」
隣でそんなことを今聞くハンターをまた殴り倒したい衝動を今は抑える。倒したところにゾンビたちが一斉にのしかかりかねない。
と、突然ゾンビ特有の動きが変わって、その手が『早く撃て』と見慣れたハンドシグナルを送ってきた。安堵のあまりしゃがみ込みそうになる。
どうやら匂い消しのためにその辺の腐肉を頭から被ったらしいディーンは、硬直した顔のままでポケットに手を入れると、頼まれていた小さなコインを依頼主に向けてひょい、と投げた。
・・・・・
「被ったんじゃねえ。ちぎれてる身体があったから顔や体の表面になすりつけただけだ」
帰った途端シャワーに飛び込んだディーンは、チェックするから身体を見せろと手を伸ばしてくるサムをうるさそうに払いのけながら言った。
「思ったよりもこの身体は新鮮らしいぞ」
「…おんなじこと言ったハンターがいたよ」
サムはむっつりと答える。殴ったことは言わなかったが。と、不意にディーンがサムを押しのけるのを止めった。
「サム、ちょっと俺の身体を見てくれ」
そう言ってバスタブの中で立ち上がる。
「ディーン?」
言われなくても隅から隅までチェックするが、ディーンが自分から言うのは珍しい。
「…自分では分からんが、噛まれてないか」
「分からないくらいなら大丈夫だよ」
「分からねえうちにあちこちつぎはぎになってるんだぞ俺は」
そう言えばその通りなので、またも少し血の気が引く思いをしながらディーンの身体を少し回しながら全体を見る。
「……うん、大丈夫」
「そっか」
「そもそも噛まれてももう関係ないんじゃないの」
「…と、思ってたんだけどな」
長いことシャワーを浴びても、体温はそれほど上がらないらしく、身体の色もあまり良くならない。簡単な部屋着に着替えさせると、サムはソファの上でディーンの身体を抱え込んだ。
「別に寒くないぞ」
「僕が抱えたいだけだし」
リモコンでテレビを点けるが、こんな日に限って大した番組が無い。
「何かDVDでも見る?」
「それこそロメロの古典でも」
「却下」
今見たら絶対泣く。
その後も意見の合う番組が無いので、仕方なく昔のPVを延々と流しているチャンネルをぼんやりと見ていた。
「……あ、そうか」
ディーンがふと呟くのに視線を向ける。
「なに?」
「せっかく俺の後ろにぞろぞろゾンビどもがくっついてきたんだから、お前らに合った時ゾンビダンスでも踊りゃあ良かった」
思わず吹きだす。
「いきなりそんなことされたら、動揺して全員銃乱射する」
「それはそれで」
ディーンはそれ以上言わなかったが、サムは答えなかった。腕に抱えた身体は昔とは違うがそれでも意識があって会話もできる。
兄が自分を見ているのは分かったが、サムは意地でもテレビ画面から視線を動かさなかった。
収集憑かないから終わる
うぎゃー、リハビリ道遠し。
ゾンビの中に入ったら、意外に人間の匂いに近いらしくて兄パニック!ぎゃー
…というだけのベントンすげえネタだったんです。意味なく伸びた。