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海外ドラマの超常現象の兄弟(SD)を中心に、頭の中にほわほわ浮かぶ楽しいことをつぶやく日記です。 二次創作、BL等に流れることも多々ありますので嫌いな方は閲覧をご遠慮くださいませ。
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アラブのその後(むぱら29ぺーぱー)

き、気が付いたら3月は初の更新です。
あれ?あれ?
いや、30日チャレンジのお題が難しくて突っかかっているのです…「獣耳」…ペーパーで書いたから出尽くしちゃった…

ついでにリアルライフの年度末が阿鼻叫喚で、年度最初から「今年度中にやりまーす」と言っていたもろもろをほかしたまんまついに年度末なので、べそをかきながら宿題する学校時代の心境です。

しかし、あまりにも3月のカレンダーが真っ白なので何か載せよう!そうだ、11月のペーパーがあった!
…というわけで色気も何にもないのですがアラブのその後です。







「なんだあ?そんなにサムに会ってねえのか」
ロキに呆れたように言われて、ディーンは肩をすくめた。
「ええまあ、期限を気にする必要も無くなりましたし」
 
話している場所はディーンのオフィスだ。めでたく部長に昇進した後、ディーンは社内に自分のスペースをもらっている。ただし置いてあるソファやテーブルはあまり仕事向きとは言えないゆったりしたタイプだった。
部屋をセッティングする時運び込まれてきた茶店のような背の低くクッションの多い椅子を見たディーンは、「普通の応接セットでいい」と言ったのだが、「そうは行くか」とロキに一蹴された。
まあどうせ買うのは会社だし、国によってこうしたインテリアの常識も違うのだろうと任せたが、どっかと座って寛いでいるロキの姿を見ると、もしかして自分が来た時のためだったのかとも思えてくる。実際のところ、大抵の来客には別にある応接室を使うので不自由は無いし、社長であるロキはときどき、「抜き打ち表敬訪問だ」と良く分からない名目でふらりとオフィスに立ち寄っては長々と無駄話をしていくからだ。

今もディーンはパソコンで資料を作っていたのだが、どっかとソファに座りこんだままのロキが、
「おい、社長が来てるのに放置する奴があるか。茶でも持って来させろよ」
と催促するので、資料作りは諦めて立ち上がる。
「茶、ですか」
自分が喉が渇いた時は休憩スペースに湯茶の用意があるのでそこから取ってくるのだが、持ってこさせろと言うからには紙コップではなく、応接室で出すような陶器の茶器に茶菓子がついたあれだろう。
「どこに頼めばいいんです?」
使ったことがないのでインターホン片手に尋ねると、思いっきり渋い顔をされた。
「…おい、ほんとうに知らなかったのか」

聞けばディーンが茶を取りに行くたびに、休憩スペースには結構な緊張が走っているのだという。
「それは知りませんでした」
ディーンは営業でも外に出向く用事が多かったし、応接室には接客担当のスタッフがいたので気が付かなかった。だが以前同僚のオフィスで接客に同席した時は、給湯スペースから来客用のポットとカップを持ってきていたように思う。
ディーンがそう言うとロキは、
「平はそれでいいんだ平社員は」
と手を振る。めんどくさそうに言われても、ラインが今一つ分かりづらい。そもそもディーンは茶を片手で飲みながら仕事をしたいので、優雅な茶器とぽろぽろ崩れそうな茶菓子を運ばれても困るからやはり今後も休憩スペースに行くだろう。
が、今は取りあえずロキが要求しているので、言われた内線を押して茶を頼んだ。速やかに鮮やかな茶器と茶菓子が運ばれて来てソファの前に置かれた低いテーブルに並べられる。
お前も座れ、と言われて低いソファに腰を下ろすとなんだか仕事の雰囲気ではなかった。しかしながらしばらくは社長の相手をせざるを得ないらしいと諦める。

そんなわけで、この日の話題はその後もずっとサムだった。
「随行もここんところさっぱりねえな」
「ですね」
言われて頷く。サムからの申し入れを受けてしばらくは、なんのかんのと接触が多かったが、最近は静かだ。おかげでスケジュールの急な変更で取引先に連絡をする必要もなく、仕事がスムーズで嬉しい。だがロキは顔をしかめた。
「おい、少しは気にしろよ。一応まだ新婚だろうが」
「……違うんじゃないですかそれは」
第三なんとやらということになったらしい行事出席からは確かにまだ大して経っていないが、新婚と言うのは明らかに違う。
「それにまあ、元からそういう男でしたから別に」
気が済んだんでしょう。
ディーンが笑ってそう言うと、ロキはあーあというように天井を仰いだ。
「それに後宮の女性は多いですし」
通常は順番に華やかな場に連れて行くのだと、確か侍従が言っていた。そういう機会には当然それなりの衣装も装飾品も誂えるらしい。ディーンの場合は男なのでかなりかなり簡略化されていたというが、実に幸いだった。あれ以上じゃらじゃらつけたら首が歪む。
「じゃあお前、サムの心変わりとか心配じゃないのか」
「はあ」
繰り返すが奴は元から飽きっぽい男だ。
「ということはお前いま、寂しかったりしないのか」
「俺がですか?!」
思わず笑いだしそうになってしまった。寂しいというより、さっさと仕事がしたい。そして残業せずに帰って今日こそジムに行く。

ロキはしばらく無言で眉間を揉んでいたが、
「…まあいいか」
と呟いた。その、(俺には関係ないし)的な響きが却って妙に引っかかる。
それからさらにしばらく無駄話をしてから、結局用件は良く分からにままにロキは出ていった。


・・・
(どうするかな)
帰宅したディーンは、携帯を手の中で弄ぶ。

実のところ少し前にサムの携帯に電話をしたのだが、直通番号のはずがいつの間にか侍従のナンバーに入れ替わっていた。
多分今日もそのままだろう。
半ば期待せずサムの登録ナンバーを押す。一回半のコール音の後、電話に出たのはやっぱりギョロ目侍従のクラウリーだった。
『恐れ入りますが、先日も申し上げました通り、殿下と直接のやり取りをなさるというのは礼儀上問題がございます』
ディーンが口を開く前に、慇懃無礼を絵に描いたような声が告げる。そして、
『お手数かとは存じますが、そちらの侍従の方からわたくし共にご連絡をいただきましたら、速やかに殿下にお伝えいたします』
と続ける。確かに前回もそう言われていたが、だがしかし問題がある。

「こちらにはその後も侍従は一人もいないんだが」
いない侍従に電話をさせろというのは、宮廷風の遠回しな嫌がらせなのだろうか。
『侍女は』
「侍女も」
『……』
電話の向こうはしばらく沈黙し、
『殿下にお伝えいたします』
と言って切れた。ディーンはツーツーと鳴る携帯を見つめて呟く。
「…そっちから切るか?」 
別に妾から公式な身分になったからといってへいこらしろとは言わないが、相変わらず扱いが粗雑だ。
それにしても、愛妾の頃より却って諸々めんどくさいというのはどういうことだろう。以前は何か用事があれば、しょっちゅう小言を言いに来ていたカスティエルに伝言すればよかったのだが、担当外になったのか最近はとんと姿を現さない。

お払い箱寸前の妾でさえ、どこに行くにもお付きがいたのだから一応身分的には昇格したはずなので、誰も周囲にいないはずはないのだが、姿がとにかく見えないのだ。一度、周囲に人眼が無いときに、
「誰かいるなら顔くらい見せてくれ」
と言ってみたりしたのだが、返事をする者はなく、単なる怪しい人のようになって、一人会社の廊下で赤面した。
まあ、あのギョロ目侍従が今回は「伝える」と言ったのだから、何らかの形でそのうちサムの耳には入るだろう。
(よし、この件は返事待ちだ)
ディーンは心の中で呟くと、サムへの連絡と侍従問題を脳内フォルダでそう分類して忘れることにした。

・・・
反応は、思ったより早かった。ディーンが昨日ロキに邪魔された資料作りをしていると、突然にドアが開いて、むっつりした顔のサムが入ってきたのだ。
(ああ、今日も邪魔される)
ディーンは反射的にそう思ったがもちろん顔には出さず、にっこり笑って立ち上がる。
「よう」
言ってからその挨拶が久々に会った配偶者に向けても、王族に向けても、はたまたこの会社のオーナーに向けても、いずれにせよ適切でなかったと思ったがもう遅い。幸いサムはひっかかった様子もなく無言で軽くうなずくと奥のソファに我が物顔に腰かける。
(となると茶か?)
そう思ったディーンは昨日のように受話器を取り上げるが、サムの侍女が何やら青くなって止めに来た。
「何をしている、ディーン。ここに来い」
そしてサムはソファにふんぞり返ってディーンを呼んでいる。これは何か。この場ではサムが連れてきた侍女たちに任せるのが正解なのか。
(何だか本当にラインがめんどくさいぞ)
心の中で呟きつつ、ソファに近寄る。サムが少し身体をずらしたので、向かいではなくて隣に座った。
「久しぶり」
とりあえずにっこり笑って見せると、サムの仏頂面は変わらないが、雰囲気がやや和らぐ。
「なかなか呼ばないから、随分と長い腹立ちだと思っていたぞ」
 そんなことを言って、すい、と手を取られる。
「???長い?」
「仕事の邪魔だから、しばらく来るなと言っただろう」
「………ああ」

 ロキいうところの「新婚状態」で毎日寝不足の上に、ある日オフィスでたまった仕事を必死に片付けようとしているところにサムが来たので、カッとなってそんなことを言った気もする。
なんと、こちらの言葉をそこまで真面目に受け取っていたとは。
(これも立場が変わったからか?)
 愛妾時代との落差にちょっと感心した。正直こちらは先週には忘れていたのだが。
「ロキに様子を聞いても会いたがるそぶりすら見せないというし」
「はあ!?」
これには呆れ声が出る。自分の様子見が昨日の社長の巡回目的らしいのはわかったが、なんで見回りに来た上司にいきなり超パーソナルな告白すると思うのか。
だが、それを指摘しても通じるまい。
「電話したんだが、番号が変えられて、侍従からかけさせろと言われてつながらなかった。面倒だからどうにかならないか?」
何となくこの待遇なら聞く耳がありそうな気がして尋ねてみる。我ながらちょっと甘えた声が出て、やっておいてなんだが少し気色が悪かった。サムはわかっている、というようにちょっと頷く。
「公妃に傍付きは必要だ。が、お前にはどうするかで時間がかかっている」
 通常は同性をつけるのが基本だが、はたして侍従をつけていいものか。
「いいものかって?」
「侍従は身近な相手になる。間違いがあったらどうする」
 大真面目な顔で言われて頭痛がする。この国に来てから数年経つが、ディーンの周りにウロウロしていた黒服は基本男ばかりだったと思うのだが。だがそれを指摘してもサムの表情はむずかしいままだ。
「公妃となると傍付きの態度も違う。お前も気が向くかもしれない」
「じゃあ女性にしろ。俺は侍女でもいい」
「お前はもともと女好きだろう」
「もちろんだ」
「ますますリスクが高いだろう!」

 そこで今はなんと人工知能のロボットを取次役限定で導入したらどうかという話もあるらしい。ディーンは今の住居での一人暮らしを断固として主張していたが、ロボットならば部屋にも置けるというのだ。
野郎で外国人の后妃。お付きが取次だけするロボット。真面目な話なんだろうが、実現したら間違いなく大爆笑ものだ。いや、既に爆笑領域かもしれない。嫌すぎる。
「なあサム」
ディーンは心底困った表情を作ってサムの方に身を乗り出す。
「俺としては、お前と連絡が取れれば別に侍従はどうでもいいんだ」
「お前はな。だが決まりだ」
「正直、俺にお前と関係すること以外で用事はないだろう?」
「まあ、確かに」
「お前の番号、変えられたのか?」
「まさか。お前の携帯からの着信が、自動で転送になるんだ」
「別の番号は?」
 低い声で尋ねると、サムが眉をひそめる。
「ディーン」
「ちょっと声が聞きたいだけの時くらいあるだろう?」
「…なんだかお前は感じが変わったぞ」
 言われてディーンは目元で笑う。自分に好意がある相手に何か無理を言うのはもともと楽しいし好きだ。単にサムとは今までの状況が特殊すぎて、そんな流れにならなかっただけともいえる。
 結局サムが、
「誰にも言うなよ」
 と別の携帯の番号を走り書きしたメモをディーンに渡し、ディーンはその番号を戦利品として頭に叩き込んだ後、速やかにそのメモを細断の上焼いた。
 だが話はどこから洩れるのか、ディーンはその後ほどなく第一、第二妃殿下のお茶会に呼び出され、優雅にねっとりした空間で脂汗をかくことになるのだった。


おわる



・・・・・・

改めて見返すと、pっパー君の侍従とか何を考えてたんだろう自分…

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