「あまりきょろきょろするなサム」
低い兄の声にサムはちょっと息を詰める。
「でも、ディーン」
「前にも来たことがある。大丈夫だ」
振り向かないままそう言って足を進めるディーンの口調は落ち着いているが、その背中はいつもに比べて緊張しているのがわかる。だが無理もない。今歩いている路地は明らかに堅気でない雰囲気の輩がたむろしていて、二人は明らかに浮いていた。
「買い物だろ?慣れた人に行かせればいいのに」
「お爺様は俺に『選んで来い』と言ったんだぞ」
「…キャンベル流は時々本気で危ないと思うよ…」
話している間に目的地らしい店に着く。
「無理についてこなくていいぞ、サム」
扉を開ける前に少し振り返ってディーンが言った。
「ここで待ってるか?」
「まさか。どんな店か見たくて来たのに」
サムが言うと兄は目顔で頷く。
「そうか」
実のところはもちろん兄を一人で行かせるのが心配で来たのだが、魔除けの類ならともかく、人間に絡まれた場合には正直自分は大して役に立たないような気がする。
今度キャンベルの祖父の家に呼ばれた時には、もう少し訓練に身を入れよう、とサムは思いつつ扉を開ける兄の後ろに続いた。
・・・・・・
短いけど久しぶりのリハビリだから無理しない。
サミーちゃん初めてのハンター用具のお使い(メインはお兄ちゃん)でした。
molは本当に場面しか浮かばない…
[16回]
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