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海外ドラマの超常現象の兄弟(SD)を中心に、頭の中にほわほわ浮かぶ楽しいことをつぶやく日記です。 二次創作、BL等に流れることも多々ありますので嫌いな方は閲覧をご遠慮くださいませ。
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バレンタイン!(監禁のクレトム小ネタ)

二日遅れではございますが、むっぱら30終了いたしました。
お立ち寄り下さいました皆様、ぎゃーすか呻いている時に当ブログにお言葉下さった皆様、ありがとうございました。
やっぱり新刊は見返せませんが、始まると楽しいお祭りの一日でした。

さて、本日はバレンタインです。

「いや、お前違うだろう。まずは通販の件だろう」
と思われたお嬢様。その通りです。
その通りなのですが、例によってカミングアウトしていないオタクの悲しさで、現在周囲から人が去らず、帰ってきた在庫の箱に手をかけられずに数時間が経過しております。

なのでちょこっと小ネタでも。
原稿終わったしー。せっかくバレンタインだしー。
何にも考えてませんが、監禁のクレトムネタ。






「出かけるよ」
仕事から帰ってきたクレイが上着も脱がないままでそう言うので、トムは驚いて目を見開いた。

「なんだいきなり」
「どうせ何も作ってないだろ」
「ないぞ?」
確認されなくてもテーブルの上もキッチンも空っぽだ。
食事は大体クレイが買ってくるデリか、冷凍庫にストックしているものをレンジ調理する。そしてその日に何を食べたいかはクレイが決めることがほとんどだ。(何でもいいときは『何でもいい』という)
だからトムは当然のごとく今日も、
(腹が減ったなあ)
と思いながらテレビをぼんやり見ていたのだ。

しかしまあ、クレイが出かけるというなら別にいい。トムは立ち上がるとジャケットを取る。が、クレイが止めた。
「その恰好で来る気か」
「?まずいのか」
「この間買ったスーツがあるだろ」
「ああ…」
この時間にわざわざ着替えるのは面倒だったが、
「早くしろ」
と腕組みをするクレイの顔がどんどん険しくなってくるのでトムは急いでクローゼットに向かう。
光沢のあるグレーのスーツはクレイが時々起こす気まぐれで、店に連れて行かれてあてがわれた一つだ。店の人間は揃って「似合う」と言ったが、着ていく場所もないので仕舞ったままになっていた。

「遅い。店の予約時間が来るだろうが」
タクシーを拾おうと手を上げながら、クレイがブツブツ言う。
「だったらわざわざ戻らないで店で落ち合った方がよかったんじゃないのか」
「あんたがまともな格好で来るか分からない」
トムが尋ねるとむっつりした顔で返事が返ってくる。

店の前でタクシーを降りてぎょっとした。
でかでかと貼られた赤いハートとウィンドウに積み上げられたプレゼントパッケージ。
そうだった。今日はバレンタインデーだ。朝からニュースなどでも見ていたが、無意識にスルーしていたものがいきなり視覚的に目の前につきつけられる。
久々にぐらりと意識が遠のくのを感じた。
(まずい)
「…クレイ、」
絞りだした警告の声は情けないほど小さい。だが、振り向いたクレイの目の色から、即座に相手が気が付いたのが分かった。そしていきなり右手に走る激痛。
「!!」
咄嗟に声も出ない。一瞬の間の後に、クレイにそれこそ万力のような力で手を握られたのだと分かった。
「戻った?」
「え」
「ハリーは引っ込んだ?」
そう言われて瞬きをする。痛みの方に気を取られていたが、先ほどの眩暈は消えた。
「…みたいだな」
「そう、良かった」
全く、TPOを考えない幽霊だよね。クレイはそう言いながらトムの手をつかんだそのままの格好で店の扉を押す。
「いらっしゃいませ」
「予約したミラーだけど」
「お待ちしておりました」

入り口からざっと見えただけでも店内は結構な混み具合で、しかも当たり前だがカップル率が高い。そんな場所でいつまでも手をつないだような格好になっているのは気まずくて、トムは右手を離そうとした。が、クレイが離さないので引っ張るような形になり、ちらりと見られる。
「もう大丈夫だから放せ」
「そう?」
店内を移動しながらひそひそ囁きあう。

「なんでまたこんな店をわざわざ?」
まさかハリーを起こすためでもあるまいに。メニューを見ながらトムが尋ねると、先ほどより3割増しに険しくなったクレイの目が見返してきた。
「バレンタインに自宅で冷凍食品食べて、皿を洗うのが嫌になっただけだよ」
「お前、皿なんて洗わないだろう…」
言いかけてクレイの目がさらに吊り上がったのでトムは黙る。コースなら一番安いの、もしくはクレイと同じものにすればいい。簡単にそう決めて周囲に目をやる。
直線的でモノトーンのインテリアと暗めの照明で、堅苦しくはないが非日常的な雰囲気だった。


料理は旨かった。
音楽とざわめきで他のテーブルに会話が聞こえる心配もなさそうで、食事をしながらぽつぽつどうでもいい話をしている間にトムは次第にくつろぎ、クレイの表情も穏やかなものになってくる。
トムはグラスを口に運ぶクレイの目を伏せた鼻と眉がきれいなラインを描いているのをつくづくと眺め、それから自分が少しばかり酔っているらしいと気が付いた。思わずクスリと笑う。
「なに」
「なんだか」
これじゃ男二人でデートみたいだ、と言いかけて危うく止める。みたい、ではなくそのものだ。
そしてクレイがそれなりに手間をかけてこの店を選んだらしいことも何となくわかる。
なので、
「くせになりそうだ」
と言い替えた。
クレイは少し驚いたように目を見開くと、
「あんたがそんなこと言うのは珍しいね」
とニヤリと笑う。

それはそうだ。言い替えただけだから、とトムは思ったが、
口の端を上げて笑うクレイの顔が、何となく嬉しそうに見えたので真実を告げて水を差すのは止めたのだった。



終わらないからちぎって終わる!


うーんそうか。
先日の新刊に限らず、無理矢理ぶっちぎって終わらせるのはいつものことか…

すみません、在庫の状態を確認したら通販のお知らせなどいたします!!







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