試験前状態です。
ムパラの原稿しなくちゃー。クレトムー、と思っていたらクレトム全然進まなくて、ゾンビが出ました。
逃避ですね逃避!ああ、日が迫ってくる。
久しく声を聞かなかったディーンからいきなり電話が来て、ボビーは驚いた。
「どうした」
そう聞きつつも異形になってしまって以来、とことんひっそりと暮らすようになったディーンが動揺するのはひとつの理由しかない。
『サムが』
ゾンビに噛まれてしまったのだそうだ。
まだ噛まれて間がないなら、回復薬が効くかもしれない。最近それでゾンビ化から助かったハンターがいると聞き込み、薬を持っているらしいという男を探しにかかる。
だが連絡先は留守番電話のままで繋がらず、しかも場所が遠い。
『悪いがボビー、電話を続けてくれ』
そう言ったディーンは、そのあと手近な空港から飛行機に飛び乗った。
落ちて死んだって今さらだ。
落ちて死んだって今さらだ。
青い顔で呟き続ける乗客に、アテンダントは飲み物をすすめてくれた。もちろんゾンビの身ではウィスキーで温まるわけにもいかないので断り、代わりに毛布を借りる。
「回復薬はあるか!!」
「なんだ藪から棒に」
追いかけまわしてやっと捕まえた相手は、いつぞや人をゾンビと思って気軽に捨て駒に使ってくれたハンターの一人だった。
「先日の貸しを返してもらうぜ」
物静かなゾンビだった前回と、がらりと態度の違う兄に驚くハンター。
「ゾンビに渡すような薬は…」
と渋られるが、
「俺じゃねえよ。サムだ。サムがゾンビ化するのを見殺しにするならただじゃおかない」
と引っ張りだす。ボビーからの電話もあって、腰を上げるハンター。
「噛まれた後、早めに使わないと効かないんだ。何日たった。3日?アブねえな?」
「手前がさっさと電話に出ずにばっくれていやがるからだろうが。ぶっ殺すぞクソ野郎!!」
ろくでもないことしか言わないハンターから薬を巻き上げると、
「お前はゾンビ狩りが得意なわけだな」
と確認する。
「当たり前だ」
「じゃあ来い」
もしも間に合わずサムがゾンビ化してしまったら、その始末をしないといけない。
そしてもし弟を手にかけてしまったら、自分もこれ以上生きているつもりはなかった。
ただでさえ血の気の不足している顔を、さらに青ざめさせて涙目で戻る。
「サム!」
「ディーン、」
飛び込んだ家の中でサムはうずくまって腕を抑えていた。
「…おい、噛まれたのがいつだって」
用心深くかがみこんで傷口を見たハンターが不審そうな顔をする。
「どう考えても八割は進行してるはずの時間が過ぎてるのに、噛まれた腕くらいしか変色してない。どういうことだ」
「間に合うのか!?」
「見た目のまんまならな」
「じゃあさっさと使え!!」
焦って怒鳴る兄に、
「お前が持ってるんだろうが」
とハンターが冷たい声で言い、ディーンは慌てて薬を取り出す。
「サミー、薬だ。もう大丈夫だからな」
「ディーン、」
何か言いかけたサムが、腕を抑えてうぐあっと呻く。その時サムの目が、一瞬黒っぽく見えてディーンは焦った。だが、気のせいだよな、と思い直す。
薬を飲むと、まずさだか副作用だかでまたしばらく呻いていたが、傷の変色が止まり回復するサム。
「もう大丈夫だ」
と言いつつ、弟に近づくと、ディーンはハンターに聞こえない程度の声で、
「クリスト?」
と囁いた。
「え。なに?」
不審そうな顔をするサムに、続けてスキットルから聖水を少し振りかける。
「わ!なんだよ。やられたのはゾンビで、悪魔じゃないよ!」
汗まみれな顔で抗議をする弟の顔を見つめると、
「よかった…」
気が抜けて倒れるディーン。
「ディーン!?」
ゾンビから脱したサムが慌てて覗き込む。
「やっぱり、さぼりが続くと持たねえや…鈍りすぎてるぜ」
「ごめん、心配かけて」
「本当かよ…」
スタンダードなゾンビを一匹、変わり種のゾンビをもう一匹狩るつもりで着いてきたハンターは、当てが外れてがっかりする。そしてゾンビの兄の行動もハンターとして大変真っ当なので、ボビー経由での取り決め上、勝手に狩るわけにもいかない。
「俺は空振りか?貴重な薬だけくれてやって、空手で帰れってのか」
さすがに済まなそうな顔をするサムだが、ヨロヨロのディーンが、
「この間俺の足を潰してくれたハンターの一人だぜ」
と言うと、思いだして鬼のような顔になる。
「ああ…あの時の礼をいつかしないととは思ってたけどね」
「あの時のお前も、協力するだけして、なにか礼でももらったっけか?」
「往復のガス代さえ、受け取った覚えはないね」
風向きが怪しくなってきたので、退散しようとするハンターの背中に、
「ちょっと言ったところに、エレンがやってる店があるから寄って行けよ」
とディーンが声をかける。
ハンターのたまり場を取り仕切っていたエレンの店と聞いて、旨い話でもあるのかと尋ねたハンターは、
「サムとディーンを狩る気だったの!?」
とエレンとジョーの親子にさんざん詰られた後、
「野菜でも食べて頭冷やしなさいよ」
と、ディーンが菜園で作ったカボチャを山ほど持たされて帰ることになったのだった。
やっつけ殴り書きで終わる
ゾンビネタの元祖である咬さんが、また胸にぐおっと来るネタをおっしゃるもんで思わず書いちゃいましたよ…平和すぎてもうネタが無いと思ってたけど、色々な刺激で出るもんですね。
さあ、ムパラ原稿…