サムが自分とディーンは夫婦だと思い込む呪いの最中だというのに、頼みのディーンが記憶喪失になってしまいました。
「俺は誰だ、ここはどこだ?」
「ディーン!なんてことだ、でも大丈夫、僕がついてるからね」
ディーンに駆け寄って、手を握り締めるサム。
「お前だれ?」
「僕はサム、君のパートナーだよ」
「嘘つけ、男じゃねーか」
呪いの事情も忘れてるので兄貴、遠慮がありません。
「じゃあ、証拠を見せるよ」
サムさん、迷いなく戸籍を取り寄せました。
《世帯主 ジョン・ウィンチェスター
妻 メアリー・ウィンチェスター(没)
長男 ディーン・ウィンチェスター
次男 サム・ウィンチェスター 以上 》
「・・・・・・・・」
「・・・・・・・・」
「きょ」
兄弟じゃねーか
と、ディーンが言おうとしたとき、
ぎゅりぎゅりぎゅり
隣から異様な音がしました。
「・・・まさか、悪魔がここまで手を回してくるとは…!」
ぎゅりぎゅりぎゅり
音源はサムです。温和だったサムが、いきなり鬼の形相で歯軋りを始めたので、ディーンは結構どんびきしました。
「・・・オレ、お前の兄きだって書いてあるけど」
でも、結構重要事項なので怖くてもやはり指摘します。
「書類が改ざんされている・・!」
「そんなことできるもんなのか?」
「悪魔ならできる!」
なんか、こいつ変、と思ったディーンは、サムが買い物に行っている間に
「りこんします」
とメモを残してトンズラしてしまいました。
サム、大慌て。
一人でふらふらしていて、悪魔にサクッとやられそうになっているディーンを、危ういところで助け出します。
「ディーン!よかった…!」
「あれが悪魔・・・」
助け出したディーンを思い切り抱きしめます。
ディーンも目が白くなったり黒くなったり口から黒い煙を吐いたりする連中に切り刻まれかけたので、さすがに少しこわばった顔のまま、おとなしくハグされてます。
「ディーンは今、身を守る方法も忘れてるんだから、僕から離れちゃだめだよ・・・!」
ぎゅうぎゅう
「悪魔がいるのはわかった」
「うん」
「でも、お前と夫婦ってのはやっぱり納得できない。兄弟って書いてあったあの紙の方が、まだありえそうだと思う」
「・・・・・・・・・本当に、あの書類に手出しした悪魔め・・・。捕まえたら、それこそ両腕から聖水点滴して、穴という穴から塩を流し込んで、頼むから地獄に送り返してくれというような目に合わせてやる・・・・・・!!」
それを盗み聞いていた悪魔たちは、「なんて理不尽な濡れ衣を着せるんだウィンチェスター弟!」と大いに憤慨した、と地獄の歴史には記されています。
そしてまた、ぐぉりぐぉりと変な歯ぎしりを始めたサムにぎゅうぎゅう抱きしめられながら、ディーンは
(自分の味方らしいのはわかったけど、変な奴だなあ)
と、不審な気持ちを募らせるのでした。
つづく(嘘)
結論
兄貴がさっさと納得してくれないと、話がまた長くなることがわかりました。
率直に遠慮なくなった女好き兄貴を口説けるのか?サム・ウィンチェスター!?ってな路線ですね。
さて次は兄貴と思い込んでるサムだー