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海外ドラマの超常現象の兄弟(SD)を中心に、頭の中にほわほわ浮かぶ楽しいことをつぶやく日記です。 二次創作、BL等に流れることも多々ありますので嫌いな方は閲覧をご遠慮くださいませ。
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赤ちゃんが来てます22本目(淡々同居)

昨日はお休みしちゃったので、今日は早めにノック(そして早く寝る)!






「わけを話すと、そもそもは先輩の奥さんの仕事が最近変わったことが始まりでね…」
「その先輩自身、今担当している訴訟が離婚調停の案件で…」
「もちろんシッターを使うのが普通なんだけど、その派遣先の会社とちょっとしたもめ事があったらしくて…」

「長すぎてさっぱりわからんが、要は事務所の上の奴に子守を頼まれて、赤ん坊の扱いも分からんのに引き受けてきたんだな」
「うん、まあ」
懇切丁寧な説明を遮られてサムは一瞬鼻白むが、簡単に言ってしまえばそういうことなので多少憮然としながら頷く。
「そうなんだけどね、実は…」
「お前の鞄舐めてんぞ」
「わあ!」
サムはしつこく説明を再開しようとしたが、ディーンに指摘されて慌てて足元の小さな体を抱きあげる。しまった。足に触れる感触で位置を確認して安心していた。
「…よりによってもう歩くじゃねえかよ…」
ディーンは深々とため息をつく。
「歩くとなんなの?一歳ちょっとだそうだから、標準的な発達らしいよ」
サムは怪訝な顔で尋ねるが、ディーンはうーんと頭をひねり、
「歩く、這う…、まあ一緒か?とにかく動くとめんどくさかった覚えがある」
とブツブツ言った。
「ふうん?」
サムは首をひねる。しかしこのままリビングに突っ立っているわけにもいかないので、「ちょっと着替えてくるから見ててくれる?」とディーンに声をかけ、うんざりした顔ではあるが頷くのを確認してから足早に自室に向かう。部屋に入る前にちらりと振り向くと、ビールの瓶をフリッジの上に置いたディーンが赤ん坊を抱きあげるのが見えた。その姿はやはり自分よりは慣れているように見える。気のせいかもしれないが。

少なからず事務所の中で発言権を持つ先輩弁護士からの頼みを引き受けたのは、もちろん今後の事務所内でのポジションに有利になるだろうと思ったからだ。
夫婦の関係、クライアントへの見栄え、シッター会社との駆け引き。様々な条件が重複した。ほとんど隙のない同僚が、弱みを見せるのは珍しい。ここは気持ちよく引き受けて貸しを作るのが賢明だ。

ミルクと離乳食、おむつは十分にある。
もう夜だから小さな子供は寝る時間になるだろう。明日起きたらミルクを飲ませて、おむつを替えて、部屋の中か公園で遊ばせたら夕方になって終わりだ。今週末は持ちかえり仕事はほとんどできないだろうが、まあ仕方ない。今後のためを覚えばむだでない投資だ。
だがもちろん現実はパソコンの楽観的一般的情報に優先するのだった。



3時間後。
「………寝ないね」
「だな」
低い音で映画を観ながらサムが呟くと、ソファに座ったディーンがめんどくさそうに返した。
充電器にゴミ箱、ファイルホルダーにクッション。
それらは今、乱雑にソファやテーブルの上に置かれている。見知らぬ部屋と見知らぬ大人にしばらく緊張していた赤ん坊だったが、次第に安心したらしく、先ほどから四角い部屋の中で勇気ある探検を敢行している。
「お菓子みたいな色とかならまだわかるのに、ファイルなんか舐めてどうするんだろう」
「知るか」
「普段の寝る時間はとっくに過ぎてるのになあ」
事前の情報と違う。
赤ん坊、睡眠、不眠、などのキーワードでネット検索を始めるサムを、ディーンがじろりと見た。
「だいたいどこで寝かすんだよ。ベビーベッドなんかねーだろうが」
「あ」
言われてサムは青くなる。検索ワードを変えて、ベッド無し、一歳児、寝かせる、などで検索をしだすがなかなかこれといったアイデアが見つからない。
「どうしたらいい?ディーン」
帰って以来の不機嫌そうな顔に負けていられずストレートに兄に尋ねた。
赤ん坊がベッドやソファから転落して怪我をし、訴訟になるのは実は珍しくない案件だ。取り扱っているときには「なんて不注意な」とか「当然すべき配慮を怠った保護義務者」などと反射的に思ってきたが、それらの評価が今まさに自分の身に降りかかって来ようとしている。

だが、ディーンが口を開く前に、空腹になってきたらしいアダムがふえふえと泣き始めた。サムがぱっと気を取り直して立ち上がる。
「よし、ミルク用のお湯は60度で保温してあるんだ」
張り切ってキッチンに向かうと、買いだしの袋から新品の哺乳瓶と乳首を取り出す。ミルクの缶を開けて粉ミルクを量り、湯に溶かしたところでサムがはっと息を飲んで固まった。
「おい、まだかよ」
リビングからディーンの声がする。アダムの泣き声は相変わらず続いていた。
「ごめん、乳首を消毒するのを忘れてたんだ」
「はあ!?」
「消毒液は買ってきてるんだけど、それに浸して6時間放置しないといけないんだって」
消毒液の説明を読みながら、サムは心臓の脈が上がってきたのを感じる。6時間とは。
「そんなもん、流しで洗えばいいだろうが」
めんどくさそうな色がさらに増したディーンの声がする、が、サムはかぶりを振った。
「だめだ。1歳児は生まれた後母親の母乳からもらった免疫が切れて、一番色んなウィルスに弱い時期だ。消毒するべきなのにしない器具を口にさせるわけにはいかないよ」
だが、それはこんな夜中にお腹を空かせた赤ん坊に6時間ミルクをやれないことになる。
なんてことだ。何で僕は帰ってすぐに哺乳瓶と乳首を消毒液に浸けなかったんだろう。せんのない後悔が頭をぐるぐる回る。と、
「じゃあ煮沸でもしろよ!」
と、リビングから怒鳴られる。
「煮沸?」
「殺菌すりゃあいいんだろ」
確かに狩をしていた頃は針や刃物、傷を縫い合わせる糸などをしょっちゅう熱湯で消毒していた。
「………それでいいの?」
「赤ん坊用殺菌消毒なんてあるのかよ」
あるかもしれないが、ここで検索をしたら殴られそうなので、サムは黙って湯を沸かす。ミルクは10数分後にめでたく出来上がり、あてがわれたミルクを、哺乳瓶にしがみつくようにしてごくごく飲むアダムの姿に、小さな体を抱きながらサムはほっと息をついた。
哺乳瓶は、空気が入りすぎないように角度に気を付けないといけない。透明な哺乳瓶の中の、うっすらクリーム色をしたミルクがみるみる減っていく様子を見ながら思わず微笑む。やっと上手くいきそうだ。
と、ぎゅるるるる、とでも言えばいいのか、何ともいえない音がして、アダムの身体を乗せた膝に細かく振動するような感覚が伝わってきた。
「あーあ、やっぱりやったな」
ウィスキーを飲みながらなぜかテーブルに退避していたディーンが呟く。
「え?」
サムは事態が把握できずに振り向く。いつの間にか哺乳瓶から口を離したアダムは何やら赤い顔をして、力の入った顔をする。そしてまた先ほどのような音と共に小さな体を震わせると、その後満足したようにはーーーーーっと息を吐いた。
何が何だか分からないが、落ち着いたと見てサムはもう一度哺乳瓶を近づけるが、アダムは今度はそれを吸おうとしない。
「あれ?満腹かな」
一度に150CCは飲むって言ってたのにな。
不審そうに首をかしげてもう一度哺乳瓶を加えさせようとするサムをディーンが止めた。
「先に替えてやれよ」
アダムのおむつを指さされて、意味は分かるが納得できない。
「なんで飲みながら出すの!?」
「知るかよ!!」
役に立たない大人の膝の上で、赤ん坊は小さな体を思いきり反らせて泣いていた。



お、終わんねえ


大したこと考えてないのに!
そしてすっごく早く書き始めたのに結局0時ぎりぎりだよう






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