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海外ドラマの超常現象の兄弟(SD)を中心に、頭の中にほわほわ浮かぶ楽しいことをつぶやく日記です。 二次創作、BL等に流れることも多々ありますので嫌いな方は閲覧をご遠慮くださいませ。
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アラブ太腕繁盛記19(アラブ―サムとスミスさん)

なんか良く分からん続きです。
進まない、進まないよう。

ここのとこの書き殴り連投に拍手やお言葉ありがとうございます。
もうちょっとだけ書いてからお礼させてくださいませー。うれしくきゃあきゃあ拝見しています!






不穏だ。

ディーンは資料のフォルダをまとめながら心の中で呟いた。


サムとの同行の呼び出しがまだ減らない。
熱しやすく飽きやすい王子の関心が、ここのところ自分に向いているのは、さすがにディーンも感じていた。年に一度の接触を確保しようとしていた時期もあったのに、強制的に休みをサムのもとで過ごして以来、二週間と間を開けずに会っている。
最初の時は、式典への随行に「連れがいるからだろう」と関心を示さなかったロキも、ここのところ見る目が変わってきた。


「明日の会議の時、お前来て他の連中と一緒に後ろに並んでろ」
突然社長室に呼び出されたディーンは目を見開く。
「部署違いですから事情や経過がまったく分かっていませんが」
「別に何もしなくていい。黙って立っとけ」
「指示をいただければ動きます。むしろやることがあった方がいい」
そう言ってみるが、ロキは椅子にふんぞり返ったままひらひらと手を振る。
「いらんいらん。だんだんあちこちでお前の顔を覚えた奴が出始めてるから、王族の今気に入りの愛妾がうちの社にいるのは見せたいが、実際の仕事を見せると必ず難癖つける奴がいるからな」
「毎日働いています」
「それは置いとけ。とにかく明日来る奴らに、うちの社には太いパイプがあるらしいってのを見せりゃいいんだ」
「はあ」
ディーンは見てくれで誤解を受けやすいが、もともとワーカーホリックぎみの貧乏性なので、ただ微笑んで立っているというのは結構な苦行だった。しかも立たされる理由がサムとの関係だ。
「しけた顔すんな。今のお前は広告塔だ。貢献しろよ」
ディーンの渋い顔など意に介さず上機嫌な社長の前から退出しようとして、ふと思いついたディーンは顔を上げた。


「社長に給料を上げろと要求したそうだな」
自宅でテレビを見ながら夕食を摂っていると、またノックもなしに侍従が入ってきた。いつも何となく陰気なカスティエルという方だ。不愛想だがギョロ目ほど敵意を感じないので、ディーンは緊張感なく食事を続けながら頷いた。
「ああ。通常と違う仕事の指示があったんでな。却下されたが」
「当然だ。君は殿下とロキ様の配慮であの社で働く許可を受けていることを忘れるな」
相変わらず傍若無人な論理だが、争っても意味がないのでちらりと視線を投げるだけにする。手は動かしていたが、食事は覿面に不味くなっていた。
「で?身のほどをわきまえろって説教に来たのか」
「いや」
予想外の言葉に、テレビから視線を外して顔を向ける。ディーンの視線を受けながら侍従は無表情に言葉を続けた。
「ロキ様からの伝言だ。給与は上げないが、勤務時間内の随行を許すと」
「はあ?」
「殿下のお呼びがあった場合、社の仕事に優先して構わないとのことだ」
「…なんだそれは」
サムとロキの間でどんな話があったか知らないが、また碌でもないことになった気がする。
「早速殿下から明後日の朝お供をするようにとのことだ。用意しておけ」
「明後日?無理だ。アポがある」
「相手に延期か交代の連絡をするんだな。代わりがいるなら社で手配するそうだ」
「ふざけるな。…通じるわけないだろう」
思わず立ち上がる。食事どころではなかった。血の気が引いているのが自分でわかる。だが、侍従はディーンの動揺を気にかける様子はない。
「通じる。殿下の御伴と言えばいい」
そう言ってさっさと帰ってしまう。
「………………」


胃が痛い思いで翌朝を迎え、やけくそでカスティエルに言われたそのまま「実は殿下の御伴で」と日程の変更をする連絡をすると、拍子抜けするほどあっさりと愛想よく了承された。ただの営業ではない。重ねてきた商談の、最後の契約だったのにだ。
「………なんなんだ」
電話を切って呆然としていると、
「当然だ」
といつの間にか後ろにカスティエルが立っている。
「脅かすな!」
何年経とうが、知らぬ間に至近距離に立たれるのは心臓に悪い。
「王子の直々の指名なのだから優先するのは当たり前のことだ。君の感覚がおかしい」
「…そーかよ」
誰が呼ぼうと先約は先約だ。
そんな風潮だから余計にあの王子が勝手気ままになるんじゃないのか。
「これで君の心配は的外れだったのが確認できたのだから、明日は殿下に不機嫌な顔を見せるなよ」
ボソボソと言うだけ言うと侍従は出ていく。
ホッとしたのが半分、やはりこうして自分の意志よりもサムの気まぐれに従わされるのだという腹立ち半分でディーンはため息をついた。


 


「浮かない顔をしているな」
翌日、部屋に入った途端にサムが眉間に皺をよせ、後ろの侍従二人が素早く目を見交わしてからそろってディーンを睨む。
(不機嫌な顔はしなくても嬉しそうな顔までできるか)
という抗議を込めて見返すが、見事にスルーされた。
「王族の呼び出しなら文句を言う奴はいないとは聞いたが、俺の仕事感覚じゃ有り得ないんでな」
どうせいずれ言わされそうな気がしたので、さっさと言ってしまうことにする。
すると怒るかと思ったサムは、ふん、と鼻先で嗤った。
「雇われ人の思考回路だな」
「なんだと」
「ある程度の立場になれば、いや、下っ端でもか?飛び込みの用事など日常茶飯事に決まっている」
「仰る通りこちらは雇われの立場なんでな。これからアポを取るたびに急なキャンセルに備えなければならないのかと思うだけで胃が痛むんだ」
侍従がうるさそうなので顔だけは愛想よくにっこり笑いつつ言ってやった。するとサムがすうっと目を細める。
「なるほど」
何となく手か足か怒声が降ってきそうでディーンは身構えるが、サムは陰気ボソボソ侍従の方を向いて、なにやら言いつけ、こちらに顎をしゃくった。
陰気な侍従は頷いていったん引き下がると、何やらボードを持ってきてサムに渡す。


「来い、ディーン」
手招きされて、仕方なく近づいた。座るサムの隣に立つ。示されたボードはスケジュール表だった。時間や場所が書き込んである。
「今日の時点での一か月分の予定だ」
「…え」
「急な予定が入ったら知らせてやる。そこは避けて予定を組め」
「え?」
思わずサムを見るが、見返してくるだけなので侍従たちを振り返る。だが黒服コンビも目を丸くしていて同類だった。
「ちょっと待て。これ全部か?」
週に数回は何かしら入っているし、酷い日には午前午後と続いている。そして週末も相変わらずだ。ディーンの声には答えず、そろそろ支度をする、とサムが立ち上がる。
「お前に関係する部分だけ抜きださせた。教えてやったんだからもう文句を言うなよ」
僕はそれ以外の仕事をしながら会社の経営もしていたぞ。着替えをしながらまた嫌な笑い方をした。
「それはお前が経営者だからだろ」
うんざりしながらボードを見なおす。こんなに時間を取られたら外回りはともかく書類や資料作りが絶対に間に合わない。

(…しかしまあ)
拘束時間が分かれば調整はできる。いざとなれば自宅で仕事をすれば何とかなる。
自分でやる仕事なら持ちかえるのは実はそれほど苦でもない。
元がワーカーホリックなので、この国に来て以来夜遊びもできないディーンの私生活は限りなく暇なのだった。


つ…つづく


進まないどころか行間で行を食ってしまいました。
あれ?あれ?
早くハピエンに行きつきたいのにー


 


 


 


 

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