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海外ドラマの超常現象の兄弟(SD)を中心に、頭の中にほわほわ浮かぶ楽しいことをつぶやく日記です。 二次創作、BL等に流れることも多々ありますので嫌いな方は閲覧をご遠慮くださいませ。
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アラブ太腕繁盛記18(あらぶーさむとスミスさん)

思うところあって今日も続きです。
あと脳内の粗筋は数行なのに。
あうー。





「どうだ、何か反応は」
「特にございません。予想以上かと」


宮殿に戻ってきて着替えたところで、サムが陰気な顔の侍従になにやら尋ねている。
式典のことかとも思ったが、侍従の視線が一瞬こちらを向いたのに、自分の伴に関することなのかと気が付いた。


外国人だし、男だ。
実際立っているだけで何もしていないが、王族の愛人の位置にそれが来て、何か揉めるというのは不思議ではない。
が、反応がないと言っているのでそれはないのかもしれないし、そもそも誰の何の反応かが不明だ。


「俺が行ったことで何か問題でも?」
近づいてきたサムに尋ねると、
「大丈夫だ、何も心配することはない」
と、妙に穏やかな顔で微笑まれた。却って怪しいが取り付く島もない。なのでとりあえず、
「なら良かった」
と微笑み返しておく。


「じゃあ、俺はこれで戻らせてもらっても?」
尋ねるとサムが少し目を見開いた。
「明日の朝送らせるから泊まっていったらどうだ」
言われて時計を見るが、昼間の式典だったのでまだ夕方だ。

今日は貴重な日曜で、明日からずっと俺は仕事だこの馬鹿たれが。
そう思ったが、ストレートに言うと碌なことがないのでぐっとこらえる。
「できれば自分の部屋で休ませてもらえるとありがたい」
立っていただけだが、やはり緊張したようで。
しおらし気に目を伏せてみせると、サムが黙った。
「疲れたか」
「少しな」
近づいて肩を抱かれるので視線を上げる。真面目な顔をしているので少し目元で笑ってみせた。
黙って立っているだけでそう疲れるわけがなかろう馬鹿め、
と思う一方、やはり多少は気を張っていた気もする。
「わかった。送らせよう」
「助かる」


と言ったところで後ろから足を蹴られた。振り返りはしないが蹴り具合と気配で例のギョロ目侍従の指導が入ったのだと分かる。言葉遣いが悪いということらしい。サムも気付いているだろうがスルーだ。
「…ありがとうございます」
「車が外に」
言いなおすと白々しく侍従の声がする。


帰ったらシャワーを浴びて何か食おう。
歩きながらディーンは内心でこの後の予定を考えた。
予告があったので、昨日までに買いだしは済ませているのが幸いだ。
忙しいこと自体はそれほど苦痛でもないのだ。
付き合いのパーティーやゴルフと同じだと思おうと自分に言い聞かせる。


 


・・・・・


 


「また呼ばれたんですって?御苦労さま」
また新作だという爪をきらきらさせながらメグが言った。
相変わらずサムの動向をよく知っている。
「うん、まあな」
数年に一回かと思っていた随行は、その後も何度か呼び出されている。休みが潰されるので茶会にくるのも久しぶりだった。

「メグたちも行っているか?」
「そうね、絶対私にしてね、って言ってるパーティーはあるわよ」
「後援してる事業の関係とか」
「あと、好きな俳優が来るパーティとかね」
「なるほど…」
さすがに先輩方は、随行の機会も上手く使っているらしい。


「サムは動きやすい立場なのよ。直系の王族だけど継承順位は上の方じゃないし、若くて社交的だし」
会合、式典、ビルやモールのオープニング、慈善事業の催しと、出かける場所も様々だ。
そういえばアメリカに来ていた時のサムは、それこそ連日のようにパーティーだ会合だと出歩いていて、アポを取り付けるのが大変な相手だった。それは故国でも同じだったらしい。ものすごく今さらではあるが。
よくまあこれで仕事をし、大量の愛妾を抱える余裕があるものだ。
しかし自分も仕事をしている時は夕方まで仕事で夜がパーティでその後デート、なんてこともざらではあった。


「話のきっかけになるわよね」
「そうだな」
最初は仕事先でも全く話題にならなかったが、回数を重ねると出先で、「先日お見かけしましたよ」などと言われることも増えてきた。
だが、あくまでもサムの御伴で、侍従たちからの指示は相変わらず『にこやかに黙ってろ』なので、別段行った先で人脈を広げられるというわけでもない。
そう言うとマディソン達はふと顔を見合わせる。
「…なんだ?」
気になって尋ねると、二人はディーンの方をじっと見て、また顔を見合わせ、何やら視線で話をしているようだった。
「侍従たちの言うことを守っておくのは大事よ」
「特にディーンは『さいごの人』だしね」
そう言って頷き合う。なにやら不穏だ。


「誰と行くかはサムが決めることだけど」
ディーンの視線を受けて、マディソンが侍女に茶を注ぐように促しながら口を開いた。
「サムは今まで、あちこちに同行する人を分散して、「特別」なひとを作らなかったの」
「最初に熱を上げてる期間は別よ?」
不審な思いが顔に出たのだろう、メグが釘を刺す。


「だから、周囲もサムの連れにそんなに注目しなかったのよ。毎回顔が変わるから」
「宮廷の内も、外部もね」
「………」
「まだディーンがそうなったわけじゃないけど、もしもそうなるかも、と思われだしたら言動に気を付けないと」
「誰かと話したり、個別に招待されたり、何かを贈られたりするのもね」
「親類も入り組んでるから」

「親類関係を覚えた方がいいってことか?」
「「無理よ」」
怖々訊いたらデュエットで即答された。
「表面的なことや今のことならともかく、昔のことも絡んでるもの。訊かれても身内以外に話すわけないし」
「だから、誰とも話さず、何もせず、ただサムの傍にいるのが安全よ」
「…なるほど」


ついこの間、式典で仕事先の相手を見かけたのでつい笑顔で会釈をしたら、陰気とギョロ目双方からくそみそに絞られたのでものすごく身に沁みる。


経営者一族の派閥のようなものと思おう。
(仕事の足しになるのでもないのなら、なるべく面倒は少ない方がいいんだが)


だが、ディーンの意向など誰も聞いてくれないのは明らかだった。


まだ続く


ネタメモは
「式典に連れて行かれるようになる。一回だけじゃなくてなんだかだんだん増える。」
の一行なんですがコンパクトにかけん…


 


 

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