どうもいけません。
雨だといっちゃーサボり、
暑いといっちゃーサボり、
まーべる面白いといっちゃーさぼり、
どうも湿気の多い時期になると何のかんの言って停滞します。
なので、自分に発破をかけるべく、そろそろお誕生日だという某Kさまに強制的にリクエストをいただきました。そしたらアストロツインの某sさまからも便乗でリクエストをいただきました。
「淡淡兄弟か幼馴染SD」K様
「平和なやつ」s様
さすがだアストロツイン、やろうと思えば二本いけるし、ひねりだせなきゃ一本でも兼ねてごまかせる!(ここで言うなや)
というわけで取りあえず一本いきます。下書きしようとしたら頭が固まったからもう一発勝負だ。落ちが無いのを恐れちゃだめだ。←自分を鼓舞している
いくぞ、久々の淡淡兄弟。
注)IF設定で半分引退した兄貴と弁護士のサムの同居話です
ジョーは少し前に引き合わされたハンターの娘で、兄に万一のことがあったときの引き受け手の一人だ。ハンターの道から離れたサムには正直当たりがきつかったが、自宅を知られるのが嫌というほどでもない。むしろ交友を深めておいてデメリットはなかった。なので、
「じゃあランチに来てもらったら」
と尋ねたが、ディーンは苦笑して
「いらねえよ。外じゃしにくい話ってだけだ」
と手をふった。
・・・・
「…で、その狼男は結局ちゃんと退治したのに、それでも母さんは私がハンターになるのには反対だって言うのよ!」
ジョーの声がリビングに響き、サムは昼食は不要だと言った兄の言葉に納得していた。未成年用に用意したダイエットコーラの瓶が、手をつけられないまま温くなっている。
「しかしまあ、無理ねえだろ」
ソファの向かいに座るディーンは、真面目な顔で相手をしている。
「親の仇はもうとっくの昔に退治済みだろ。お前もエレンも前科があるわけでもないし、わざわざハンターになる必要もねえよ」
「私の人生よ。ママに決める権利はないじゃない」
「命の危険があるどころか、続けてればどこかで死んで当たり前の仕事だぞ。親が止めるのは当然だろ」
要はジョーとしては父のようなハンターになりたくて努力もしているというのに、エレンは一貫として反対し続けている。それどころか店に出入りするハンター達にも、
「ジョーに余計なことをしたらただじゃすまさないわよ」
と脅しをかけているらしい。ジョーとしては身の周りには現役のハンターがゴロゴロいるというのに、将来の相談することもできないというわけだ。
「そう?ナイフを集めていただけで、私はクラスですっかり変人扱いよ。この先もずっとあんな思いをするのは嫌」
「高校はもう少しで卒業だろ」
「その後だって、ママのいうような『まともな』生活をするってことは、あの子たちみたいなのと今後も一緒ってことでしょ。嫌よ」
「その代わりに今店でウロウロしてるような奴らみたいな荒っぽいのとやり合うことになるんだぞ」
「それは分かってるから、ディーンに教えてほしいんでしょ」
「教えるって何を」
「格闘技とか射撃とか」
話が「相談」から「依頼」に変わったな。
ダイニングテーブルでパソコンをいじりつつコーヒーを飲んでいたサムは思わずリビングをみやる。
「…おい勘弁しろよ」
ディーンは顔にでかでかと参ったと書いて上を見上げている。
「そういうのに詳しい連中はゴロゴロいるけど、ママが口を出すからだれも相手してくれないし、関係ないところに習いに行くお金はないもの」
「俺だってエレンにぶっ殺されたくないし、女向けの格闘技なんかわからん」
「別にディーンが知ってる範囲でいいわよ」
「無理だ」
「なんで」
「元々の体格と筋力が違う」
苦労しているな。
思いながら見ていると、ちらっとこちらを見た兄と視線があった。不意に嫌な予感がする。話の成り行きは気になるが、自分の部屋に行った方がいい気がした。が。
「サム」
残念なことに撤退する前にディーンが声をかけてくる。
「な、なに?」
「ちょっと来い」
呼ばれてしまうと今さら引っ込みづらい。諦めてソファに近づく。
「悪いがちょっと協力してくれねーか」
今度はこちらに依頼が来た。
「内容によるけど」
「ジョーは侵入者。家に入りこんで何か盗んだのに出くわした。どうする?」
訊かれてサムは目をぱちくりする。
「危ないから手は出さないよ。相手が家から出ていったら通報する」
「…まあそうだな」
ちょっと想定と違ったらしい。ディーンはまたうーんと考え込むように腕を組む。
「じゃあ、サムはこの部屋のガードマン。こんな子供みたいな侵入者を逃がしたら首だ。取り押さえて当たり前だとしたら?」
「まあ、しょうがないから捕まえるかな」
「じゃあ、それで模擬戦だ」
「はあ!?」
「ジョーは、サムを気絶させてから拘束して、この部屋を家探しするつもりでやれよ」
「止してくれ。部屋の物が壊れるだろ」
「ジョー、壊した分はエレンに請求書回すからな」
「何よそれ!」
実に難易度の高い設定だった。
数分のドタバタの末、何とかサムはジョーの腕を抑えた。
普段運動しない生活なので、ものすごく疲れる。
「よし、終わりだ」
ディーンが声をかけたところで手を離す。
「ごめん」
「いいえ」
無理もないが、ものすごく不機嫌な声が返ってきて気まずい。
双方が立ち上がったところでディーンが言う。
「いいかジョー。サムは若いがこの10年、運動らしい運動もしないで勉強とデスクワークばっかりやってる男だ。身体はかなり鈍ってるし動きも遅い」
その通りだが失礼な言い草だ。
「つまり難易度としては世間に良くいるレベルの相手だ。現役のガードマンとか警察ならもっとやばい」
「そんなことわかってるわよ」
「なら、いきなり格闘教えろじゃなくて、狩に関わるにしてももちっと違う方向で考えろよ。俺が女や子供に教えられるのは護身術くらいだし、それはもうお前教わるまでもないだろ」
「……」
「とにかく、俺が知ってる狩はこんなのと殴り合ったり追いかけっこしたりすることがしょっちゅうだ。お前向きのやり方なんてわからん」
相談終わり、とディーンは立ち上がる。やれやれとサムが時計を見ると、時計はとうに昼を回っていた。座ったままで黙っているジョーと兄を見比べて、沈黙に耐えられない自分の性格に突っ込みをいれながら口を開く。
「えーと、動いたらお腹空いたし、食事でも行く?」
そう言うとジョーはサムを見る。
「いいわね」
立ち上がると、初めて少し口元で笑った。
「髪直してくる。バスルームどこ?」
その後近所の手頃なレストランを選んだ自分の判断は間違っていなかったとサムは思う。
味は良く、値段も手ごろで、しかし堅苦しくはなく、適度にざわついている。
が、しかしだ。
「さっきの模擬戦、私が銃で脅してサムを拘束できればOKってことはない?」
「警備員は大体武装してる。逆にお前の方がホールドアップになる可能性もあるだろ」
「そのへんのもので頭を殴って気絶させるとか」
「頭はよせ。打ち所が悪くてもお前治せねえだろ」
「……大体傷害罪だよそれ」
「そう、あっという間に前科持ちになるぞ」
兄はうんうんと頷くが、サムが言いたいのはそこじゃない。
他人に聞かれたら銀行強盗の打ち合わせでもしているみたいではないか。サムはフロアスタッフが声が聞こえなさそうな距離にいるのを確認しながら頭痛を覚える。
ハンター同士の話はどうしても狩関係になるのを失念していた。
かといってこの顔触れで家族の話は地雷原だし、経済界の話もなしだ。若い女性との会話は別に珍しくないが、よくあるファッションや芸能の話がジョー向きでない可能性は勿論高い。
ジョーが興味を示しそうな狩り以外の話題としてはディーンの昔のエピソードが頭に浮かんだが、何となくそれはサムから言いだしたくはなかった。
しかし止めないと少女と兄の会話は全く悪気なく無邪気にどんどん犯罪者っぽくなっていく。とにかく健康な若い人間をどうやって殺さず無力化する方法についてディスカッションするのは止めさせないと。
「……さっきナイフを集めてるって言ってたけど、どんなの?」
怪しさでは五十歩百歩でも、犯罪計画に誤解されるよりはましだ。サムは昔頭に入っていた武器の知識を思い浮かべながら、ジョーにニッコリ笑いかけた。
後日。
「レストランで見かけたよ。お兄さんのガールフレンドは随分若いね」
どこにいたのか同僚に声をかけられたサムは、犯罪計画に見えなかったことに胸をなでおろしつつも、
「知人の娘さんです」
と訂正を入れるのを忘れなかった。
平和か分かんないけど終わる。
KさんSさんごめん。
一度夕飯で中断したら、落ちのイメージを忘れてしまいましたよ。
しかし取りあえず前祝であーーーーっぷ!