何ゆえにムパラの原稿に早く集中できないのか。
きっとこれだ。あらぶーが終わらないからだ。ぶーサム(どんどん省略が酷くなる)がハピエンに行きつかないからに違いない。
というわけでとにかく進めよう。アラブ―です。
オフィスラブでロボサム書いてる時も、立ち止まったら色々くじけそうでとにかく終わらせるのに集中したのを思いだしました。ああやばい。とりあえず印刷所に予約だけ入れました。
ああ何書こう…宇宙人と地底人のペーパーだけだとさすがにまずいですよね…
「ここに呼んだとき、『なんのつもりだ』と言っていたな」
しばらく黙々と歩いていたサムが唐突に言う。
「ロキに言われた。手放す気がないならそれなりに扱えとな」
「…なるほど」
実に分かりやすい説明だ。どうせ王族の愛妾という触れ込みなら、現役でパイプが太い方が付加価値が高いに決まっている。
「だけどこんな風に過ごしたのは意外だった」
握る手に力が入ったのに意味はない。多分。
「お前は自分のやりたいようにやってるだけだろう」
「あんたの反応が違った」
言われて一瞬顔が熱くなる。掴まれた手を反射的に振り払おうとして失敗した。サムの手はやたらとしっかりディーンの手を掴まえている。
意外だろうとも。自分自身が驚いたくらいだ。
こちらの都合などお構いなしに呼びつけられ、頭ではこんな奴と思っていたのに、引き倒されたらあっという間に身体の方が反応してしまった。我ながらちょろ過ぎて笑えるほどだ。とっくに冷めたんじゃなかったのか。
「そりゃあお前と違って溜まってるからな」
意識して素っ気なく返す。ディーンとしてはここ数日悶々としたあげく、その結論に至っていた。どうせもともと快楽には弱いし貪欲な性質だ。サム以外に発散相手が持てない状況なんだから希少な機会にがっつくのも仕方ない。
だがサムが呆気なく陥落したディーンを嘲笑うでもなく、甘ったるい態度で接してくるものだからよくわからない状況になっているのだ。
(まあなにせ、愛妾が山ほどいる奴だからな)
ご無沙汰していた相手への対応も慣れているのだろう。
「あんたはどうせ仕事をしたがるとは思ってた」
またしばらく間を開けてサムが呟く。
「あ?」
「だからアメリカから連れてきた時も、いずれはどこかにポストを用意するつもりだった」
「…初耳だな。ずいぶん前と話が違う」
「あんたがもう僕と別れてアメリカに帰るとか言い出したからね。あの時『いずれ』とか言っても聞く耳もたなそうだったし」
いつの間にか、サムの口調が高圧的なものから最初にあった頃のように変わっている。
今さらと思いつつ不快ではなかった。
やはり白い石で作られた東屋で目を洗う。
人心地ついて見まわせば、作りつけのソファにクッションが置かれて、なかなか居心地が良さそうだった。
「少し休むか。茶でも運ばせよう」
呼び鈴に手を伸ばすサムを止める。
「歩いてるだけだから別に疲れない。茶は毎日飲んでるからもういい」
何もすることが無いときには延々と茶を飲んでいるのだ。いい加減飽きていた。散歩に出て一時間も経っていないので喉も大して乾いていない。何か言うかと思ったが、サムはふうんと呟いて「まあいい」と東屋を出た。
もう目のゴミは取れたのだが、サムが手を出してくるのでまたしても繋いで歩く。と、つないだ手が不意に緊張したように強張り、サムが足を止めた。
「サム」
「おやサム。来ていたのか」
声は違うがゆっくりと節をつけるような話し方は妙に似ている。嫌な予感がしつつ視線を上げれば、いつぞやマディソンに画像を見せてもらった奥方達がお供を連れて立っていた。
つ、続く
進みが悪い!書きたいのは「庭で奥方達に会っちゃいました」の一行だったのに。あがががが。