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海外ドラマの超常現象の兄弟(SD)を中心に、頭の中にほわほわ浮かぶ楽しいことをつぶやく日記です。 二次創作、BL等に流れることも多々ありますので嫌いな方は閲覧をご遠慮くださいませ。
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求めよ、されば(もう一つの世界ネタ、リベンジ)

何となく心が兄貴に優しいサムを求めています。いつもだけど。
なので3月末に不発になったネタにもっかいチャレンジ。

母とジェスが生きてて、サムは弁護士になってる世界から帰れなくなってる兄貴。
この際ジンの夢と言うよりも、別の世界ということで行きます。そんで最近のシーズンどこかの兄貴。

先日のS8S1、某様に教えていただいて気づきました。
老けた兄貴版の下にありましたね弟版………真剣にきづいておりませんでした。
パチパチやお言葉ありがとうございまーす(*^▽^*)
またお礼に参ります!






目を開けると恐ろしい形相の弟の顔があった。
「いい加減にしろよ。何回目だよ」
どうももとの世界への帰還は、またも失敗したらしい。今ここでディーンを見下ろしているサムは、ディーンの記憶にある弟と同様に眉間に縦ジワを寄せているが、ブルーグレーのジャージ姿なので見分けがついた。ジャージで狩りをするハンターなんて、どこを探してもいやしない。少なくともウィンチェスター家には存在しない。

希望通り弁護士になって、美人の婚約者までいる弟は、だがなぜか最近やたらと顔を見ることが多い。
「また来たのか。仕事しろよ」
弁護士事務所の仕事内容など知らないが、しょせんは駆け出しなのだから自由に外出する時間など無いはずだ。
「そう思うなら何度も馬鹿な真似をするのは止めてくれ」
むっつり言う顔を見ながら、周囲の暗さにああ夜なのかと気が付いた。ジャージのハンターと同じくらい、ジャージで勤務する弁護士もいるまい。

起き上がると自分で刺した左胸がずきりと痛む。思いきり心臓に突き刺したはずなのに、なぜか死なない。そして帰れない。

「サム、ディーンは起きたの?」
ドアの外からメアリの声がしてドキリとする。消えるつもりで妙な言い分ではあるが、母に心配をかけたくはなかった。
「起きた。大丈夫だよ」
代わって答えたサムに、ほっとしたような声が返る。
「夕食を出しておくから食べるように言って。サム、あなたもよ」
「分かったよマム。あとは僕が見るから寝てて」
自殺しかけた息子にかけるにしては妙に緊張感のない言葉に不審な思いが顔に出たのだろう。サムがじろりとディーンを見下ろして言った。
「何度も長男が自殺未遂を繰り返すなんて言うわけないだろ。マムが卒倒する」
「大丈夫だ」
「何がだよ!」
「俺が消えれば、お前の知ってる兄貴が帰ってくるだけだ」
しばらくこの世界にいてわかったが、ジンの夢と言ってもまったくの想像の産物と言うわけではないらしい。多分平行世界とかなんとかいう類のものに、意識だけ飛ばされているのだ。この世界で弟の彼女を寝取り、職を転々としつつ美人の看護師と楽しく生きているろくでなしの魂が今どこにいるかは知らないが。
だが、
「それこそろくでもないだろ」
むっつりと言うとサムがディーンの腕を掴んで立たせた。
「ほら、飯。母さんが言うの聞いただろ」
デスクワークばかりしている弟の腕は、記憶にあるよりもやはりヒョロヒョロして強いわけではない。それでも自分を引っ張って行こうとするその動きに、何となく逆らう気が起きずに素直について階段を降りた。テーブルの上に、自分と弟のために母が作った食事がある。
何度体験しても、何度これは俺の世界じゃないと言い聞かせても、胸の奥からこみ上げてくる感情は変わらない。

『ディーン、ご飯』
ふと昔の光景が頭に浮かんだ。サムの小さい手がベッドに寝ている自分を引っ張り、渋々階段を降りた。テーブルの上に並べられた二人分の食事。
『先に食えばいいだろ』
『ダメだよ!    が二人でそろって食べなさいって』
多分あれはジム牧師の教会だったのだろう。兄弟の普段の生活でまともな食事もだが『二人で一緒に』なんてことを言う大人はいない。ボビーの家ももっと適当だった。



「座れよ。…もう!」
ぼんやりしているとサムがイライラしたように椅子を引き、ディーンを座らせる。
「ほら、スプーンもって、手を出せよほら」
ディーンの手を掴んで、スプーンを握らせる。相手がぼんやりしていても真面目なことしかしないのがこの世界のサムだ。口にスプーンを突っ込んですかさず写真を撮るなんて芸当は思いつきもしないのだろう。そこまでする関係でもないというのもあるが。

動かないと今度は真面目な食事介助が始まりそうだったので、今一つ調子が出ないままスープを口に運んだ。数種類の豆の入ったスープは、ディーンの子供の頃の記憶には無いが暖かくて旨い。
食べながら向かいに座るサムを見た。
平和な世界で、悪魔の血も飲まされずに育ったサム。勉強好きで、その頭を活かして弁護士になった。
まさに望んでいた姿だ。元の世界とは別方向に可愛くないが。
「…何があったんだよ」
可愛くない弟が可愛くない顔をして口を開いた。
「あ?」
「この間からおかしいぞ兄貴は。僕に対しても、マムに対しても」
「そうか?」
ということは自分の過剰なマザコン、ブラコンはやはり育ちのせいだったということになるのだろうか。
「ま、色々あるのさ。お前の知らないこともな」
「話せよ」
「弁護士さんには分かんねえ世界もあるんだよ」
「…繰り返し自殺を企てる気なら、それこそ病院に連れて行くぞ」
どうも本気らしい。この世界の弟は腕っぷしは弱いが、金はあるのでそれこそプロの移送係など呼ばれたら面倒だ。わかったわかったと両手を上げてみせる。
「もうしないから訊くな。厄介ごとは嫌だろ?」
「それが見つからないから聞いてるんだろ。ここのところの兄貴の行動を調べたけど、警察系でも裏情報でも何も出てこなかった」
「はあ?なんだそりゃ」
「仕事柄色んな情報源があるんだよ。この間借金って言ってたけどここんとこ賭けポーカーにも行ってないだろ」
「ストーカーかよお前。人の行動つけてんじゃねえ」
どうやら弟の粘着系調査癖は育ちに関係ないらしい。何となくおかしくなって口元が緩む。
「俺の事情にお前たちやマムを巻き込む気はないから心配すんな。食ったら早く帰れよ。彼女が待ってんじゃねえのか」
「しばらくこっちにいる。ジェスも分かってくれた」
「はああ!?」
「前のあんたならどんな厄介ごとに巻き込まれようと知ったことじゃないけど、放っておけない」
「………」
自分のブラコンぶりに軽く絶望するくらいに心が動いた。ちょうど元の世界の弟が、長い戦いの末に「もう次の区切りがついたら別々に生きよう」と言っていることも影響している。
もしも自分が帰らなかったら。
元の世界のサムは、兄のいない自分の人生を生きていくだけだ。煉獄の一年を経た今、想像ではなくそれははっきりしている。そして兄弟ならばごく普通の事実に耐えらえない自分がいるのだ。
「僕やマムが大事で悲しませたくないなら、もう馬鹿な真似はするなよ」
真面目な声で言われて思わず頷いていた。
だめだ。これが魔物だったら契約成立でアウトだ俺。
だが狩りを知らないだけのこの世界の弟は満足そうな顔でニコリと笑って、食事を再開しただけだった。
ああ、どこかの悪魔が言っていたっけ。俺たち兄弟の最大の弱点はお互いだって。
どうやらその弱点を克服したらしい弟と違って進歩のない兄の身体は、どこかの穴倉で化け物のエサになっているだろう。




なんか終わらないしサムが今一つ優しくならないのでここで中断。
甘いの!甘いのを心が求めてるんですが!

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