えーと、S1の一話でディーンがサミの部屋に忍び込みますね。
そーすると暗い部屋で撃退してきた弟は、4年の大学生活の間にびっくりするほどまっちょで男臭くなっていたと(S8のサムですから)。しかも鈍っているかと思ったら、ハンター生活してきた自分に勝るとも劣らぬ(自分より強いとは兄の沽券にかけても認めない)体術と、魔物の知識を身に着けている
「大学って実はハンター養成所だったのか!?」
びっくりする兄に苦笑するサム(in無精ひげ)…というネタ。
で、なにせアラステアおじさまも倒し、ルシファーと一体になり、リリスもアバダンも倒したりと経験値が上がりまくってるS8サミーですから、めでたく兄も父も死なせないで(自分も死なないで)黄色い目の悪魔を倒すでしょう。クロスロードの悪魔なんか慣れきった様子で呼び出しまくるので兄貴びっくり。
悪魔もまあ、時間軸がちょっといい加減なところがありますから、呼び出されてみたらぬーっとS8サミがいたりすると、
「うわ!10年後のウィンチェスターだ」
とか言って逃げようとする…のを目の座ったS8サミがばっさばっさとルビーのナイフで倒していくんですね。なんであいつはあんなに悪魔に顔が売れてんだ?といぶかる兄。
それこそルビーを見つけた日には恨みを込めて飛びかかるに違いない。
「おい、どうした」
とか兄貴がびっくりして、
「ちょっとね…」
なんて言葉を濁すサミ。
カードで稼ごうが、偽造カードを出そうが動じない。
「…………思ったよりキーキー言わねえな」
とか兄貴が上目づかいで怪訝そうに見ちゃったりするくらい動じない。
「なにが」
「え?ほれ、お前嫌がってたじゃねーか。法律違反だとかなんとか」
聞いたサムが思わず苦笑する。
「ああ。でもまあ、他に良い手もないしね」
……………ここまで書きつつ、なんだかこの辺は前にも書いた気がする。
いや、もっとこうですね、サミがぴちぴちしたS1の兄貴に目を細めるようなイメージがあったんですけど行きつかないのはなぜだ。
視点か。視点が悪いのか。
S8のサミ視点だとどうなるかな。
(というわけでS8サミの視点)
コルトを手に入れ、黄色い目の悪魔を倒した。
やったぜ、と父と抱き合う兄の姿に目を細める。
ディーンは死ななかった。父も死ななかった。サムの家族は悪魔と契約を交わすこともなく、地獄の責め苦に会うこともない。
「サム」
少しばかりためらいながら、振り返って手を伸ばしてくる兄をしっかりと抱きしめる。
生きて、笑っている若い兄。まだ30にもならない。
悪魔と天使の企みで無理矢理その矜持を折られることもなく、ただ単純に母の仇を討てたことを歓んでいる。
そしてサムの度重なる背信に失望することもなく、ただの弟として見てくれる。
良かった。
改めて腕に力を入れると、ぐえとかげふとか微かな音がした。
「そのくらいにしておけ」
と肩を叩く父の声がして気が付くと、記憶より一回り細いディーンが抱擁で酸欠になりかけていた。
「ごめん、嬉しくてつい」
謝りつつ手を離す。明るいし屈託ないし、無邪気だし、嘘も分かりやすいし、なんてまっさらなままの兄なんだろう。それに陰気な天使もおっさんの吸血鬼もジジイの死神も友達じゃない。
家族が一番。家族が大事。いい年して本気でそんなことを言っていた頃の兄だ。
このままただの魔物を狩るハンター暮らしをするというなら、付き合ってもいい。悪循環への最初の一歩を踏まずに済んだので、狩るのもただの魔物や幽霊だ。ちょろい。平和だ。
だが、サムと家族は少しばかり思惑がずれたようで、抱擁を解いたディーンは心配そうに言った。
「お前、無理に狩りについてこなくていいから、少ししっかり休めよ。俺より4つも若いくせにまるで30越えたおっさんみたいにげっそりしてるじゃねえか」
ああ、こういう不必要に過保護なところは今も昔も変わらないんだなあ、と思いつつサムは口を開く。10年前の自分なら取りあえず反抗するところなのだが様々な経験をしてきた今は違うのだ。
「いいよ。兄貴も一緒に休むんならね」
自分としては弟らしく素直に答えたつもりだったのだが、何とも微妙な顔をした兄と父から同時に聖水をかけられてしまい、サムはやれやれとため息をついた。
……………とかとか、ああ!ツボは見失ったけど視点はサム視点の方が合うらしい。
でもツボは見失ったきり見つかりませんでした。(だめじゃん)
[38回]