10日あまり過ぎてますが気にしなーい!
なんなら兄誕だってきにしなーい。…なんか書いたっけ今年。あ、むぱらか。←本当に記憶が弱くなっている。
えーと、neoteny様の発火燃料でぼひーんと書きだした幼馴染ですが、なんか迷走しだしたので取りあえず一回上げます!
neoteny様は今朝もすげー爆弾を落としてるんですよ、もーどうしよう…
そんなわけで揉めてる頃をずずっと遡って、同居を始めた直後の初々しいサミー。
あ、そうだ。アラブーのサムが可愛くないから初々しいサミーを書こうと思ったんだ!←本当に記憶が
サムが実家から離れたロースクールに通いだして半年あまり経つ。そして幼なじみであるディーンと暮らしだしてから初めてのバレンタインデーだ。
ロースクール入学をきっかけに一緒に住みたいとディーンに言ったのは、サムとしては告白に次ぐ一大決心の末だったが、告白の時同様、拍子抜けするほどあっさりとディーンは同意してくれた。
だが、覚悟していた以上にロースクールでの課題は厳しく、授業自体はせいぜい昼過ぎに終わるというのに、教官からの質問に備える準備や試験対策で、時間はいくらあっても足りなかった。入る前以上に勉強づくめの生活といっていい。
新生活は充実しているものの甘さは限りなく少なく、しかもその理由の大半は自分という現状だった。
さらにろくにバイトする間もなく課題に追いまくられるサムが、家賃や食費の支払いに青くならなくて住んでいるのは、ディーンのおかげだ。新しい町で整備工として職を得たディーンが諸々の支払いを済ませておいてくれて、サムは奨学金などの収入が入り次第自分の分をディーンに返している。もちろん必要経費はしっかり折半にしているのだが、期日の有無の差は大きく、そんなこんなで、サムとしてはディーンに申し訳ないと思う状況が続いていた。
だから今日くらいは恋人らしく過ごすために、自分の方がなにかしたい。
散らかったあれこれを捨てたり脇に除けたりして、取りあえず場所を作る。
ビールとワインをフリッジに放り込み、はたと上着も着たままの自分に気付いた。片付けようと床に置いた鞄を取り上げれば、自然と床に散らばる諸々のごみが目に入る。思わず眉間に皺が寄るのが自分でわかった。
頭がぼーっとして手順がどうにも上手くまとまらないのは、連日の寝不足によるところが大きいのは分かっているのだが、今後も3年間はこの暮らしが続くのは確定済みだ。多分その先に待つ弁護士としての生活も似たようなものだろう。
「…落ち着け」
仮にディーンが準備の途中で帰ってきたとしてもだ。帰ってきたら着替えをしてシャワーくらいするだろうし、温めて食べるだけの料理は一緒に並べればいい。
だけど食べかすを捨てたり掃除機をかけるのはなにをどうしても恋人らしい雰囲気にはならない。だからまずはこの床をどうにかしよう。その前に鞄をしまって着替えだ。
サムは息をつくとずっしりと本が詰め込まれた鞄を持ち上げた。
今年のバレンタインデーは微妙だ。
仕事を終えたあと、一杯やらないかという同僚(結構可愛い)からの誘いをやんわり断って、ディーンは帰り道にやや大型のスーパーに立ち寄っていた。適当なスナックと新しい映画のDVDをかごに放り込む。
去年まではその時付き合っている相手と飲みに行ったり、特定の相手がいないときはフリーの立場で飲みに行ったり、まあ言ってみれば大した気構えもなく気楽なイベントとして過ごしてきたのだ。
だが、今年は朝出掛けに、
「今日は絶対早く帰るから!」
と言い置いて出掛けたサムのことがある。
正直あてにはならないが無下にもできない。念願かなってロースクールに入ったサムの生活は傍から見ていてもかなりハードで、昔からよく勉強する奴だとは思っていたが、一緒に暮らし出してみると文字通り朝も昼も夜も休日も分厚い本と格闘している。
だから正直バレンタインデーどころではないだろうと思うのだが、先月のディーンの誕生日に「なるべく早く帰るね」と言いつつ日付変更ギリギリの帰宅になったのをまだ気にしているらしい。何となくリベンジと思い詰めている気配が伝わってくる。
ディーンとしては結局サムがその次の週末を完全に休みにして一緒に映画を観に行ったのでそれで十分だと思うのだが、どうもサムは記念日とかイベントにこだわる性質だ。
そんなわけでディーンは各方面からの誘いを断って家路を急ぎつつ、夜中までサムを待つことになるんだろうなあと半分以上思っていた。
だが。
「おかえり!」
「おう」
灯りのついた窓に(帰れたのか)と意外に思いつつドアを開けると、なにやらテーブルにあれこれ並べていたサムがぱあっと顔を明るくして振り返った。
「帰れたのか。すげえな」
「だろ?」
嬉しさと得意さが半々になったような顔でサムが笑う。
「すぐ食べられるけど、シャワーとかするならどうぞ?」
うわ。
なんだか眩暈を感じてディーンは黙る。面と向かって言うとどうせキーキー文句を言うだろうが、久々に見る機嫌が良いサムはやたらと可愛い。そう言えば最近はきりきりした顔で勉強しているか、どうでもよさそうなこと(洗面所の床だの冷蔵庫の中身だの)を気にして滅入りこんだ顔ばかり見ていたから余計だ。
何となく感動しながら取りあえずスーパーの買い物袋をキッチンの流しの横に置いた。
「なにそれ」
「あ?ちょっとな」
今日は出番のなくなったDVDとスナックの意味するところは明らかだったようで、袋を覗きこんだサムの顔が「なるほど」と言いたげなものになる。
帰るって言ったのに信用しないのか、とかプンスカしだすかとディーンは何となく構えるが予想は外れ、サムは顔をあげてニコリと笑った。
「これ、観たかった奴だ。あとでかけない?」
何となく大人っぽくなってきた顔に小さい頃と同じようにえくぼが浮かぶ。
ああもう可愛いなこいつは。
再度頭をグシャグシャ撫でてやりたい衝動に駆られるが、せっかく可愛いのがプンスカしだすのがもったいなくてディーンはその手を頭より少し下に向けて伸ばし、ちょっと首を引き寄せてキスをした。
嬉しそうに笑ったサムが、腕を回してキスを返してくる。
ゆっくり二人で食事をするのも、寝る間際や出かけ際でないキスをするのも結構久しぶりで、なるほど、サムの記念日こだわりも悪くないなとディーンは胸の中で呟いた。
だが、完璧と言うわけにはいかなかった。
サムの買ってきた夕食を食べた後、一緒に新しいDVDを観て、ディーンの寝室に雪崩れ込んだ。ディーンとしては連れ込んだつもりだったのだが相手の方もそう思っていたものだから、えらく久々に主導権争いですったもんだした。そしてサムがどうしても先がいいと言うので渋々トップを譲り、えらく長い第一ラウンドを終えてさて俺の番と向きなおったら、寝不足と満腹と満足がそろった年下の恋人はぱったりと熟睡していたのだ。
「ふざけんなよおい…」
低く唸ってもすーすー眠る顔は穏かに満足そうで、ディーンは揺り起しかけた手をおろしてため息をついたのだった。
なんかものすごくポイントを見失ったけど終わる!