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海外ドラマの超常現象の兄弟(SD)を中心に、頭の中にほわほわ浮かぶ楽しいことをつぶやく日記です。 二次創作、BL等に流れることも多々ありますので嫌いな方は閲覧をご遠慮くださいませ。
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アラブ太腕繁盛記11

はい、というわけで(どんなわけだ)、neoteny様のところにごっつう可愛い三十路SDのバレンタインモノが上がっているのは皆様ご覧になりましたでしょうか?
もー、出勤前に読んでしまった私は仕事に行くのを止めて幼馴染書きたくなって困りました。その余韻を引きずった本日ですが、なぜか幼馴染の前にあらぶーの続きになりました。
頭と手が連動してないなあ。
そろそろハーレクイン的にうわーーーっと盛り上がってしゃーっと終わらせないと収取つかん、と思いつつの続きです。(しゃーっとした終わりってなんだろう…)







 


案の定というかなんと言うか、サムと二人の妃達は実に政治的な結婚をしていた。サムが生まれて半年経つ頃には、もう婚約者がいたというのだから驚きだ。
「アザゼル様とルシファー様は、それぞれ違う部族のご出身なの。先に結婚されたのはアザゼル様だけど、部族的にはルシファー様の方が高位。わかる?」
「ああ」
顧客の血縁や姻戚関係は重要なので、そういった情報を頭に入れるのは慣れていた。慣れてはいるがなかなかすごい。マディソンが端末で見せてくれた公式行事でサムの後ろに並ぶ二人の正妃の姿が、年の差云々をおいても迫力だったこともある。しかし容姿は自分で選んだわけではないので、その感想は危うく控えた。二人ともお妃というより悪役的面構えだとか絶対に言ったらまずい。


「どちらにもお子が産まれていないの」
「ふうん」
「サムは世継ぎじゃないから、その辺りもよかったみたいね」
とにかく王家との婚姻がなされれば良かったということか。赤ん坊のサムと結婚したときに、二人とも既にかなりの年齢だったらしい。物心つくころには迫力のある奥方が二人もいたサムの心境は想像するしかないが、やたらと愛妾を抱え込む性癖は、その辺りからくるのだろうか。
「だから宮殿の愛妾は皆思ってるのよね。誰かがサムの一番になったらどうなるのかしら、もしも子供が産まれたら、その子は無事に育つことができるのかしらって」
「…なるほど」


お払い箱寸前で首をつなぐ野郎の外国人も大概面倒だと思っていたが、正当(?)な愛妾は愛妾で気苦労があるらしい。


「だから、最近みんなはサムの『最後の人』が気になるのよ」
「……そこがよくわからん」
男の身としては、何かトラブルがあって人攫いに懲りたか、新しい美女に熱烈な求愛をする元気がなくなったかくらいしか思いつかないのだが。
それでもこの時点でディーンは、取りあえずは平和なお払い箱生活が続くとしか思っていなかった。


 


 


マディソン達との茶会から数日後のことだ。
唐突に社長室に呼び出されると、デスクの後ろからロキとサムが並んでこちらを見るのでディーンはぎょっとして入り口近くで足を止めた。顔には動揺を出さなかったと思いたい。


「何か…」
「あー、実はな」
「ロキがお前を下げ渡して欲しいと言っている」
口を開きかけたところで、社長とオーナーの発言がかぶさってくる。


「…は?」
文字通り頭が一瞬白くなった。
デスクの後ろで足を組むサムに目を向けると、長い脚を邪魔そうに組んだ顔は見たことがない無表情をしている。
「ロキの元に行きたいか?」
視線を横に移すとたまに顔を見る小柄な社長は何とも言えない苦い顔をしている。こちらの様子を見ていたことがあるのは知っていたが、賭けてもいいが、ディーンにその手の興味を持つ手合いとは思えない。
だとすると、どこから『下げ渡し』などと言う言葉が出てくるのか。
黙っていると、微かに眉を顰めてサムが言葉を続ける。


「僕の元を離れて、ロキのものになりたいかと訊いている」
「おいおい」
「黙ってろ」
勘弁しろというように口を挟む社長を、とげのある口調で切り捨てる。確か血縁だという社長は、お手上げだと言いたげに椅子を後ろにずらし天井を見上げてしまう。
身体も言動も軽そうに見えるが、確かかなり先進的で合理的な考え方をするトップだったはずだ。そんな男がサムの飽きられた愛妾を払い下げでもらいたいと言ってきた。十中八九、色気抜きの用事だろう。新しい海外支店ができたとかいう話も小耳にはさんでいる。
もしかして、ロキの駒になることでそういった仕事をするチャンスが回ってくるということだろうか。
微かに脈が速くなるような気がする。だが問題はそれがあくまでディーンの想像という点だ。


「それは、そうした方がこの会社に貢献できるということでしょうか?」
せいぜい気を使って尋ねるのだが機嫌の悪そうなサムには通じない。
「質問は許していない。訊いているのは僕だ」
「では、仮に社長の元に行くことの目的が、私の出自やスキルを業務上生かすことだとしてお答えしますが…」
「誰がそんなことを訊いている。ロキの愛妾になって抱かれたいかと言っているんだ」


…ダメだこりゃ。


多分その瞬間デスクの後ろの社長と、入り口側に立つ自分は同じような表情をしたな、とディーンは思う。想像するだけで気色悪い。


「この国では人攫いだけでなく、人身売買や奴隷制もやってるのか」
遠慮を放り捨てて吐き捨てるような口調で言うと、サムがにんまりと笑う。
「…で?」
「反吐が出るぜ」


顔をしかめたディーンを満足そうに見やって、サムはロキを振り返った。
「残念だがロキ、ディーンは気が進まないらしい」
「持ち物の意向を優先するのか?どっちが主だよ」
眉を上げてロキが指摘するが、サムの口許の笑みは消えない。
「ただでさえ寂しい境遇に置いている。あえてさらに悲しませたくはないな」
何言ってやがんだか。内心で思いっきり突っ込むが、顔の筋肉は動かさない。
「へえへえそうかい」
血縁の気安さなのだろう、社長の方は遠慮なく放り投げたような物言いをしたが、サムは気にする様子を見せなかった。


「戻っていいぞ」
この案件はダメだった、終わり。そう言わんばかりの切り替えた社長の表情に、この部屋に入って何となく一番ダメージを受けながらディーンは部屋を出ようとした。
と、背後からサムの声が追ってくる。


「待てディーン。明日からしばらく休みだったな?」
なんでそんなことを知っている。心の中で突っ込むが、そう言えば例の侍従に行動予定はあらかた把握されているのを思いだす。
形だけでも愛妾なので、人と会うなどは相変わらず制限されているが、細々とした買い物と、街で買ったDVDでも観ようかと思っていた。
「そうですが」
何となく嫌な予感に腰が引ける。サムは読みづらい表情で言葉を続けた。
「たまにはこちらに来ると良い。明日の朝迎えをやる」
「は?」
「休みはこちらで過ごせ」


瞬間、まさに血の気が引いた気がした。


 


 


そろそろ終わろうと思いつつまだ続く


 


 


 


 

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