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海外ドラマの超常現象の兄弟(SD)を中心に、頭の中にほわほわ浮かぶ楽しいことをつぶやく日記です。 二次創作、BL等に流れることも多々ありますので嫌いな方は閲覧をご遠慮くださいませ。
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アラブ太腕繁盛記10(あらぶーなサムとスミスさん)

えー、ほんとはムパラの日に「エアムパラ!」とかしたかったのですが間に合わなかった(酔い酔いになっていた)ので。

あんまり進んでませんけどあらぶーのつづきー
今日はこれからお仕事っす。夜の仕事だとオフでも夕方に飲めなくてやですね(←懲りてない)
ちゃんとペイ出るからいいけどさ!







「お前さ、あいつを今後どうする気だ?」
役員用の食事テーブルで、柔らかく蒸した鶏肉をむしりながら、ロキがサムに問いかけた。
「どうするって?」
さっさと食べ終わって指を拭いていたサムが、じろりとロキを見やる。この場合の「あいつ」が誰を指すかは明らかだった。
「脇で見てる感じじゃ、ほとんど放置しつつ、最低限の立場は守ってやってるってところだろ」
「お前が口出しするところじゃないだろう」
「まあ聞けよ。で、お前の愛妾の立場だと、うっかり一年忘れられたら終わりだよな」
切り捨てるようなサムの口調に頓着せず、ロキはずけずけと言葉を続ける。その間も食べる手は止めないので、ぼろぼろとテーブル周りに食べかすが落ちるのにサムは顔をしかめたが、ロキは西洋教育を受けた従兄弟の非難の視線をこれまた綺麗にスルーする。
「無理矢理連れてきて、『熱は冷めたが見殺しにするほど情は無くない』ってとこか」
「何が言いたい」
「別にお前の多情は昔っからだろ。あの奥方たちじゃ無理ねえと思うし、そこはどうでもいい」
ぱたぱたと手を振ると、眉をしかめつつ茶を飲むサムに「食っちまうから待て」と言い置いて骨まで軟らかく蒸した鶏の最後の一片に専念する。
「うう、旨い」
行儀悪く脂のついた指を舐めると、脇におかれた布で口の周りを拭う。
「もう愛妾としてはいらねえけど、死なすには忍びないってんなら、お前さ、ディーンを俺に下賜しねえか」
茶碗を持つサムの手がピタリと止まった。
「なんだと」
「先に言っとくが、俺はあんなでかくてごつい男なんか興味はねえぞ」
飽きっぽいくせに独占欲と妬心が強い従兄弟の性分を知っているロキは先に釘を指す。
「じゃあ何のつもりだ」
「使いにくいんだよ、お前の愛妾だと。今、ちょうど欧米とのやり取りに使える奴が欲しいんだ。だけどお前の愛妾ってんだと出張もさせられねえ、転勤もさせられねえ、それどころか外出にも同伴だ。儚げで色っぽい女ならまだ分かるが、アレにだぞ!」
「アレとは何だ」
問い返すサムの口調に、めんどくさい気配を感じ取って、ロキはディーンの身長体重がこの国の平均を越えていることについて言い募るのを止めた。
飽きっぽいくせに思いきりの悪い男と言うのは本当に面倒くさい。
もう今日はこの話やめよっかなー、と思うが、生憎とサムの方がこのまま済ます気はなさそうだった。
「あー、まあいいよ。お前の趣味だ」
「アレとは何だと聞いている」
その辺の奴なら、ひんやりとした口調と目つきに肝を冷やすのだろうが、生憎とロキはサムがそれこそ赤ん坊のころから知っているので痛くもかゆくもない。
「あいつはその辺の奴よりでかい。もちろん俺よりもな」
「ああ」
途端に『そういうことか』と分かりやすく顔に出し、サムは優越感に満ちた笑みを浮かべた。
(嫌な野郎だなあ)
と、ロキは目の前の背の高い従兄弟に向けて、心の中で先ほどの蒸し鶏の骨を投げつける。

「それでだな。お前があいつを俺に下賜したらだな、俺はさっさとあいつを解放する」
「なに?」
サムが目を見開く。
「そんで、一般市民の身分をやって普通に社員として働かす。ちょうど欧米の支店を作ってるから、うちのスタッフの他に向こうの考え方と疎通が取れる奴が欲しい」
「本気か」
「直系王族の愛妾に辞めるって概念はないが、下賜はあるだろ。で、王族っても俺たちの辺りになると愛妾についての予算も慣習もねえ。お前はあいつの身の安全を気にせずに手放せる。あいつもカレンダーにアラーム付けて、お前に会いに行く日程を無理矢理作らなくて済む。王室の予算は減る。俺には使い勝手のいいスタッフができる。いいことづくめじゃねえか」
な?と得意そうに胸を張るロキに、サムは答えず茶をもう一口飲んだ。


 


「最近はディーンは『さいごの人』って呼ばれてるのよ」
マディソンにそう言われ、ディーンは怪訝な顔をした。
「なんだそれ?」
「まだ来ないのよ、サムの次の人が。で、最後にサムが連れてきた人であるディーンにみんな興味津々みたい」
メグが肩をすくめる。
休日の茶会は相変わらず話題があろうとなかろうとのんびり続いていたが、最近は後宮をでたマディソンやメグだけでなく、宮殿の部屋に住んでいる女達(タイプは色々だが美人だ)がちょくちょく飛び入り参加してくることが多い。
目の保養だとは思っていたが、そんなにじろじろ見られた印象もないので意外だった。
「とは言っても、ほとんどサムとは会ってないんだがな」
呟くとマディソンとメグは顔を見合わせてクスクス笑う。
「おもしろいわよね」
「不思議よね」


自分で最後と言われても、すでに自宅に二桁を越える美女達がいるのだ(数えたことはないが)。
「単に体力が落ちたとかじゃないか」
「あら、それダメよ。ご主人様への不敬罪になっちゃう」
マディソンにたしなめられ、慌てて口をつぐむ。ちらりとメグと見交わしたマディソンが、今日も周囲をぐるりと囲む黒服の一人を手招きすると、何やら耳元で囁く。と、黒服達が一斉に壁際まで下がった。
「?なんだ?」
驚いて見回すディーンにマディソンが笑う。
「ちょっと女同士の話をするから、聞こえないところまで下がるように言ったの」
そしてもっと近づくように手招きするので、ディーンはメグとマディソンの方へ身を乗り出した。

「サムのお妃さまたちを知っている?」
もちろん知るわけがなかった。

続く









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