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海外ドラマの超常現象の兄弟(SD)を中心に、頭の中にほわほわ浮かぶ楽しいことをつぶやく日記です。 二次創作、BL等に流れることも多々ありますので嫌いな方は閲覧をご遠慮くださいませ。
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アラブ太腕繁盛記6(アラブサムとスミスさん)

今日はオフなのでアラブの続きが出ましたー。
お礼は今夜させていただきまーす。







「珍しいわよね。まだ新しい人の話を聞かないなんて」
風通しのいい茶店のゆったりした椅子に腰をかけたマディソンが、小さく首をかしげた。
「本当に」
午前中に新しく塗ったのだという鼈甲のような光沢の爪で、茶請けの種を割ろうとしながらメグが同意する。
「そうなのか?」
「ええ」
マディソンが返し、メグが頷く。
「なのでまだディーンが最新の人よ」
「もう随分経つのにね」
「へえ」
最新と言われても、迂遠になっていることは変わらないので「だからどうした」という感じではある。
「その分仕事も公務も熱心らしいけど」
「周囲は安心してるでしょうね」
「誰かに夢中な時って、それが最優先になるものねサムって」
ねえ?と同意を求められてディーンは苦笑する。
「まあ、そうかもな」
「ディーンを連れてきたって聞いた時、みんなびっくりしたのよ。ついにサムったら海を越えて無茶をしたって」
「ロマンチックって言う人もいたけどね」
「…まあ、その辺の無茶で多少は懲りたのかもな」
うっかりサムの会社と取引のあるビジネスマンが今後年に一人ずつ攫われてくる光景を想像してしまい、むせそうになる。顔見知りが来たりしたら気まずいことこの上ないだろう。店のものがすかさず差し出した小さなタオルで口元を抑えた。
「どうしたの?」
「いや、別に」

と、不意に入り口がざわめき、周囲の黒服がそれぞれの主人に耳打ちをする。ディーンも背後を振り返るが、生憎と今日の同行者はあまりなじみのない面々で、ご注進などはしてくれそうもなかった。
振り返ると、マディソン達の表情が変わっている。
「本当に珍しいわね」
「全くね」
「…どうした」
怖い。何がどうだというのではないが、二人とも微笑んだ顔がものすごく怖い。
「サムが来たんですって」
「ご主人様がね」
「同席してもいいかですって」
「もちろんよね」
サムに二人のこの顔を見せてやったら、色々と女性との付き合いについて考えなおすんじゃないだろうかと思うほどに怖い。ディーンも元々はすぐ熱くなりすぐ冷めるような恋を繰り返すタイプだったからなおさらそう感じるのかもしれないが。


「すまないね、女性同士の場に割り込んで」
変わり映えのしない二人の侍従を後ろに連れて、サムが入って来た。マディソンの頬に軽くキスをした後、同様にメグに挨拶をする。
「お久しぶり」
「お元気そうね」
マディソン達が先ほどとはまた違う顔で微笑む。ディーンの方にも来るのかと思ったがそれはなく、サムは店が用意した新しい椅子に腰かけると、目線だけ向け、
「やあ」
と微かに微笑んだ。どうしたものかと思いつつ、ディーンも「礼儀正しい系、親密度控えめ」で微笑みつつ軽く会釈を返す。

「どうしたの?珍しい」
率直なマディソンの問いに、サムは
「仕事と公務の合間でね。近くを通ったから」
と答えている。その脇でメグが軽く合図をして店の者を呼び、何やら言いつけた。
「マディソンの仕事は順調?」
「ええ、まあね。今度用地の貸借期間のことで協会の委員長と会うのよ」
「僕からもよろしく言っておくよ」
「ありがとう」
「メグは?」
「皆元気にしてるわ。父と母が今度会いに行くって」
「楽しみにしてるよ」
運ばれてきた新しい茶器をサムが取り上げ、メグに微笑む。寵の薄れた(しかし後ろ盾がある)愛妾と、主人の会話というのはなかなか興味深いものだった。独特の空気感にディーンは見物に徹することにして、置かれた菓子に手を伸ばした。帰ったらウェイトトレーニングを少し多めにしよう。


 


しばらく二人と話をした後、サムは席を立った。
愛妾の気楽さなのか、マディソンもメグも見送りはせずにそのまま茶を続行していたのでディーンもそれに倣っていたが、帰り際に足が止まり上から声が降ってくる。
「来月約束があったか?」
見上げてディーンはにっこり笑う。
「はい。そちらの侍従の方にお願いを」
視線で指すと、サムの背後で今日も陰気な男が口を開く。
「火曜日の朝8時50分に36階オフィスに来ることになっています」
月に一度の定例会があり、サムは必ずディーンの勤める社に立ち寄る。ディーンもサムも、通常の動線上で用が足せるいい機会だった。
「会議は9時からだ」
「お手間は取らせません」
ダメ押しでにっこり微笑む。
要は指一本でも触れればいいのだ。挨拶を入れても1分、いや15秒で終わる。


サムの一行が出て行き、車の音が遠ざかると、マディソンとメグが顔を見合わせておかしそうな顔をする。
「さっきのサム見た?」
「見たが」
何が可笑しいのかわからず、ディーンは卓を囲む女性陣を交互に見る。
「自分からディーンに話しかけられなかったわよね」
「絶対、私たちがディーンを話に誘うのを待ってたのよ」
「助けてあげなかったら、ほんとに最後まで声をかけられないんだものね」
おっかしい、助けてあげないわよねえときゃあきゃあ笑い崩れる。
「やっぱりサムにしては珍しいわ。ディーン、頑張れば現役復帰できるかもよ」
メグが妙にキラキラした目をして囁いた。複数の女性が一人の男に同列に並ぶというこの国で、この言葉はどういう意図に取ればよいのだろうとディーンはふと悩む。だが言うことは大して選択肢がなかった。
「宮殿は職場から遠いし、仕事を中断させられちゃ敵わない」
指一本触れて、タッチ&ゴーさせてくれたらそれがベストだ。
時は金なり。スケジュールは来週も来月も一杯だった。


ラブに近づくべく頑張る私。脳内にはあるんです、ラブの設定が。
でもシーンが出てないまだ…


 


 

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