うおー、今日は危なかった。
ペーパーで端折りが多くなった部分に入り、うっかり日付超えるかと思いました。
「君は殿下の愛妾だ。その立場を忘れるな」
うんざりとソファで伸びるディーンに侍従がぼそぼそと説教する。
「だから他人と付き合うなってか?それじゃ仕事にならん」
「社外または仕事時間外では慎め」
「外に行かんと営業にならないだろうが」
「何があるかわからんだろうが」
「仕事で相手先と飲んで何があるってんだ」
「………」
途端に渋い顔の侍従がさらに苦々しい顔をして黙り込み、ディーンは思いだした。
そういえばあったのだ。仕事先で飲んだだけで目が覚めたら知らない国だった事態が。
少し改まって尋ねる。
「訊くが、この国では仕事相手でもなんでも、見かけて気に入ったら捕まえて連れてくってのは日常的にあるのか」
「…………王族の愛妾に手を出すような不埒なものはいるまい。君の立場としての貞節の問題を言っている」
貞節。
質問への直接の答えはなかったが、まあ「この国では拉致当たり前」とも「そんな犯罪行為はない」とも言いづらいことには変わりないだろう。
だが、今のディーンの立場でも話ができる若い女性が皆無というわけでもなかった。
「それでサムは元気なの?」
小さな茶器を取り上げながらブルネットの女性が微笑む。
「さあな、ここしばらく会ってないし」
「でもまだ、次の人が来たって話も聞かないから、ディーンが最新なのよね」
もう一人が眉を上げながら茶請けに出された小さな種を割る。
「次が来たらすぐわかるもんなのか?」
「「そりゃあもう!」」
二人の声がきれいに揃った。
「訊いてもいないのに周囲の誰か彼かがご注進に来てくれるもの」
「別に良いのにね」
「ねえ?」
二人は顔を合わせて肩をすくめる。
明るい日曜の昼下がり、三人が座る茶店の卓の周囲には、それぞれについた黒装束の御伴がぞろぞろだ。
マディソンはサムとの仲は良かったが、親族間のゴタゴタでサムの足が遠のき、元就いていた仕事に戻りたいと町中にでたそうだ。
もう一人のメグには、サムが文字通り一目ぼれで熱烈だったが、その後性格が分かるにつれて迂遠になったらしい。
つまり、三人はサムの愛妾同士であり、それなら交流OKということだ。
(何だかなあ)
二人とも美人なのに。
ディーンは何ともいえない気分で茶を啜った。
まだ続く。ラブはどっちだ。
ペーパーで端折ったハーレム住民同士のやり取りを入れたらなんか時間がかかってしまいました。
サムから離れた者同士が、結構仲いいといいなあ。よくお茶したり買い物したりするの。
ルビーは性格悪いけど、有力な一族(リリスだな)がいるからサムも無下にできないでいると。