MOLとして育ったサムだけど、ハンターだった人生の記憶もなぜかある。
ので、時々リアルな夢を見る。
それこそジェスの夢とか、自分が悪魔の血を飲まされたこととか、自分から飲んだこととか。ルシファーと檻に墜ちただの何だの。ヘンリーじいちゃんが過去から飛んでくるまでですから、S8の12話(だっけ?)までの記憶ですねー。
で、単なる悪夢とおもいたいんだけど、悪魔対策とかモンスター対策とか天使除けの魔法陣とか、現実に通用しちゃう知識も見ているので否定しきれない。
ので、そんな夢を続けて見たりすると、時々不安になる。でもジョンパパもディーンもその世界のことは知らないので、一人で抱えるしかないんですね。
ルビーに騙されてルシファー解放しちゃう辺りなんかを夢に見た日には、絶望的な気分で飛び起きる。飛び起きて今いるのが自宅の寝室だって気が付くんだけど、もう一度寝る気には慣れなくてガウンでも羽織って部屋を出るんですね。
で、家の中をウロウロしてたらディーンの部屋に明かりがついてて、
「起きてるの?」
と覗く。と、ディーンは何か机で調べ物してるんですね。め…眼鏡かけてもいいな(願望)。でもキャラが変わっちゃうな。ディーンは目はいいもんな。眼鏡断念。ちぇ。で、
「どうした?」
とか振り返るのに、
「ちょっと夢見が悪くて」
と答えるサム。少し眉を動かすディーンの顔を見てて思わず
「入ってもいい?」
とか言っちゃう。子供の頃は怖い夢見てはディーンのベッドに駆け込んでたわけですが、大人になったらさすがにそれはしてません。が、今日の悪夢は強烈だったと。もう自分を消しちゃいたいような自己嫌悪と絶望感どっぷりなわけです。
思わず言っちゃってから「口がすべった」とか思うんだけど、兄貴は驚いた様子もなくちらっとサムの顔を見て、
「寝るならソファ使え」
とか持ってるペンで指すんです。個室にソファがあるのか、と言われればあるんです。ソファが。
「うん…」
とかためらってるサムが入り口で入りかねてると、ああ、って感じに顔を上げて
「枕がいるなら取って来い。毛布はないぞ」
とか言うんですね。子供の頃は枕持参だったわけです。サムが苦笑して
「さすがにそこまではいいよ」
とか言いながらソファに座る。クッションはあるから枕は不要。凭れかかって、
「何調べてるの?」
とかちょっと訊いたり、ディーンがぽつぽつ答えたりする。机の上に酒の瓶とグラスがあるのを見て、
「少しもらってもいい?」
とか訊くんだけど、グラスの予備がない。取って来ようかなと立ちかけるんだけど、サムの声しか聴いてないディーンが、書き物しながら
「ひと口ならな」
って言ったのでちょっと止まる。でも少し笑いたいような気分になりつつそのまま飲みかけグラスもってひと口飲む。そうして辺りを見回すと、落ち着いた色彩の家具のある兄の部屋だし、灯りは落とし気味で柔らかい色合いだし、ディーンがパラパラページをめくる音とか、時々書きつけるペンの音とかがして現実感が戻ってくる。
もう一口飲むと何だかほっとして兄の横顔見ながら小さく笑うサム。
そのうちディーンは書き物終わって立ち上がり、寝ようとするんだけど、
「ひと口って言っただろうが」
と半分以上減ったグラスを見て軽く咎めるんだな。で、サムは
「ごめん」
とか言いつつすっかり平和な気分になってると。毛布はないけどブランケットぐらいはあるかな。そんでディーンが「消すぞ」とか言ってサムはそのまま兄の部屋で寝るんですね。
ディーンもサムも平和なんだけど、翌日兄の部屋からサムが出てくるのを見た周囲(メイドさんとかいるかなあ)は、
「やっぱりあの兄弟距離が近い…」
と遠巻きにすると。
おおお!突貫でもなんとかなったではないか。いや、突貫はいつもだけど。
[24回]