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海外ドラマの超常現象の兄弟(SD)を中心に、頭の中にほわほわ浮かぶ楽しいことをつぶやく日記です。 二次創作、BL等に流れることも多々ありますので嫌いな方は閲覧をご遠慮くださいませ。
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いい兄の日再び(淡々同居)

というわけで今日こそは当日中に更新を目指しております。
11月23日なので「いい兄さんの日」
今日も激務のkさまに、先日のむーぱらのアフターで盛大に日本酒をひっかけて寒い思いをさせたので、一発書きを捧げます!いえーい。

140文字のお題より 淡々同居で「目を閉じれば」 






目を閉じれば炎が見える。


母と生まれ育った家を燃やし尽くした炎。
父を弔った炎。
いつか自分の身体も、同じように消し去らなくてはならない。
そして決して告げるつもりはないが、弟の身体もだ。仇を滅ぼしてもまとわりつく因縁と呪われた悪魔の血。

だが、転寝から醒めると陽の差し込む静かな部屋だ。
柔らかいクロスとカーテンの色はすっかり目になじんでしまった。
弟のマンションで、自分が居座り続けている小さな客間。
長い調査の時でも、数か月を越えて同じ場所に留まったことなどない。だが、すぐに気が変わるだろうと思った弟は、意外にも1年以上たった今でも、うとましがっていた家族である自分に出ていってほしそうな気配を見せていなかった。


本来なら、自分から出ていくべきなのだろう。
弟の暮らしを思う家族であるなら。普通の兄らしい兄であるなら。


だが、狩の中の暮らしでそんな正常な感覚は擦り切れてしまい、もうどこを探しても見つからない。
自分はハンターだ。狩りたて、追い詰め、秘密を暴き、仕留める。結果がすべてで手段は問わない。「人間を助けるんだ」という父の声以外、自らを律するものはない。
法律も良識も、狩りの支障になるものは全て無視して生きてきた。その付けが来るのかこないのか、そんなことも本命の悪魔を倒した今はどうでもいい些末事だ。
狩りを終えた自分は、役目を終えたハンター以外の何物でもない。
今さらまともな市民にも、兄にも、子供の頃画用紙に描いた消防士にもなりはしない。


狩りをしない狩人として朽ちていく。


そんな兄を追いたてない選択をしているのはサムだ。ならば自分は自分の都合に合う限りここにいるだろう。その結果、サムの新しい出会いや仕事が上手くいかなかろうと、弟自身の責任だ。


その代わりサムが一言でも口に出したなら、速やかにこの場を去ることは決めていた。


とはいうもののだ。
『今日って家にいる?』
「ああ」
『ちょうど良かった、夕方に荷物が届くから受け取って、リビングの奥に設置してもらって』
「わかった」


ディーンの決意にもかかわらず、サムは相変わらず出ていってほしそうな気配を見せない。
午前中にかかってきた電話は別の意味でいかにも怪し気だった。
今日ディーンが休みであることは、数日前の会話でとっくに承知だったはずの上に、努めて平常を装おうとしているサムの声が、明らかに『何か企んでます』と分かりやすいものだったからだ。
こいつはこれで弁護士としてやっていけるんだろうかと、ふと疑問に思ってしまうほどだった。

だがその企みの色は、例えばごく小さかった頃のサムが、学校から帰るディーンにモーテルの女主人からもらったプディングの皿を自慢そうに見せた時のような雰囲気で、おそらくは仕事に就いている時の顔とは別なのだろう。


そして夕方、サムの連絡通りの時間にベルが鳴り、業者がえらく大きな荷物を運んできた。


 


「ただいま!荷物届いた?」
ディーンの疑問をよそに、サムは今日も日付変更ギリギリの時間帯に帰ってきた。いつもより心なしか声のトーンが高いのは、あの荷物のせいなのかもしれない。
「おう、あっちにおいてあるぞ」
ディーンが指でさすとサムは目線をリビングの端に向け、そして同じような妙にきらきら光って見える目でディーンの方を向く。
「使った?」
「ああ」
運ばれたのは黒革のリクライニング機能のついたマッサージチェアだった。荷物の受け取り賃代わりに、一通り使ってみた。注文主より先に使うとは云々を気にするのなら、兄弟に受け取らせるのが間違いだ。


が、それは想定内だったらしい、むしろ満足そうにニヤニヤ笑う。
「すごいだろ。人間の手の動きを48パターンも再現するマッサージ機なんだって」
「ああ、確かにすげえな」
モーテルのクオーターコインで動くマッサージ機とはえらい違いだ。
「ま、僕のだけど、いない時間なら勝手に使ってもいいよ」
「…それはほとんどいつでも使い放題じゃないのか」
「僕がいるときには僕に断って使ってくれってことだよ」


そしてせっかく買った高級マシンだというのに自分は座ろうともせず、説明書を開いてディーンにああだこうだとセールスマンのごとくこのマシンがいかに高機能かをとうとうと説明する。
そして一通りセールストークを終えると、
「今日は遅いから」
と自分で使いもせずに自室に引き上げてしまった。
「……ま、いいけどな」
ディーンはコードでつながったリモコンを取り上げると、リクライニングボタンを押す。静かな作動音で背もたれが下がり、逆に足置きが上がる。何となくSF映画のセットのようだ。
車だとこういう電気で動く装置は許しがたいが、その他の機器だと面白い。機械音痴の弟が触れなかった機能が解説書にはまだいくつかあったので、ディーンは少しの間リビングであれこれとリモコンをいじっていた。


その翌日、事務所でサムは
「お前、もしかしてまた『いい兄さんの日』でなにかやったのか」
と同僚にからかい交じりに訊かれ、
「今年はすごいよ。新型のマッサージチェアを買った」
と大真面目に答えて、事務所中の沈黙と注目を浴びた。さらに
「なんでマッサージ器なんだよ」
と訊かれて
「昔からやたらとマッサージマシンが好きな兄で」
と返したものだから、『ウィンチェスターのブラコン疑惑』はほぼ確定情報として事務所内外に知られることになったのだった。


 


 なんか雰囲気変わったかな?でもまあ、気持ちなので。
Kさま今日もおつかれさまでーーーーす!


 

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