目が覚めると、ちょうど夜が明けかける時間帯だった。
群青と、オレンジと、白とが混ざった空を何となく眺める。雲が陰になり、妙に強いコントラストだ。
ディーンはベッドの上でそれをしばらく眺め、無言で起き上がった。
(見ろよ、すげえ空だな)
別にしてもしなくてもいい会話だ。だが、もしも弟がここにいたのなら、ぐうぐう寝ていようとも揺さぶり起こしてそう言うだろう。
だが今は一人だ。
日が上るにつれ、色は薄まる。ただの、朝の空になる。
狩りの準備があれば、こんなぐだぐだしたことは考えないのに、間の悪いことに今は何も情報がなかった。
どうせ暇ならいっそもう一度寝るか。
思いかけたところにモーテルの扉が開き、紙袋を抱えたサムが入ってくる。
正確には魂の欠けたサムの身体が。
「戻ったのか」
眠りを必要としない弟は、夜の時間が無駄だと別行動していることが多い。
「買い物してくるって言ったろ」
「ふうん」
生返事をしながら転がる。
「外を歩いてたら、朝焼けがすごかった」
「見たのか」
「外にいたからね」
「魂がなくても、空なんぞ気になるのか」
「なっちゃ悪い?」
「別に」
絡んでくるのに構わず、また目を閉じる。
無神経なロボットとの数語だというのに、先ほど感じた空白が少しばかり埋まった気がしてしまうのが口惜しかった。
今日、朝の空が何となく頭に残ったので
[15回]
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