さて、むっぱらは終わりました。
猫の宅配便が在庫を届けてくれるのは明日です。
ぽかんと空いた頭に、軍靴の音が響きます。ザッザッザッ。
私の背後(脳内)でピタリと止まりました。
………軍曹殿が
「貴様のたるみ具合には愛想が尽きた」
と銃剣を構えられているので、転がっていたカーペットから起き上がって何か小ネタでもひねろうと思います。
えいえい。
なんにしよっかなー。
今回はロボサム祭りで、皆様のかわいーーーかわいーーーーー凶悪なロボをたくさん拝んで幸せだったんですよね。
何とかロボを生き延びさせる方法はないものか。
なおかつサミーの魂が地獄で膾切り状態から脱出する方法はないものか。
よし、それで行こう(ニーズなさそうだなあ)
良いニュースと悪いニュースがある。
良いニュースは、ついにサムの魂を地獄から救いだせたことだ。
悪いニュースは、救いだしてくれた天使が、運搬に不自由だとか言ってサムの身体まで復活させてくれてしまったことだ。
ちなみに魂抜きの身体は、地上で元気にのし歩いている。
「どういうことだ兄弟」
「手違いだ兄弟」
何となく雰囲気が似た、融通が利かない感じの天使が二人、モーテルの部屋の中で向かい合っている。
くるり、とコートを羽織って髪がぼさぼさした方の天使が、後ろをむいて口を開いた。
「手違いが起こった。すまない」
「すまないって言われてもなあ…」
さっきから呆然と立っているディーンは、視線をうろうろさせている。
視線の先には、魂運搬のために急きょ復活したサムの身体と、興味深そうにそのサムを見ているロボサムがいる。サムが二人。どうしろっていうんだ。
「で、サムを戻すにはこのあとどうすればいいんだ?」
ディーンが問いかけると、天使は揃って口をつぐむ。
「おい、まさか」
「サムの魂は連れ戻した」
「地獄の記憶は封印しておいた」
じゃあ、と言ったわけではないが、ばっさ、と翼の音を残して、天使二人はそのまま消える。
「おいこら待て!」
怒鳴るが、待てといって天使が待ったことはない。
サムは復活したが結果分裂した。
そして双方には問題があった。
魂の欠けたロボサムについては言うまでもない。本人曰くシャープで強い、だが常識と良識と勘が壊滅的だ。
一方、魂のみのサムは常識と良識と勘働きは元のままにある。
が、心優しく平和な生活が好きで、闘争心や決断力が全くと言っていいほどない。結果狩りにはかなり向かない人格になった。
「だからってディーンを一人にする気はないよ」
魂オンリーの弟は言う。
「サンキューサミー」
ディーンは思わずほろりとしそうになる。
「でも、お前銃もうてないじゃん」
遠慮のない声が横からする。
「…塩の弾なら撃てる」
「銀の弾は?」
「………」
「は、お話にならないね」
「おいよせ」
睨みあうサム二人の間に、ディーンが割って入る。
そんなわけで、狩りの現場には兄貴とロボが出向き、純魂サミーは危ないからボビーの家で暮らすというのはどうだろう。で、魂サミーはロボが寝ない分すごく良く寝るの。兄貴がいつ会いに行ってもぐうぐう寝てる。ううん、でもサミーが形を取ると、やっぱりロボだけに構うわけにもいかないから難しいな。
[17回]
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