ブログ再録本のサンプルでーす。
書き足した部分から。
だがやがて、結構だと言っていられない問題が浮上してきた。
まずは予兆があった。
例によってベッドの上でむしゃむしゃとテイクアウトのジャンクフードを食べていたディーンは、テレビドラマに夢中になるあまり、ケチャップ付きのそれをぽろりとシーツの上に取り落とした。
「うげ」
ベッドカバーの上ならともかく、ディーンが落としたのはシーツのど真ん中だった。舌打ちしながら紙ナフキンで拭いてみたが、残念ながら赤い汚れがさらに広がっただけだ。ついでに使用済みのものだったために油汚れもついた。
「おいサミー、ベッド交換しろ」
「やだよ」
うっかりいつもの習慣で年上の権限を振りまわしてしまったが、サムは言下に拒絶する。パソコンから目を上げすらしない。そして無言で立ち上がると、乗っ取り阻止と言わんばかりに自分のベッドに転がってしまった。畜生、めんどくさいがシーツを剥がしてかけなおすかとディーンはベッドから立ち上がり、カバーとシーツを剥ぐ。
「……」
そしてううんと考え込んだ。上下を入れ替えればシミが足元よりになるかと思ったが、良くも悪くもど真ん中だ。いっそシーツ無しで寝るかとマットレスを見ると、何とも言いようのないシミや汚れが付いている。顔をしかめてシーツとカバーをベッドの上に再度投げ出し、仕方がないのでカバーの上に寝るかと周囲を見回した。狩りの中ではケチャップのシミくらいであーだこーだ言わないのだが、ちょうどそういう緊迫感とは縁のないタイミングだった。ついでにいえばかなり冷え込む時期だったので上にかけるものは欲しかったのだ。
と、先ほどからどちらかというと冷たい目でバタバタするディーンを見ていたサムが口を開いた。
「こっちに来る?」
「はあ?」
なんだ、大人しく明け渡す気になったのかと振り向くが、どうもそうでもないらしい。その代わりに例によって仏頂面のまま、少し脇に寄った。
「こっちで一緒に寝る?」
「………」
その時ディーンの脳内には、緊急警戒アラームが鳴り響いた。
そうそうそうそうそうだった!
こいつ今、正常じゃなかったんだった。
・・・・・・・・・・・・・・・
こんな感じでーす
よろしくお願いします。