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海外ドラマの超常現象の兄弟(SD)を中心に、頭の中にほわほわ浮かぶ楽しいことをつぶやく日記です。 二次創作、BL等に流れることも多々ありますので嫌いな方は閲覧をご遠慮くださいませ。
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彼が出ていった夜7(幼馴染SD)

なんでコンのざっくりレポのあとが幼馴染なんだろう。

疑問はもっともです。私も不思議です。
でももう一年近く携帯に下書きを置きっぱなしのものがなんかかけそうだったのでそちらにしました。

むぱらが…ムパラの原稿が手つかずだ。やばい!







天気が急激に崩れているのだそうだ。
ディーンはラジオの臨時ニュースが流れるのを、またも引っ張りだされた日曜に車の下でオイル漏れのチェックをしながら聞いた。
もともと夜は雨だとは言っていた。それでも朝は雲は多いが降りだすことはなく、取引先からの急な誘いでゴルフに行かなければならないサムは悔しそうだった。

『降って中止になったら電話するね』
その約束はまさに天気次第で当てにはできないのだが、一応サムがフリーになった時のために午後の仕事は断固として断った。だが、
---------強風による転倒や急激な雨による川の氾濫に注意を--------------

不穏なアナウンスに、車の下からでて窓を見ると、何時の間にやら分厚く灰色の雲が空一面に広がっている。
どうも単に喜べる範囲の雨ではなさそうだった。


「こりゃだめだな。おい、皆今のうちに帰れ」
オフィスのパソコンで気象情報を見ていた店長が奥から出てきてスタッフに告げたとき、雨はとうに降りだして、工場の中からでも結構な雨音が聞こえていた。こんな悪天候ではどうせ客も来ない。グズグズしていて帰宅できなくなったら大事だと、作業をしていた整備士や店舗スタッフも仕事を途中で切り上げて帰り支度を始めた。


「お前はどうする?ここでいいのか」
店長に訊かれてディーンは肩をすくめる。
「ああ」
「下は閉めちまうから、上しか使えねえぞ」
「分かってる。今のうちに飯でも買って来る」
店舗の上の小部屋はせいぜい仮眠用で、ベッドとバスルームはあるが、フリッジはおろかテレビもない。


ディーンはスタッフが帰宅したあと閉店作業を手伝い、一時間もたたない間に店は無人となった。


ものすごい雨だ。
食料品と一緒に買い込んできたラジオからは、ひっきりなしに大雨の情報がながれてくるが、建物を打つ雨音で、アナウンサーの声も途切れ途切れにしか聞こえない。
買い込んできた荷物を置いて一息つくと、ディーンはセルフォンを取りだし、サムに電話を掛けた。留守番電話にメッセージをいれる。
「俺だ。そっちは大丈夫か?またかける」


接待ゴルフが中断されたのは間違いないが、しばらく待っても返信がない。
そういえばどこまで出掛けるのかは聞いていなかった。
もう一度コールするが、またも留守電に切り替わる。
「こっちは大丈夫だ。ちゃんと家についたか?連絡くれ」


通話ボタンを押して息をつく。まだ顧客と一緒なのかもしれない。自分の仕事が終わるといつもさっさと帰るディーンと違って、サムはあれこれとすることが多そうだ。


まあ、大丈夫だろうけどな。


窓から外を覗く。
真昼だというのに分厚い雲におおわれた空は真っ暗で夜のようだ。


ここまでの天気も久しぶりだ。
すっかり濡れた上着を脱ぎ、椅子の背にかける。
窓と戸を確認してしまうと、することもなかった。今まで気にしていなかったが、テレビがないのがしみじみと痛い。仕方なくラジオの音量を最大限に上げ、読み飽きた雑誌を手に取る。ウィスキーをグラスについで、ベッドから外を眺めた。


そのままどのくらいたったのだろう。ふとチカチカするものが目に入り、いつの間にか脇に置いていた携帯に着信があったことが分かる。急いで確認すると、やはりサムだ。
表示はほんの数分前を示していて、しかも立て続けに複数回だ。
思わず舌打ちがもれた。これだけ暇で近くにいたのに気がつかないとは。
かけ直すが、案の定というが繋がらない。
役に立たない端末を握りしめて毒づいた後、もう一度コールをする。少しばかり雨音が弱まったので聞き取りづらい発信音に意識を集中していると、突然部屋のドアがものすごい勢いで叩かれて文字通り飛び上がった。
とっさに思い浮かべたのは何か用事をおもいだした店長かということだったが、外を覗き目に入った相手に慌てて開ける。
激しい雨音と共に、全身濡れ鼠になった長身が転がり込んできた。
「サム!?」
あっという間に雨が振り込み部屋の床が濡れるので慌てて閉める。
握ったままだった携帯をテーブルに放り出して振り向いた。
「おい、どうしたんだお前!!」
「店の前から何回かけても出ないし、でも電気はついてたから!さっき少し小降りになったし!」
「傘くらいさせ!」
「とっくに壊れたよ!!」
別に怒鳴るような内容でもないのだが、雨音に負けまいとして双方大声になる。


(ちょっとそこから動くなよ)
雨音はますます酷くなり自分の声さえ聞こえないので、サムの水溜まりを作りつつある足元を指差し、動くな、と身ぶりで示す。
まるで犬に「待て」と言うときのような仕草で、同じことを考えたらしいサムの顔が不満そうにふくれた。
仕方がねえだろう、聞こえねえんだから。
思いつつ急いで荷物をひっくり返してタオルと着替えを探す。バスタオルが二枚あるのを発見したときは思わず自分の風呂好きに感謝した。
顔を上げるとサムが上着を脱ぎ、部屋の中を見回している。ポタポタと水の垂れるそれを、そのまま椅子にかけさせるわけには行かず、バスルームを指差した。
意味は伝わったらしく、こくこくと頷いたサムが、足早にバスルームに駆け込み、小さな洗面台の上でそれを絞る。
それを横目で見ながらディーンはとりあえずバスタオルを脇におき、代わりに雑巾を持ってきてサムの歩いた後の床を拭いた。
あっという間にびしょびしょになるそれを、同じくバスルームで絞る。
洗面台の前で身体がぶつかり、ふと目が合った。


(ディーン)
サムの唇がそう動いたようだった。
久しぶりに間近にその顔を見詰めていて、気がついたらもつれあうようにベッドに倒れこんでいた。しがみつかれたような気もするし、自分が引き倒したような気もする。どちらにせよ互いにむきになって濡れた服を引き剥がし合う。


 


雨以外の音が無い世界で抱き合うのは奇妙だった。
雨の音に埋め尽くされて、自分の声さえ聞こえない。
声を上げて、のけぞる。
そらした喉元にサムが歯を立て、その感覚にまた声を上げる。
喉が痛むほどに叫んでいるのに、全て雨音にかき消される。それはひどくディーンの中の普段譲らない何かを突き崩した。狭いベッドで時々転がり落ち、また懲りずに戻っては互いに掴みかかる。
音のない暗い部屋でサムの顔を見つめる。
泣きそうな目でキスをしてくるのが可笑しくて愛しくて、くせ毛の頭をグシャグシャとかき回した。




 


降るだけ降った雨は朝には止み、空は白々しいほどにすっきりと晴れている。
「お前、どうすんだ」
いつ寝たのかわからないまま沈没したベッドの上で、身体を起こしてボリボリと頭を掻く。はっきり言って狭い。よくこんなところで二人も眠れたものだと感心した。
「家に戻る時間ないからこのままオフィスに行くよ、着替え置いてるし。シャワーだけ浴びてくる」


だがずぶ濡れのまま脱ぎ散らかした服は当然ながら乾いていない。
「俺のが入りゃあ貸してやるんだがなあ、でかくなっちまって残念だったなあ」
シャワーから出た後、濡れた服を手にしてしかめ面をしていたサムに半ば本気、半ば嫌味でディーンが言うと、ギロリと振り返る。
「貸してくれ。一式」
「おいおい」
「どうせすぐ着替えるし、多少寸詰まりでもこれよりましだ」
「寸詰まりってなんだよ」
「つんつるてんでもいいよ」
「喧嘩売ってんのかてめえは」
「いいから貸してよ。洗濯終わった奴なら何でもいい」
そんなわけで、多少きつそうにTシャツとデニムを履いたサムは、バタバタと出ていきかけ、ドアの前でピタリと止まって振り向いた。
「ディーン」
「なんだよ」
「まだ、帰ってこない?」
その顔が正に捨てられた仔犬のようで、思わずディーンは口元を緩ませてしまう。
「笑うなよ」
途端にむっと膨れる顔に、悪い、と手を振る。
「そしたらさ、次の日曜日は午後に出なきゃいけない会合があるんだけど、土曜日は休めると思うんだ、だから午後にでも会えない?」
また何もないとは言えないんだけど、と必死な顔で言い募るサムにまた笑いが込み上げてくる。


仕方ない。
自分は昔からこのでかくて甘ったれでワーカーホリックの幼馴染がいいのだから。


「帰るよ」
「え」
「しょうがねえ、帰る」
「…嬉しいけどしょうがねえってなに」
こんなときでも弁護士先生は言葉尻にいちいちうるさい。
「お互いマイペースにやって、会える時に会ってどうかってのを試したかったんだけどな」
それは紛れもないディーンの本音だったのだが、サムは顔をしかめて深くため息をついた。
「それ、もう試してるじゃない」
「?そうか?」
「僕らの暮らしじゃ、一緒に住んでないと月に一回も会えないってことだろ」
ほとんど僕のせいだけど、と俯いてウジウジしだす頭をうぜえ、と叩きながら、しかしなるほどそれもそうか、とディーンは妙に腑に落ちるものを感じていた。


互いの暮らしを優先すれば、自分とサムはもう違い過ぎて会うのもままならない。
それでも相手を離したくなければ、何かを譲るしかないということだ。


「今日帰ってくる?今一緒に帰る?」
一転して喜色満面に訊いてくるサムに、「アホ」と冷たく返す。
「何だよアホって」
「こんなぐちゃぐちゃ状態で帰れるわけねえだろうが」
「あ」
気付いたようにサムが室内を見回した。
元よりディーンがここ数週間居ついていた生活感もさることながら、昨夜の余韻があまりにひどい。シーツは速攻洗いに行くとして、ベッドが壊れていないといいが。ディーンが思わず真剣に心配する惨状だった。
「…弁償とかになったら半分出すから言って」
サムも同意見だったらしく、そう言った後、時計を見て顔色を変え、今度こそ出ていく。
だが出がけに振り向いて、
「じゃあ夜にね」
と素早くキスをし、顔をくしゃくしゃにして笑った。窓から見下ろすと車に向かうその後姿までが分かりやすく浮かれていて、ディーンは思わず誰も見ていない自分の顔を抑える。
いいんだ。離したくないんだから。


だがしかし、その日はまれに見る大雨の翌日だった。
工場には水に浸ったりぶつかったりで車の不調を訴える客がそれこそ怒涛のごとく押し寄せ、ディーン達従業員はそれこそ非番でもバイトでも引っ張り出され、工場やら動けない車のある現地やらを飛び回ることになった。


そんなわけで帰宅は大変珍しく真夜中になり、ディーンが久しぶりのドアを開けると、冷えたディナーとふて腐れたサムの顔に迎えられたのだった。


 


おわり
ま、そんなわけで戻りました。


 

2年前から大筋は決まってたのにこんなに長引いですみません!
そして何一つ予定外のことは書いてていないのですよこれがまた。
なんでこんなに難産だったんだろう…
こんな飛び飛びものにお付き合いくださり、読みたいと言って下さった皆様ありがとうございましたー


 


 

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