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海外ドラマの超常現象の兄弟(SD)を中心に、頭の中にほわほわ浮かぶ楽しいことをつぶやく日記です。 二次創作、BL等に流れることも多々ありますので嫌いな方は閲覧をご遠慮くださいませ。
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兄弟酒場2

本日はビルダー18の使用期間が残り少ないことに気付いて、倉庫のお手入れを慌ててしております。
今月出費が多いから、できれば買うのは一か月後とかにしたいというビンボー根性。

なので、昨日の意気込みはどうした、と言われそうですがまたも過去ペーパー。








繰り返しだが、長年にわたるハンター生活を引退したウィンチェスター兄弟の今後の人生についての大きな方針は以下の通り。

一つ、今後の人生、天使だの悪魔だのに付き合わない。どのみち何十年後かにはどちらかが偉そうにふんぞり返っている所に行くことになるのだから。
二つ、今後の人間社会で生活を送る上で、できる限り法に触れる行為はしない。ただし緊急事態に置いてはこの限りではない。


そんな決意で引退したウィンチェスター兄弟が始めた酒場は、実に好き勝手なものだった。
もともとが胡散臭いハンター生活から足を洗ったところで、とりあえず始めた適当な商売だ。店は内装よりも鉄と塩とで全体を固めることに金をかけている。
しかも弟は自分の趣味の健康食品やオーガニック野菜も商品として無理矢理突っ込み、さらに「弁護士もやりたい」と言って開店前の酒場を事務所と言い張り始めた。
胡散臭い上に何の店か分からないようなところに来る客がいるのか。
ましてやそんな酒場で昼間受付してる弁護士事務所なんか来る奴いるのか。半年後には閉店じゃないのか。


結論からいうと客はそれなりにいた。
もちろんまっとうに暮らす市民は、こんな怪しい所にわざわざ近づかない。だがしかし法律御免のハンター達もたまにはしくじることがあったし、隣の家と境界線で争ったり、交通事故に会ったりすることもある。そんな時に貸衣装のスーツを着こんで一般市民のふりをせず、今までやってきた数々の違法行為もぶっちゃけて相談できる弁護士はそれなりにニーズがあった。
そして文字通り地獄を見てきた男は、多少どころかかなりの修羅場に行きあっても動じない。それがどこでどう解釈されたのか、
「腹の座った弁護士だ」
と噂になって別の客層も増えてきた。ただし、やっぱりごつくてむさくて後ろ暗いところは変わらない。

「なんかこう、どんどん生活が綺麗なおねーちゃんから遠ざかっていくなあ…」
兄は物悲しく呟いたが、
「別に関係ないよ。クライアントが誰でも法律は同じだし」
と、弟の方はけろりとしていた。弁護士料を払ってくれればみんな客。ウェルカム・マネー。
そのキャッシュな言動がどう伝わったのか不明だが、客層はさらに広がり、ある時目が黒くなるタイプの客が来た。お懐かしの悪魔だ。酒場の外で顔を合わせ、弁護の契約をしたあとに正体を見せられたのだが、駆け出し弁護士は動じなかった。
「しょうがないなあ」
と苦笑した後おもむろに新規顧客を羽交い絞めにして路地裏に連れ込み、ポケットから出した折り畳み式悪魔封じサークル(ピクニックの敷物的なものを想像していただきたい)の上に放りだすと、あっという間にラテン語を詠唱して悪魔祓いしてしまった。


「騒がれないように口を塞いでたらさ、耳と鼻から黒煙が吹き出したんだよ!」
夕食の席でチキンソテーを切りながら興奮ぎみに話す弟に、兄は
「誰にも見られてねえだろうな…」
とため息をついた。クライアントを路地裏に連れ込んでガムテープ口に貼る弁護士。動画でも撮られたらあっという間に拡散だ。

「大丈夫だよ、人気もなかったしね」
「監視カメラがあんだろが」
「それも平気。路地裏は映らないし、悪魔追いだした後、本人ちゃんと歩いて帰ったし」
「生きてたか、そりゃよかったな。そんで契約はどうしたんだ」
「それは不要になっちゃった。でも本人憑依されたって自覚してたから『悪魔祓い』ってことで謝礼はもらってきたよ」
「………へえ」
「弁護と一緒で、専門知識と技能の提供だもんね」
「…まあな」
「悪魔についてはお互いに手を出さない約束なのを分かって来たんだから、明らかなテリトリー侵害で問題ないよ」
あんなに潔癖だった俺の弟がこんなになって。地獄で悪魔の親玉と百年過ごしたと知っていても、弟に対する夢と幻影を捨てきれない兄は心配に少しばかり胸を痛めつつ皿のクレソンを弟の皿に押し付けた(サムが山ほど仕入れてきたがディーンは嫌いなのだ)。

・・・


そんなわけで、今日も仕事のあったサムは日中裁判所に出掛けていた。帰ってくると、先に店を開けていたディーンがカウンターの中から振り返る。
「ただいまディーン」
「おー」
まだ夕方だというのに、カウンターには既にむさくてごつごつした物体(注、客だ)が鈴なりになっている。
なぜ日の高いうちから酒なんか飲みに来るんだ。仕事はどうした。
以前ならそう苦々しく思ったかもしれないが、今は別だ。事情は人それぞれ。千客万来。
黒っぽい開襟シャツを着たディーンは珍しく客たちに笑いかけながら『今日のお勧め』のカードを貼ったビールサーバーから酒をどんどこ注いでいた。機嫌がいいというよりタラシモードだ。
そういえば昨夜「あのビールサーバーはそろそろ使用期限だったから何とか売っちまわないと」と話したことを思いだす。見るとほんの気持ちばかりの値引きしかしていないが、お勧めを注文する客には明らかに兄の笑顔が違う。そして元からその手の趣味の奴が多い客たちは見事に食いついていた。
(あの兄が店の売上のために愛想をふり撒くとは。)
サムは嬉しいような複雑なような気分を味わう。いや、もちろん元から自分の容姿をガンガン目的のために使う兄ではあったのだが。
「ハイ、サム」
「いらっしゃい」
振り返って手を振るブロンドの客(注。ごつい男だ)にニコリと笑いかけて、サムは取りあえず二階に上がる。さっきまで弁護士の顔で法廷に立ち、あーだこーだしていたわけだが、店に出る前に切り替えないといけない。この間うっかり弁護士モードで客相手に演説をかましてしまい、グラスを磨いていた兄に
「うぜー」
とピーナツの殻を投げつけられた上、見ていた野次馬ども(注、客)にゲラゲラ笑われながら殻の掃除をする羽目になった。それ以来サムは二階でスーツを脱ぎながら頭を切り替えるようにしている。
「ねえサム、相談に乗ってくれる?」 
「雑談でいいならね」
プロテイン入りのスムージー(使いきれなかったクレソンも入れた)を受け取りつつ客(注:ごつい男性)が上目づかいで訊いてくるのに、心もち素っ気なく答える。
「弁護士の意見を聞きたいのよ」
「三〇分で七五ドル」
「やだ高い!」
「商売だからね」
専門知識を安売りはしないのだ。これでも駆け出しな分、低いラインの価格といえる。カウンターの中から兄が何とも変な顔でこちらを見ているが、堂々と見つめ返す。どんな客でもウェルカムだけど、スムージーはスムージー、法律知識は別料金だ。
我ながら見事に切り替えたなあ、と思いながらテーブルを拭いていたら、見たことのない客がひそひそと話しかけてきた。
「五〇でどうだい?二〇分でいい」
「え?」
きょとんと見つめ返す。二〇分で一体なんの相談をするというのか。しかも相手は明らかに結構飲んでいる。
「酒が抜けてから明日の昼においでよ。話はまとめてきた方がいい。何か資料もあったら持ってきて」
それでも親切に提案したら、何故か相手が怪訝な顔をした。
「はあ?」
「え?」
はからずも見つめ合っていると、カウンターから兄が青筋を立ててずんずんと出てくる。
「飲みすぎだ。弟に気色悪いこと言いやがって」
客が蹴り出されてからやっと気づく。
「そう言うこと?」
「あほ」
ディーンとサムがカウンターに戻ると、暇で見物していたらしい客たちが面白がって囃し一斉に立てた。ハンター達は
「過保護じゃねえのか」
「新しい商売始めたらどうだ」
だの、まあディーンでも言いそうなことしか言わないが、サムの方に集まったその手の客層は、
「彼ってナイトみたいね」
「あれって、やきもちだよね」
「俺のものに触るなって感じで羨ましい。僕も庇われたい」
等々、意味不明な発言ばかりだ。そしていつの間にか自分の周囲にその手の客が集まっているのはなんでだろう。色々言いたいのをぐっと堪えて、サムは少し空気が悪くなってきたなとマイナスイオン機能付の空気清浄機をつける。
「今時あり得ないよ!!」というサムの強い主張で、なんと酒場なのにこの店は禁煙なのだ。酒場なのに。
対天使、対悪魔、対幽霊(出入口すべての枠に塩と鉄が仕込んである)、ついでにサムの健康志向でデトックスメニューも加わって、酒場はますます何だか分からない店になっていく。一見真面目に見える弟の方が、実は無茶な提案をして店がカオスになっているのだが、兄の方が異議を唱えないので止める者もいない。
「なんか知らないけどあの店にいくとスッキリする」
というヒーリングスポット的な噂がたつのはもう少しあとのことになる。
おわり



そんなわけでやっぱり平和に暮らす兄弟だといいなあ

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