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海外ドラマの超常現象の兄弟(SD)を中心に、頭の中にほわほわ浮かぶ楽しいことをつぶやく日記です。 二次創作、BL等に流れることも多々ありますので嫌いな方は閲覧をご遠慮くださいませ。
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人魚でドン!2(過去ペーパー)

再録なので迅速に続きです。

人魚の国に囚われたディーンはどうなる!?(自分で言うと寒いなあ)
くれぐれも細かいことは気にせずお読みくださいね。








人魚の国の王である老サミュエルは、不埒な人間の所業に怒り狂っていた。そして誘拐された第三皇子が、自ら海に引き込んだ人間に、水の中で生きられる鱗を与えたのは、呆気なく溺れ死にさせるのではなく、気が済むまで責め苛むためだと思い、できるだけ惨たらしく処刑するのを楽しみに待っていた。だがサムは未だにその人間を始末しない。そして周囲の臣からの話によれば、最近は自分の居室に連れて行き、あろうことか伽の相手にしているらしい。
王は激怒した。会って問いただせば、サムは殺す前に罰を与えているのだと言うが、王は三番目の孫息子の気性を知っていた。上の二人と違い、情を与えたものをくびり殺すことはもはやできまい。見せしめにならぬこと甚だしかった。なので王は人間の処断を孫息子に任せるのを止めた。

ディーンはサムのいない居室の中で、だがサムとの交情の余韻にひたってぼんやりとしていた。
人魚の交わりは静かだが長い。繋がったままじっと半日、長ければ一日以上そのままのときもある。サムに抱えられたまま、時折くるりくるりと水の中を緩く回転すると、つながりがまた深くなる。未知の感覚はディーンには異様な衝撃で、半日どころか数時間でディーンは音を上げ、勘弁してくれと懇願した。だがサムは「罰だ」と一切取り合わず、もう何回交わったか分からない。


 ぼんやりしていると突然衛兵らしき人魚が大量に押しかけてきた。サムの居室にサム以外の人魚が入ってくることは初めてで、驚くディーンを衛兵たちは捕えて、王の前に引き出しだ。


「不埒で愚かな人間が、儂の息子に触れただけでも万死に値するものを」
「俺はもう死んでるんじゃないのか」
「救いようのない馬鹿者めが。息子がお前に与えた人魚の鱗で生かされていることも知らぬのか」


 巨大な人魚の王の、どことなく昔の映画俳優に似ている(そして大広間中に広がっている)顔を見ながら、ディーンは妙に納得していた。
 そうか。あいつを攫って売ろうとした罰は、やっぱりそう簡単には終わってなかったのか。
生きていると知った今、死にたくないという思いもチラと頭をかすめるが、海の底で恨みに燃える人魚たちに囲まれては生き延びるのは無理だろう。諦めかけたその時、広間にサムが飛び込んできた。


「御爺様、この者の処遇は私にお任せいただいた筈です」
「それが手緩いからこうしているのだ」
ディーンに近づこうとするサムを、王の近衛兵たちが遮る。王に命令されれば、王子とはいえ逆らえない。自分の所有物である眷属ならともかく、単なる罪人の処遇なのだ…と、ここまで考えてサムははっと顔を上げた。
「ディーンは既に私に属することを誓っています」
眷属、そしてサムの精を与えているとなれば更に所有権は強くなる。だがそれは更に老王の怒りを買った。
「掟破りの罪人にそこまでうつつを抜かすか」
 怒りに反応してか宮殿自体がぐらぐら揺れる。
「サミー、謝れー」
「親父様が怒ると海底火山がまた噴火するぞー。あとの掃除が大変だぞー」
危険を察していち早く避難した兄たちが、広間の向こうから貝の囁き糸電話でコソコソ忠告してくる。
サムがぎりりと歯を食い縛り、衛兵に腕をとられたディーンが心配そうにサムを振り向いたその時、突然奇妙な形の黒い魚雷が宮殿の屋根を突き破って広間の真ん中に打ち込まれてきた。
魚たちは一斉に散るが、なぜか魚雷は爆発することはなく、ぱかりと開く。と、どういう仕組みか、海底に大音響が響き渡った。


『サミュエル・キャンベル!貴様俺の息子に何をしている!』
いきなりの王様の名前呼び捨て&貴様呼ばわりで海の住人たちは凍りつく。そしてディーンには聞き覚えのある声だった。
「ダッド!?」
「ジョン・ウィンチェスターか」
ディーンは突然の父の登場に驚く間も無く、海の王が父を知っているらしい事態に混乱した。しかも父はいきなり思いっきり喧嘩腰だ。
「ダッド、いつ帰って来たんだ?」
『ついさっきだ。ボビーからお前のことを聞いた』
「ダッド、俺…」
とっさに家の火事と借金のことを謝りかけるが、声は大王様に遮られる。
「それで、メアリーを連れて帰ったのだろうな」
憎々し気な大王の声に対して、父の声は負けず劣らず険悪だ。
『連れて帰ったとも。そして俺が出掛けている間、代わりに俺の息子を頼んだはずだぞ』
「息子?…ああ、いたなそういえば」
『掟についても『メアリーの息子ならお前を待つより儂が自ら伝えてやろう』とか恩着せがましく言っておいて忘れていたなこの老いぼれ!!』
「老いぼれとは何だ、忘れてはおらん、思い出した。時が来れば伝えてやる」
『時なんぞ十年も前に過ぎとるわ!俺の息子はそこにいるディーン・ウィンチェスターだ!!』
「……」
「……」
大広間に何ともいえない間が満ちた。
 じろり、とこちらを見る大王の大きな顔を、ディーンは見返す。
「…お前はジョン・ウィンチェスターの息子か」
「ああ」
「年は」
「二十六」
 なんかこんな会話をサムともしたなあ、と思いながらディーンは答える。サムはどうも海の一族側の落ち度の話になったのを見て取り、近衛兵の腕を振りはらって、王の顔の前へ泳いで行った
「なにかあの者と約束されていたのですかおじい様?」
「…うーむ、まあな」
「僕はあの海を担当させていただく際には伺っていませんが?」
「うーむ、人間の子が育つのは早いものだなあ」
どうやら地区担当者が交代した時に、引き継ぎミスがあったらしい。僕は聞いてないんだから責任取らないぞ、の抗議の気持ちを込めてサムが祖父を睨むと、基本的に謝るのが嫌いな祖父も渋々口を開いた。
「あー、手違いがあったようだが、」
巨大な顔がディーンに向き直り重々しく告げた。
「ジョンとメアリーの息子であれば、お前は儂の孫も同然」
突然話の方向性が変わって、広間中の者が沈黙する。
「……あの、メアリーと言うと、僕の母上のことですか」
そして沈黙が苦手なサムは、こういう時止せばいいのに、つい話をつないでしまう。王は得たりとばかりに頷いた。


人魚族の女は基本的に定住しない。子供は父親の元に残り、女はまた次の番の相手の所に移っていくことが多いのだ。王の一族に関してはまた色々とあって、今の三人の王子は皆母が違うし、サムの姉に当たる王女のリリスとベラは逆に自分は王宮に定住して番の相手を次々に変えている。
そんな中で堅苦しい立場を嫌った先代王女のメアリーはジョンと出会ってディーンを産み、そしてそのまま人間になってしまったのだという。そしてその後様々ないきさつがあって、遠い国の黄色い目の悪魔にメアリーが攫われ、ジョンは人間界の友人であるボビーと、メアリーの父であるサミュエルにディーンを託して、メアリー救出の旅に出たのだと。


『…まさかこの爺に送り込まれたあの国で過ごす一年が、こちらの世界の十年とも知らなかったし、この老いぼれ爺が自分のした約束をここまで見事に忘れてしまうほど耄碌していたとも思わなかった。…長いこと済まなかったなディーン』
「そうだったんだ。ダッド。さすがに無連絡で一三年は長いなあと思ってたんだが、そういう訳だったんだな」
いや、無連絡で一年も十分長いぞ。
そう思ったものはその場に多かったが、待たされた当人が納得している以上、さらに事態を掻き回したい者もいなかった。
「………そうしましたらこの一件、どういうことになるのでしょう」
 再びの沈黙の中、周囲からの期待と催促の視線を浴びた長兄バルサザールが渋々口を開く。
「うむ…そうだな…」
 老サミュエルがじっとディーンとサムを見つめる。
『もったいぶってないでさっさと息子を返せこの耄碌人魚!』
広間にジョンの怒号がまた響いた。


 


 その後結局どうなったかというと、ディーンは地上に戻り、遅まきながら独り立ちの漁師になった。だが、海の掟を知らぬとはいえ大々的にやぶったのも事実なので、村には住むのを止めて、村とは小舟で行き来できる小さな島に一人で住んでいる。
 ちなみにその島は、海の一族の住処があるといわれていて、村人たちはその周囲の海には近づかない。


 夜になると舟をつなぎ、網をしまったディーンは入り江に向かう。
岩の上で待っていたサムは待ちかねたようにディーンの手を取ると、海へ引き入れる。浅い海の中で、もつれ合いながらくるりくるりと回る。
「なあ、母親が一緒ってことは、俺とお前って兄弟ってことだろ」
「でもあんたは人間だろ。関係ないよ」
 ディーンの喉にはサムの鱗が入ったままだ。そしてサムはディーンが「サムのものになる」と誓った契約を頑として破棄しなかった。
「あんたは僕のものになるって言った」
 ずっと自分より年長と聞いても、その腕が自分より強くてこうして抱かれていても、やっぱりなんだか弟のように思えてディーンは笑う。そして笑うディーンを見て、サムも目を細める。
「…人間なんかみっともないばかりだと思ってたけど、あんたがそうして笑うのは好きだな」
 飽きもせずつながりながらサムが耳元で言ったが、やっぱり人魚の交情には慣れないディーンは、睦言を聞いてるどころではなかった。


ジョンとメアリーは「ウラシマ夫婦」と言われながら、村で仲良く暮らしている。ボビーは普通の人間並みに年を取ったがまだまだ元気だ。
 実は隣にディーンのための家と、サムのための小さなブールが着々と作られているのだが、生簀並のプールだと気位の高い王子が暴れるんじゃないかという意見がでたので現在拡張工事中だ。この家のことはまだ秘密にしてある。
 ディーンとサムが過ごす島は、今では「ハネムーン島」と囁かれているので、まだ割って入る勇気を持つ者は、人間にも人魚にもいないのだった。


やっぱりこのネタで一冊書く師匠すごいよ
弟子はこれが限界でしたと叫んで 
END


再録追記:ちなみに次兄はロキでした

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