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海外ドラマの超常現象の兄弟(SD)を中心に、頭の中にほわほわ浮かぶ楽しいことをつぶやく日記です。 二次創作、BL等に流れることも多々ありますので嫌いな方は閲覧をご遠慮くださいませ。
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新刊予告(淡々SD)

えー、まだまだ原稿中ですが、自分を追い込むために予告など一つ。
先日のインテにペーパーで出そうかと思ったのですが、あまりにも地味なのでひっこめた品です。
タイトル「Welcome to my  applepie Life」です。
これまた拍手でいただいたコメントから決めました。某様使っちゃいました!

次のムパラはまずタキザワ師匠とのSWですが、目指せ二冊…とピンクのペーパー(笑)

しかし淡々同居をまとめて出した場合ですね、これはニーズがあるものでしょうか。
なにせ淡々同居してる兄弟風景ばっかりだし。
ぶ、ぶろまんすって奴でしょうか…←訊くな







その日、サムは厄介な案件をパーフェクトに、とはいえないまでも何とか及第点で終了させたところだった。
中堅どころの法律事務所に弁護士としてポストを得てしばらく経つ。学歴と収入がモノを言うアメリカ社会に見事なまでに背を向けた家族と違って、サムはその社会の中で生きていく道を選んだ。そして飛び切りのエリートとまではいかないが、何とか社会の上層部の端に身を置くことはできている。
まずはそれで上等だ。
そうサムは思っている。有力な親族や後ろ盾がいるわけでもない。実力主義と言いつつ、本当のエリートになっていく輩というのは、学力とはまた別のネットワークにあらかじめ属しているのだということを、サムは大学に入ってから知った。それでも周囲を観察すれば、様々な経歴の人間がほどほどの社会的地位を得ることはできている。だからいきなり頂点は望まない。

サムは大学に入って以来、家族には会っていない。正確には顔を合わせてはいない。魔物を狩るハンターという、冗談のような家業を続けている父と兄は、サムが抜けた後も母の仇を追いかけてアメリカ中駆けずり回っている。家を出た直後はそれこそ絶縁状態になっていたが、数年前に父から危険な状態だから気を付けろという警告がきてからは、さすがのサムも家族と電話やメールのやり取りはするようになっていた。幸いにも警告は来たものの、サムの生活に影響は出ないまま日は過ぎている。


自宅のドアを開けてアタッシュケースを持ったままリビングを覗く。最近距離ができてしまっている恋人とは、今日もすれ違ってしまったらしい。ため息をつきながら上着を脱いだ。いつも帰宅が遅く、週末も仕事になりがちなサムと暮らす彼女は、この頃は部屋でサムを待つ以外の過ごし方を定着させつつある。このままでは関係が危ういと感じる一方で、どうしようもないとも思う。事務所の先輩弁護士の話を聞いても弁護士の破局や離婚率はかなり高いらしい。相手を繋ぎ止めるほどの高給取りになって結婚するか、あるいは仕事のやり繰りが上手くなるかしない限り、恋人との約束破りの常習犯は寂しい私生活を送らざるを得ないのだろう。
それでもせめてメッセージでも送ろうかとセルフォンを取り出したところで、先に着信が入る。てっきり彼女だと思いながら開いた。


『マムの敵討ちが終わった』


シンプルな一文に頭が白くなる。差出人を確認すると兄のディーンだ。急いでナンバーを呼び出してコールするが留守電に切り替わる。
「ディーン?僕だ」
そう言って少し待つが、電話がとられる様子はない。
「…ディーンと父さんは大丈夫?」
仕方なくそれだけ言って電話を切る。「よかった」とか「おめでとう」とかいう言葉はさすがに口にできなかった。その闘いに家族を残して離れた自分だ。そのまま着替える気も起きずにセルフォンを握り締めて立っていると、少ししてまた短いテキストが届いた。
『二人とも無事だ』
サムはそれを見てほっと息をつく。
サムが物心ついた時から父はハンターだったし、母の仇を討つことが生活のすべてに優先していた。父自身の人生よりも、その子供であるサムと兄の人生よりもだ。正直、それが終わる日が来るのなんて想像できなかった。
『会える?』
何となく電話には出ない気がして、こちらからもテキストを送った。声が出ない、出せない、周囲がうるさい等、可能性はいくらでもある。
『今、遠い。近くに行ったら連絡する』
『わかった。連絡ありがとう』
簡潔な文面に深追いは諦めてセルフォンを置いた。止める兄を振りきって家を飛び出して数年は、ディーンがメッセージやテキストを送ってきても無視していた。その負い目もあって、どうもこんな風に兄の方から引かれると粘りづらかった。


帰宅したままだった服を着替えようと取りあえず部屋に引き上げる。出かけたままの恋人に、メッセージを送り忘れたことに気付くのはシャワーの後のことだった。




『ディーン・ウィンチェスターさんが重傷で入院しています』
サムのセルフォンに、とある病院から連絡が来たのはさらに一年近く経った後のことだ。


病室に入ると見事にチューブと包帯とギブスまみれになった兄が目に入る。
「ディーン!?」
予想以上の有様にサムが息を飲むと、包帯の間で目がうっすらと開き、二、三度瞬きをした後驚いたように見開かれる。
「サム!?どうした何かあったのか」
そう言って息も絶え絶えな怪我人がベッドの上で起き上がろうとする。なにやらセンサーがずれたらしく、ナースが飛んできた。
「ディーンが入院したっていうから来たんだよ」
「?お前が?」
ずれた機器をつけ直しながら怪訝な顔をされてサムは肩を落とす。どうやら自分が見舞いに来るという発想は兄の頭にこれっぽっちもないらしい。
「病院から連絡もらったんだけど」
「…ああ、なるほどな」
そう言うと納得したように頷いた。
「親父がいないから、お前に連絡が行っちまったんだな」


ディーンと父は敵討ちが終わった後も結局「他にできることもないから」とハンターを続けていた。その中で父は他界している。
サムにそれが伝えられたのはディーンが既に父の葬儀も終えた後で、厄介だからとサムは父の亡骸のありかも教えられていない。墓だけは母の隣に作ったのだが、墓の中にあるのはディーンから送られた認識票だけだ。
「まあ、本命の悪魔はぶっ殺したあとだったからな。親父も思い残すこともないだろ」
憤慨するサムと対照的に、電話口の兄の口調は穏やかだった。
敵討ちを聞いたあと、一度三人で食事をしたのが父との久しぶりの再会で、最期の機会になった。せめて喧嘩別れした時が最後でなくて良かったと思うしかない。


「包帯は派手だが大丈夫だ。心配すんな」
ナースに叱られながら横になったディーンが口の端を曲げて笑う。そしてナースがその場を離れたのを見計らって、サムにだけ聞こえる低い声で囁いた。
「もしも俺が死んでお前が呼ばれたらボビーに連絡しろ。あとの始末は頼んである」
「ディーン」
思わず咎めるような声になったが、兄は頓着しない。
「間に合わなかったら何とか理由を付けて火葬しろ。俺の持ち物も焼け、いいな」
それだけ言うと、疲れたように目を閉じてしまう。
「ディーン?」
そっと呼びかけても反応しない。眠ってしまったらしい。サムはため息をつき、経過を訊こうとスタッフを探した。


幸い、本人の言う通り、ディーンはほどなく回復した。
「なんだ。やっぱなんかあるのか?」
退院の日に病院に行くとまた兄に驚かれて、サムは肩を落とす。なんというのか、兄の中で自分はもはや家族的なものを全く期待されていないのが今回の一件だけでもしみじみわかってしまった。自業自得ではあるのだが。
「退院したらどこに行くの?」
そう尋ねると、ディーンは革のジャケット着ながら軽く答える。
「ま、とりあえずインパラ引き取りに行って宿探しだな」
つまり相変わらず定住しない生活を送っているらしい。
「今、狩りの途中なの?」
「だったらもっとさっさとこんなとこ出てるさ」
尋ねるとあっさり否定される。
「じゃあ、うちに来れば?」
ここしばらく考えていたことを口にすると、ディーンは見事に目を丸くした。
「…一緒に住んでる彼女はどうした」
しばらくの沈黙の後、ぼそりと出た言葉から、サムは兄が自分の状況をある程度把握していることを知った。ただし最新の状態ではないが。
「別れたよ」
「もったいねえ、あんな美人」
「ほんとにね」
「本気か?」
「うん。どうせ客間は空いてるし、この病院から近いしさ」
実際のところ、それがしばしば立ち寄れた大きな原因ではあるのだが。
「ふうん」
ディーンが呟き、サムは身構えた。家族から飛び出しておいて今さらなんだとか、近いからってのが適当だとか、突く種はいくらでもある。
だが、
「せっかくお前が誘ってくれんなら、そうするか」
あっさり兄は頷き、小さな荷物を持ち上げた。


・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・
…てな感じで始まるその後の兄弟の淡淡とした同居の話を書こうと思っているわけです。はい。

←というペーパーを出そうかと思って辞めたわけです。淡々同居の最初のネタメモ「夢見がちな年ごろ」を真面目に書いた版ですねー



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