忍者ブログ
海外ドラマの超常現象の兄弟(SD)を中心に、頭の中にほわほわ浮かぶ楽しいことをつぶやく日記です。 二次創作、BL等に流れることも多々ありますので嫌いな方は閲覧をご遠慮くださいませ。
カレンダー
07 2025/08 09
S M T W T F S
1 2
3 4 5 6 7 8 9
10 11 12 13 14 15 16
17 18 19 20 21 22 23
24 25 26 27 28 29 30
31
カウンター
アクセス解析
プロフィール
HN:
おくら
性別:
非公開
自己紹介:
二次元、三次元問わず楽しいもの大好き。
常に読むものが無いと苦しい活字依存症。
ブログ内検索
P R
バーコード
アクセス解析
[537]  [536]  [535]  [534]  [533]  [532]  [531]  [530]  [529]  [528]  [527

その後二人はどうなった3(サミ誕記念OLP)

間に合え!






事態が動いたのは思いがけない方面からだった。

「いい加減そろそろあの部屋出てほしいのよね」
そう言ってきたのは重役付警備部門のリリスだ。ブロンドに白い肌、豊満なボディラインの彼女はだが、外見に反して泣く子も黙る「黒い目」古参のチームリーダーだ。あのふてぶてしいルビーがリリスの前では借りてきた猫のようだし、口八丁手八丁のベラも直立不動で動かなくなる。いつも口の減らないメグも同様だ。
偶然会った風を装っているが、ディーンが一人で資料を取りに出たところを狙って待ち受けていたのは間違いない。


「黒い目」と呼ばれる分家筋の人間は、もともとはウィンチェスター一族の長老方の警護をしてきたのだが、今はその多くがウィンチェスター商会の重役警護にあたっている。元々一族の中でも警護がいるような連中には、多かれ少なかれ薄暗い事情があったこともあり、職業としての守秘義務のほかに独自の序列と不文律を持っている「黒い目」は何かと重宝されてきた。
彼らは滅多に他の部署に異動することもなく、その結束力と排他的な空気はかなり独特なものがある。


「黒い目」の中でもリーダー格の一人だったアザゼルが、奇妙な経緯で先代社長ジョンの秘書となり、後を継いだサムの第一秘書も勤めている間は、ウィンチェスター商会の警備担当も色々とやり易かったといえる。
だが、アザゼルと相性が最悪だったサムは早々に彼を父の元へと追い払い、後釜に一族の末端にいた幼なじみを据えた。営業畑から来た男は、単なる警備社員としてしか「黒い目」を認識しておらず、一族の中での不文律にも無頓着だ。一方先代の頃からいるボビーやカスティエルは諸々の事情をわきまえているが、ぎゃくにどちらもしたたか過ぎて扱いづらい。
つまり第一秘書の交替以来、なにかとやりづらくて仕方がないというのが社長を担当する警備部の一致した意見だったといえる。


なのでディーンと黒い目達の関係は正直よくない。
サムの部屋の下層階にあった警備用の控室を、ディーンが仮住まいにしたこともそれに拍車をかけていた。


 


「取り決め通り警備の用がある時には空けてるだろう」
「仮住まいっていうから使用をOKしたのに、何か月も居座るって非常識過ぎるでしょ」
「OK?あそこは会社の持ちもんで、お前らの私物じゃないだろう」
廊下で睨みあう警備主任と第一秘書の周囲には幸い人はいなかったが、通りかかった社員も剣呑な空気を察知して近づこうとしなかった。


(とはいうもののだ)
ファイルを脇に抱えて社長室に戻りつつディーンは考える。
確かに仮住まいの約束ではあったので、警備部の要望も全く根拠がないわけでもない。
(そろそろ考え時だな)
部屋を空けるのはいい。
どこに移るかが問題だった。


 


「警備からの要望?」
「ええまあ。手狭でもありましたし」
セキュリティからの要望で部屋を移ることを告げた時、意外にサムは平静だった。
ディーンが選んだ転居先が、文字通りサムの部屋から目と鼻の先だったこともあるだろう。正直高級住宅街でかなりきつい出費ではあったが、サムも自分も互いの部屋の行き来をすることが見えている以上、治安のよい地区であることとアパート自体の保安体制ができるだけしっかりした物件でないとまずかった。


「相談すれば手伝ったぞ」
自分のデスクに戻るとカスティエルがちらりとこちらに目をやりつつ言う。確かに色々とつての多い先輩に相談をした方が、より安くて条件にあった物件も探しやすかったかもしれない。
「あー、悪い。サムの奴がどんな反応するかわからなかったから、巻き込むのもどうかと思ってな」
頭をかきつつ答えると、カスティエルはいつも通り物憂げな顔でうなずいた。
「まあ、お前の選んだのはあの辺でも悪くない物件だ。…高めだがな」
「だな」
正直これからは外食は控えなければならないだろう。学生時代に戻った心境で、朝と昼はシリアル、夜は自炊がいいかもしれない。
せめて今日の昼は近所のカフェのグラマーなウェイトレスに名残を惜しみに行って来よう、とディーンは今日のスケジュールをめくりながらひとりごちた。


 


ディーンの新しいアパートは、レンガ造りに蔦の絡んだ外観で、建物の真ん中が吹き抜けになっている。部屋は狭いが自然光が入って明るいのが気に入っていた。
門番に声をかけてゲートをくぐり、駐車場にインパラを止めるとゆっくり階段を上る。
きっかけはさておいて、久しぶりに自分の部屋に帰るという感覚は悪くなかった。仮住まいの部屋には本当に最低限の物しか置いていなかったので、荷物も既にあらかた片付いている。
今日は酒でも飲んで早めに寝よう。そう思いつつ廊下を曲がった途端、部屋の前の通路にもたれ掛かるように立つコート姿の長身が目に入ってぎょっとする。


「サム!?」
「遅い」
「何やってんだ」
「見に来た」
「馬鹿かお前、あぶねえぞ」
退社した後、ディーンは結構な時間買い出しをしていたのだ。その間ここで突っ立ってたのかこの馬鹿は。
急ぎ足で近づいたところで、サムが一人ではないことに気付く。リリスにベラにルビーにメグ。セキュリティーの中でも「魔女軍団」と呼ばれるレディースチームが勢ぞろいだ。
「なんで合鍵渡してないのよ」
どすの聞いた声を出したのはリリスだ。他の連中も揃ってものすごく恨みがましい目つきでこちらを見ている。
どうして最近俺が接触する女は、美人なのに中身が蛇や獅子みたいなのばっかりなんだろう。
そう思いつつ文句は無視して部屋の鍵を開ける。自分達の要望が発端なのだから、ごちゃごちゃ言われる筋合いはなかった。
「入れよ」
頷いたサムが玄関に入りつつ、警備チームに
「帰っていい」
と告げる。
社長を泊めなさいよ、とか、夜中の呼び出しは御免よ、とかいう声がしたが、
「警備に口はいらない」
と振り向きもせずにサムがいうとピタリと静かになった。どうやら自分への風当たりが無かった分、警備の連中には色々あったらしい。
かばう筋合いでもないのでざまをみろと思っておく。


部屋は小振りな2DKだ。前の家から最低限の家具は運び込んでいたので、ソファもあり、座れよとサムを促した。
コートを脱いだサムは、何となく珍しげに部屋の中を見回している。


そういえば大学に入って以来、ディーンの部屋にサムが来ることは初めてだった。
「お前、飯は食ったのか?」
買い物を袋から出しながら尋ねる。
「いや」
「冷凍ピザならあるけど食うか?」
「いらない」
嫌そうな顔で首をふるのはまあ予想通りではあった。
「じゃあ俺は食うからそこで飲んでろよ」
そう言ってビールの瓶を手渡すと、ピザをレンジに入れて着替えにいく。


「いい部屋だな」
ピザにかじりついているとサムが不意に呟く。
「だろう?」
基礎工事からセキュリティまで、かなり慎重に選んだので、そう言われて悪い気はしない。しかもサムの口からだ。
「悪くない」
もう一度サムが言った。
「…おう」
何となく気になるものを感じて、皿から視線をあげると、目があった。表情の読めない顔でサムが口を開く
「だから買った」
「何を」
「このアパート」
「…俺は借りてる」
「僕が大家ってことだな」
耳から入った情報が脳に到達するまで数秒を要した。
「…まじかよ」
どうもおかしいと思っていたのだ。ガードマンのいるゲートをあの大人数でどうやって通ってきたのか。
「ちなみに上の階は僕が使うことにした」
「おい」
「だから改装できる」
「改装?」
「上の階と直結の階段とか」
「しねえよ!」
思わず立ち上がり、飲みかけのビールはおいてウィスキーの瓶を取りに行く。
ドボドボとグラスに注いで一気に飲み干した。
「…なに無駄な金使ってんだよ…」
まず口をつくのがそれというのもどうかという気はしたが、仕方がない。
「会社の金ではないさ。別荘の島を買うのを先送りしただけだ」
「はあ!?」
「休暇に使う島を見繕ってた」
「なんで島」
「どこに行きたいとあんたに聞いたら、南の島がいいといっただろ」
確かにいつだか酔っぱらいつつそんな話はしたような気がする。
「飲みながらの話をまともに取るなよ…」
なんだか頭痛がしてきた。
もう一杯ウィスキーをなみなみ注ぐと、サムの手が横からそれをひょいと奪った。
「なにしやがる」
「酔っぱらう前に聞きたい。あんたがここに部屋を借りたのは、僕のためだろう」
何いってるのかと思ってみやるが、存外真面目そうな顔をしているのでまともに答える。
「あーそーだよ」
「つまり、あんたが毎回言うところの、僕が飽きて止めると言いだすまでは付き合う気持ちがあるわけだな」
「…ま、そうだな」
そうなのだが、本人に逐語で言われると何だか抵抗がある。
「その間は他の男も女も付き合う気はないな?」
「しねーよ、今んとこはな」
「ということは、その間は僕だけだな」
「………まあな」
まずい。ディーンの脳内で警戒信号がピリピリと鳴りだす。Yesで答える質問を続けるのは、相手に何かをOKさせたい時の基本テクニックだ。
「どうせ僕としか付き合わずに何十年も過ごすなら、結婚しても同じじゃないのか」
何十年も続けるつもりかよ、と言いかけて口をつぐむ。こいつは続けるつもりだ。少なくとも今のところは。何度も繰り返してきたやり取りだ。
「止める気になるまで付き合ってやるって言ってんだから、逆に書類なんかなくてもいいだろうが」
「僕はあんたを手に入れたい。実体も、法的にも」
いきなりストレートに言われて目を見開く。
どんな顔して冷凍ピザ食ってる三十路男にそんなセリフを吐くのかと思って見返すが、いつも通りの鉄面皮があるだけだ。
「…あのな」
いつか正気に返ったお前が、とち狂った自分の行動を後悔する姿を見たくない。これも散々言ってきたセリフを、また繰り返そうと口を開くが、遮るようにサムが言う。
「ディーンは僕がいつか自分のいかれた行動を後悔するはめになるのが嫌だと言うけど、既に僕とあんたが付き合ってて、求婚してるのはもうみんな知ってることだ」
「………」
そうなのだ。羞恥心がないのだこの馬鹿ロボは。おかげでディーンもすっかりロボサムの男恋人としていらん認知が周囲に広がりきっている。
「それにいつか僕が『正気』に返ったとして」
皮肉っぽい口調でサムが言う。
「幼馴染のあんたをベッドの相手にして、結婚もさせずに拘束し、ただの社員として人生過ごさせてるのと、あんたを配偶者にして一緒に暮らしてるのと、どちらを後悔すると思うんだ?」
「………俺はただの社員の方が気楽だ」
「僕の後悔は?」
「………」
「ディーン」
腕を掴まれて気づき、ラグを見つめていた視線を上に戻す。と、そこで合った視線に動揺した。何か違う。いつもと。
「サム」
「ディーン」
「お前…戻ってる、のか」
何となく今日の会話は口調というか勝手が違うような気がしていたのだ。馬鹿、非常識、と言って切り捨てづらい。
サムは顔をしかめて言う。
「何度も言ってるけど、僕はもともと僕だ。昔と違うのは周囲を気にして我慢するのをやめただけだ」
「え、いや、お前、まじかよ。よく考えろよ、てかいつからだよ!」
動揺して声が裏返る。思わず身を乗り出してサムの顔を覗き込んだ。
「元からだって言ってるだろう。人の話を聞きなよ」
「……」
「だからYesと言って、ディーン」
「……」
俺の頭はショートして、言語中枢がいかれたらしいとディーンは思う。文字通り真っ白で、何も浮かんでこない。
「ディーン」
「…後悔したらちゃんとすぐ言えよ。速攻離婚してやるからな」
「Yesだね?」
「………………………………おう」
いつのまにか掴みあうようになっていた腕に力が入る。


 


と。
「よし」
パチリ、と音がしそうな極端さで、サムの気配が変わった。そしてすっくと立ち上がる。
「え」
ディーンは咄嗟に立ち上がれない。ぽかんと急に動力が入ったように動き出したサムを見上げた。見上げる間にもサムはどこぞに電話をかけている。
「ボビー?僕だ。了承した。手続きに入ってくれ。…ああそうだ。Yesと言った。すぐかかれ」
なんだなんだ何がかかれなんだ。
呆然としつつも分かることがある。先ほどの、元のサムかと思われた気配がまるで綺麗に消えている。
「………てめえ、引っ掛けやがったな…」
思いきり声が低くなるが鉄面男は涼しい顔だ。
「別にだましてはいない。同じ内容を昔なら使った言い方で言っただけだ」
それが大きい違いなのだと分からんのかこの馬鹿は。パクパクするディーンの脳内の抗議などもちろん気にしないサムはさらに続ける。
「あんたは単純過ぎだ。メアリに聞いた時はまさかと思ったが」
「マムから何を聞いたんだよ」
「あんたが一生僕といる気はあるくせに結婚だけ了承しないと言ったら、ディーンは昔の僕からの頼み事は断れなかったのにねって」
「………さっきのは無効だ。宣誓なんかしねえぞ」
ボビーへの指示が気にかかるが、まだ最後の一歩は踏み出していない、はずだ。
だが。
「言っておくがあんたはもう宣誓してるからな」
そう言ってぴらりとどこからともなく数枚の紙が出てくる。
「な、ななななななな」
確かにやや乱れてはいるが自分のサインがされている婚姻関係の書類に、文字通り総毛立つ。
「どっからねつ造しやがったこんなもん」
「前に出先であんたが酔っぱらってご機嫌だった時に一通り済ませてる」
「それこそ無効だろう!」
「だからあんたが素面で了承するまで待ってたんだろう」
そう言われてぐっと詰まる。


「言っておくがもう内外に告知したからな」
サムの声に呼応するように、ディーンの携帯が次々にメールの着信を知らせはじめる。延々と続くそれが、引き返す道をふさいでいく土嚢のように思える。
「どうせ大して変わらない。あんたはやっぱりディーン・ウィンチェスターだし、僕と一生過ごすんだし」
サムはそう言ってディーンの両手を取り、そっと立たせる。
「………どっかの美人と結婚したくなったら絶対すぐ言えよ」
「何十年か後にしわくちゃのあんたの手を握って、ほら見たことかと言ってやる」


携帯は鳴り続けている。
いつの間にか自宅の電話も、サムの携帯もそれぞれの着信音で鳴っている。
サムがつと手を伸ばして携帯をいじると、鳴り響く音が鐘の音に変わる。
急転直下に白くなる頭に届くそれは、教会の鐘のようだった。



終わり…??


すごいぞ!頑張ったわたし!3本目の更新。
師匠に言われても「無理だぜこいつら」と思ってたのにゴールインだあ。
なんかロボの性格が変わった気がする…というか1話か2話くらいの感じに戻ったのかな。
まあいい取りあえず上げる!!
サミー誕生日おめでとう----------------------------------!!!!!
そしてノック終了ありがとうございました^^^!!


 


 


 


 

拍手[44回]

PR

お名前
タイトル
文字色
URL
コメント
パスワード   Vodafone絵文字 i-mode絵文字 Ezweb絵文字
非公開コメント

忍者ブログ [PR]

graphics by アンの小箱 * designed by Anne