なにせサミ誕ですからね。
気合が入ってます。
更新2回目いきまーす!
(畜生)
ディーンは心のなかで呻く。サムをベッドにつき倒して、性急に身体を繋げたまでは良かったが、その後がよくない。
ろくすっぽ準備もせずにサムを受け入れたので体は無茶苦茶痛いし、さっさと済ませて帰ろうと思ったのに、相手は一向に終わりそうもなかった。
そして。
「さわんじゃねえよ」
腰に触れてきた手を乱暴にはたき落とす。さっきから手を出しては振り払われているサムは、だが懲りる様子はなかった。
「なにを怒ってる」
いつもの平たんな声でそう聞かれて頭に血が上る。
「自分が言ったことを忘れたかよ」
言ってから眉をしかめる。口も聞きたくないのにしゃべってしまった。だが無神経大王はそんな心境知ったこっちゃない。
「あれは仕事場の話だろう。今は違う」
「あーそうかよ」
都合のいい奴めさっさと終われ。そう内心喚きつつ身体を動かすが、痛みの方が強くてなかなか思うようにはいかなかった。
サムの手が支えるように背中に回るのを避けて身をよじる。無理にねじ込んだ下半身がまた痛んで、うめき声が出そうになるのを噛み殺した。
サムが少し眉を顰めながら言う。
「仕事場にプライベートを持ち込むなと、言ったのはあんただろう。だからそうしてる」
「うるさい」
首を撫でようとする手のひらをまた払う。
「触らせないと終わらないぞ」
見透かされたようでまたむかっ腹が立つ。叩き落とすのをやめるとサムの手はムカつくようなスローペースで下からディーンの身体を辿りだした。その動きはディーンの焦りを無視するように、いくら噛みついても変わらない。
(畜生)
次第に苛立ちとは別の熱が、体に溜まり始めるのを感じて低く呻く。
背中をそっと撫でる手に身体が跳ねそうになるのをこらえた。そういえばこいつはこんな時だけ妙に辛抱強いんだったと今さら思い出す。
下にあるサムの体もまた、熱を帯び始めているのがせめてもだった。
「……っは」
息が洩れる。
(畜生)
性懲りもなく頬を撫でるサムの手がうるさい。だが払い落そうにも、次第に腕が身体を支えるので手いっぱいになってきて、思うように動かせないのが酷く口惜しかった。
サムの親指が唇に触れ、そっと辿る。
(触るな)
口の中に受け入れるのを拒んで顔を背けるが、サムの手はやはり怒る様子もなく穏やかに顎のラインを撫でた。
・ ・ ・ ・
結局、単にものすごく積極的な奴になっただけのような気がする。
むかむかしながらディーンは服を拾って引っ掛けるように身に着けた。
無理にねじ込んだ下半身はズキズキ痛い。慣らしてきた方が良かったことは分かっているが、それもまたムカついてしたくなかったのだのだから自業自得ではある。
サムがシャワーを使っている間に、とにかく帰ろうと靴下を探す。水音が止まったので焦ってそのまま靴を履いて寝室を出ると、時遅くローブ姿のサムとでくわした。
「シャワーは」
「いらん。帰る」
そう言って通り抜けようとするが長い腕が邪魔をする。
「まだ怒ってるのか」
「やることやって帰るっつっただろうが」
言っとくが部屋に来るなよ。と吐き捨てて腕を振りほどく。が、でかい図体と壁に挟まれてしまった。
「なんであんたはそう、寝ることにこだわるんだ?」
本気で訊いているのは分かるが、火に油だ。なんとなく脱力しかけていた身体に沸々と苛立ちが戻ってくる。
「話す気はねえし、飯を食う気もない。追っかけてくんな」
部屋に入ってから初めて正面からサムの顔を見た。相変わらずガラスのような、動じない目。
もう一言も口をきくものかと思いつつ玄関へと向かった。ダイニングを通ると二人分の食事の支度のしてあるテーブルが目に入る。ケータリング業者でも呼んでいたらしい。少しばかり胸と腹がチクリとしたが、黙ってそのまま部屋を出る。
サムは追ってこなかった。
それから数日、社長と秘書は、正しく社長と秘書だった。
「どうしたんだ」
ボビーが尋ねてきたので、よほどぎすぎすした雰囲気が出ているのかもしれない。
「すまん、ちょっとな」
「痴話喧嘩だな」
唐突に横からカスティエルに言われて文字通り飛び上がる。
「はあ!?そんな可愛いもんじゃねえよ」
「君たちはどちらもでかい成年男子だから、痴話喧嘩も可愛くないだけだ」
「違うってのに…」
「まあいい。避雷針効果は変わっていないから心配するな」
カスティエルはディーンの抗議を意に介さずポンポンと肩を叩くとふらりと自分の仕事に戻ってしまう。
痴話喧嘩だか職場のぎすぎすした人間関係だかはその後しばらく続いた。
続く
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まあ間に合わなかったら「エアスパコミ」ってことにするからいいんだぜ。大人はこうしてどっちに転んでもいいように備えているものなのさ。えへへ