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海外ドラマの超常現象の兄弟(SD)を中心に、頭の中にほわほわ浮かぶ楽しいことをつぶやく日記です。 二次創作、BL等に流れることも多々ありますので嫌いな方は閲覧をご遠慮くださいませ。
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いくぞ7本目~(ゾンビ兄)

ふふふ、千本ノックノルマの意義が生きるときが来ました。←ちょっとヨロヨロしている本日。
このモードで自分にうんと優しくすると、結果として停滞状態が続くわけです。(そしてアルコールとゲームに浸るから結局不健康)

えー、ここ数日リーマンものでしたが、体力が低下したこんな時にはサルベージ。
2年くらい前にこれまたkムさんのサイトのSS読んで「オラもやるー」と書いてたゾンビになっちゃった兄貴とサムの小ネタ。さらに「しらふの兄貴に、『抱っこ』と言わせる企画」であるというわけわからん物体です。ネタを倉庫に上げる用にもうちょっと文にしようと思って挫折してほかしてあったやつですねー
前に書いたのを探そうとしたら自分で探せなかったので、カテゴリ「ゾンビ兄」を作りました。
←他にもっとすべきことはあるような気はする…





ゾンビ兄貴編


 


「手を貸してくれないか」
ボビー経由ではあったものの、ボビー以外のハンターから接触があったのは久しぶりだった。
人間を傷つけないことを条件に、狩の対象にされずに済んでいる2人ではあったが、やはり本来のハンターの倫理からすれば既にディーンは『狩られるべきモノ』だ。
例え元ハンターであったとしても例外はない。ゴードンがいい例だ。
なのでかなり驚いた。
「本気か?」
「2人に?」
 サムだけならまだ分かる。だがディーンにもだ。


サムは今ではディーンのパーツ交換目的でしか狩りをしていなかったし、ディーンに至っては家庭菜園が農園になりかかっている(ずっと外にいても不自然でないし、一人で黙々と作業をしていても怪しまれない)。暇にまかせて無農薬・化学肥料不使用で作物を作っているので最初の頃はボロボロだったが、この頃は結構収穫できるようになってきた。
害虫対策は上手くなったが狩の腕は鈍っているはずだ。
いつか知らないハンターに狩られそうになった時、やっぱり自分はうっかり抵抗してしまうんではないだろうかと思うディーンは、あえて訓練につながることをしていない。なにせベントンは天才だったので、ゾンビなのに多分鍛練すれば筋肉が付きそうな気がするのだ。


目標は全力を出しても狩られる弱ゾンビ。
言っていないからサムは知らない、はずだ。
(ちなみにボビーを始めとした知り合いのハンターが自分を狩りに来たら、大人しく首をさし出す自信はある)
「俺は止めとくぜ。鈍ってるしな」
ディーンはハンターとしての常識を考えて断ったが、依頼を聞くとどうも、人間には危険な場所の探索にディーンを使いたいらしい。
ああ。とディーンは納得した。それならわかる。
「月面ロボットみたいなもんだな」
人間が作業できない環境で動けるのは確かに便利だ。
「そんなら行ってもいいぞ」
何となくおかしくなって手をワキワキさせてみるが、難しい顔をしたサムはうんともすんとも言わない。


 
果たして、ハンター達との顔合わせはかなり微妙なものになった。
「よう、久し振りだな」
「弟は気の毒だったな」
険しい顔のサムをちらりと見やった中年のハンターの誤解を訂正する。
「いや、変わったのは俺の方なんだが」
「・・・」
このときのハンター達の表情の変化を、ディーンは諦めと納得の思いで見た。


そう、自分でも同じだろう。バーで出会った美人が魔物だった時や、被害者と思っていた相手が当のモンスターだったことなど山ほどある。対象への認知のチャンネルが瞬時に入れ替わる瞬間だ。


横ではサムがターミネーターよろしく眉間にしわを寄せて険しい顔をしている。
(カリカリすんじゃねえ)
ディーンは軽く手の甲でサムを叩いた。


 
果たしてハンター達の依頼は見事に遠慮がなかった。ディーンに(というかサムに)依頼されたのは明らかなトラップの捨てゴマだ。鍵を開けると避けようもなく岩が降ってきた。
しかも明らかに事前の説明が意図的に過小だったのが、驚く様子もないハンターたちの様子でわかる。
(ま、俺でもそうするわな)
手も足も、胴体も潰されたのを認識しつつディーンはがれきの下でうっすら目を開く。
こんな状態で生きてるなんてまともじゃねえ。死んでるけど。


「ディーン!!」
がれきをどけつつ叫ぶサムの背後を、無表情にハンター達が通り過ぎて行く。
「この…」
「止せって」
今にも食って掛かりそうなサムを止める。自分はもういい。既に異形と化してしまった。
だが、サムは人間のままなのだ。戻る世界があった方がいい。
「大丈夫だ。痛くもかゆくもねえよ」
果たしてそれが弟を慰めるのか悲しませるのか、もうディーンにはわからない。だがもう一度「大丈夫だ」と言いながら笑って見せると、サムは泣きそうな顔で口を歪めた。
「ほれ、帰ろうぜ」
そう言って両手を伸ばすと、サムが不思議そうな顔をする。そうだろうな、まともな兄貴だったら絶対にしない真似だ。
「にーちゃんは歩けないから運んでくれよサミー」
おどけた口調で肩をすくめる。ちゃんと動いたかは定かでないが。
「うん」
半分泣きそうな顔のままで、だがサムは力強い腕でディーンを抱え上げる。
「帰ろう、ディーン」


歩き出そうとしたときに、ハンター達の入っていった洞窟から叫び声が聞こえた。
「…」
「行かないからね」
顔を向けたディーンが口を開く前に、サムがふてた口調で言う。
「言わねえよ、そもそも動けねえし」
ハンターだったころならともかく、今の俺は農業ゾンビだし。
我ながら面白くない軽口を言っている途中で意識は途切れた。



後日、件のハンターとの仲立ちをしたボビーが怒り狂って連中をボコボコにしたのだと、差し入れに来たジョーが教えてくれた。
「…元気なオヤジだなあ」
「相手の方がかなり若いのにね」
何となくモヤモヤを抱えつつ農園の草むしりに没頭していた兄弟は、それを聞いて久しぶりに少し笑ったのだった。


 


おわりー


 





いやー、ノック企画して良かった。
これ絶対にお蔵入りだった。
無理やりだすって、効くもんだなあ


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