はい、昨日の設定、偽装恋人を必要とするプレイボーイの社長がディーン。あんまりフラフラしてるので業を煮やしたパパが「結婚相手を連れて行く」とか言ってきます。
「げ」
と焦るディーン。パパのお言いつけを正面切って
「その相手は嫌だ」
と断るのはできないわけです。横で見ている秘書のカスティエルは仕事の片手間に呟きます。
「では、お父上のおすすめのお相手と結婚すればいいだけでは?」
「相手は自分で見つけるもんだろーが」
「じゃあ親父殿にそう言えばいいだけのことだろうが」
秘書その二のバルサザールが突っ込むと、
「それができれば苦労はしねーよ」
とふて腐れる。社長席で困って椅子をぐるぐる回したり、部屋の中をウロウロ歩き回る社長をしり目に部下はどんどん仕事してます。
ウィンチェスター社の空気を読もうとしない秘書コンビは有能で有名です。有能なことでも有名ですが仕事以外のプライベート面では全く役に立とうとしないことでも有名です。
「社長は悩んでいるようだ」
「そうだな」
「私なら父の言いつけならば結婚するが」
「俺ならいらんと断る」
「何を悩んでいるのかわからん」
「ああ、さっぱりわからんな」
「放っておくか」
「放っておこう」
彼らと個人的に付き合えるのはお互いだけだともっぱらの評判です。
さて、遊び人のディーンですが、結婚には夢があるらしく、『結婚したら最後浮気はいかん』と思っていたりします。
秘書たちが相談に乗ってくれないので、ディーンは自分で考えました。
「そうか。誰か固定した相手を作って、なおかつ親父がさっさと結婚しろとか言わなそうな相手だったらいいんだ」
…というわけで、幼馴染で今は弁護士をしてるサムに、期間限定の偽装恋人になってくれと頼みます。
「…バカじゃないの」
久しぶりに会って、依頼を一通り聞いたサムの第一声はそれだった。
「まあそう言うなよサミー」
「サミーって呼ぶな」
長い脚を邪魔そうに組んでミルク入りの紅茶を啜る長身の弁護士は、昔からディーンのお気に入りだ。木登りも教えてやったし、ナイフで鉛筆を削るやり方も教えてやったし、上手い落とし穴の作り方も教えてやった。
「あの可愛かったサミーがこんなにでかくなってなあ」
「何年前のこと言ってんのさあんたは」
いつのまにやら背丈でディーンを追い抜かしたカレッジボーイは、ヒョロヒョロだとディーンに笑われたせいか随分筋トレに励んだようで、しばらくぶりに会ったらえらくムッキムキになっていた。
「別にお前を恋人ですなんて吹聴はしねーよ。勘ぐる奴らは勝手に勘ぐるだろうから、ほっときゃいいんだ」
聞いたサムが不審そうに顔をしかめる。
「なにそれ?それなら別に僕でなくても誰か暇な友達と遊んでりゃいいだろ」
ごもっともな指摘にディーンは肩をすくめる。
「そんな長期間べったりつるむような奴はいねーよ。不気味だ。それにさすがに親父に対してだけはまあそーゆーことで言わせてもらうし」
「付き合ってますって?」
「心配すんな。俺のかなわぬ片思いってことで言っとくから。お前にホモの汚名は着せないぜ」
「…性的嗜好での差別はもう現代ではタブーだよ」
「はいはい。お堅いねえ弁護士さんは」
サムの口調から了承と取ったのか、ディーンの口調がさらに軽くなる。飲むか?と酒を入れた棚から振り返られてサムは首を振るが、ディーンの手に持っているのがとっときのウィスキーであることに気が付くと気を変えてうなずいた。
グラスを合わせながら、サムが尋ねる。
「疑問なんだけど、お父さんに『その相手は嫌だ』とは言えないのに、『男に片思いしてます』っていうのは平気なの」
「別の相手を連れてこられてもその子に悪いし、男相手の方が結婚とかあり得なさそうで親父も粘らないだろ」
「さっきも言ったけど頭が古いよ。この州でももう同性婚はとっくに認められてるんだよ知ってた?」
「へー。じゃあお前、俺と結婚してくれるか?」
「いいよ。僕が婿でいいんならね」
「へ??」
……というわけでこの流れでそのままいただかれてしまうもよし、
「それくらいの信ぴょう性あった方がいいだろ」
とか言いながらデートにお泊りにといっちゃいちゃの数か月を過ごし、パパにもカミングアウトして呆れられつつ「勝手にしろ」とお許しをもらい、途中ちょっとトラブルか事故かふりをしないといけないか何かでキスの一回くらいはしてディーンはどうやら自分が本当にこの年下の生意気男に恋をしていることに気付く。
でも約束の期限が来て、
「長いこと世話かけたな」
と終了を告げながらディーンがちょっと涙目になって、いかんいかん気色悪いぞ俺、とか思ってたら、
「なに寝ぼけてんのあんた」
とか言いながら、ちょっと怒った顔のサムにその場で引き倒されてしまう。
え?え?おい?え?
俺乗られんのか????
みたいな感じでコトは進み、
「ほんとに真剣に気が付いてなかったなんて信じらんないよ!!僕の言ったこと全然聞いてないってことだろ!」
とか終わった後にズキズキする身体を抱えた上にキーキーとサムに怒られると。
周囲にも数か月かけて周知が終わってるので、
「あれ?なんでこんなことに」
とディーンが思ってるうちにさっさとご成婚まで行ってしまう。
「そういう意図だったんですか社長」
「さっぱり気が付かなかったぜ」
と感心する秘書’sに、
「いや、俺もよくわからん…」
と答える社長。
「…………あんたたちが仕事はできるってのが僕にはわかないよ」
と不思議がるサムは会社の経営陣に加わって、どこからどうみてもめでたしめでたしで終わると。
うわーーーーーー!やっぱり兄貴がプレイボーイの方が書きやすいのかな!??一応終わりまで行ったじゃないか。矛盾とかあるかもですが。うーん、設定同じでもキャラが変わると少なからず変わりますねえ…某さま!ナイスタイミングなコメントありがとうございます!ちょうど!いま!出来上がりましたーーーーー!(^^)!いえーい
あ。こんなとこでいきなりすみません。コメント下さった方へのお礼は改めていたしまーす
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