偽装結婚の主人公といえば、プレイボーイの社長です。ここはサムにその役割を振ります。色んな女性と付き合いますが長続きしません。
そんな彼が、とある事情で会長である爺様と会うことになりました。とある事情ってなんだろう。えーと、良くあるのは相続の条件が「結婚している」とかだったりするんですがこの間j2でそれ書いたので、ここは一つ「どうせフラフラしてるならワシが選んだ子と結婚せい」と言われそうということにします。
「冗談じゃないぞ」
とイライラするサムに、秘書のカスティエルが、
「では、ご自分で選んだどなたかと結婚すると言われては?」
と言いますが、サムはふん、と鼻を鳴らして、
「恋人と結婚は違うよ」
とか言う。秘書その二のバルサザールが、
「要はまだフラフラしてたいんだよなボスは」
とか言って、サムは言い方が気に食わないけど「まあそうだ」と頷く。
「では、ヘンリー様が来られている間だけでも、どなたかお相手を固定されては?」
とカスティエル。
「ヘンリー様は浮ついた振舞いがお嫌いですから」
浮ついてて悪かったな、とサムは不快に思うけど、ヘンリー爺さんの好みはまさにその通りなので反論できない。
で、しばらく固定する相手を既存のガールフレンドの誰かにすると絶対めんどくさいことになる。相手も期待するだろうし、せっかく今「誰とも長続きしない」で統一してる対応が崩れて過去カノとのやり取りがめんどくさくなる。
かといって新たなコと付き合ってもこれまた特別感がでてしまうことが明らか。
…というわけで、別の会社の営業部長してる幼馴染のディーンに協力してくれと声をかけるサム。
「…バカかお前」
がディーンの第一声。
「え、だってディーンってバイじゃん。それに僕を昔振ったくらいだから、期間が終わったら絶対きっちり終われるだろ?」
「てか、そもそもそんな話受ける気ねーんだけど」
どっかのレストランの個室でも借りてひそひそあほな話をする男二人。
「そう言わずにさ」
と笑うサム。
「あのパーツの発注、ディーンのところ一本にしてもいいからさ」
そう言うとディーンの目がスッと細くなる。
「…てめえ、俺に枕営業のラベル貼ろうってのか」
だがサムは動じずにへらへら笑う。
「だって、ディーンって付き合ってる人がいる会社からは大概大きい注文取ってるじゃないか」
「アホ。たまたまだ。うちの商品とアフターフォローが先方のニーズに合っただけのこった」
「まあね。そちらの商品は性能も耐久性も悪くない」
「そうだろ」
「でも、他社の製品も格段に悪いということはない」
サムが言うとディーンはふん、と鼻を鳴らしてグラスを飲み干す。サムはそんな無言のゼスチャーを見ながら微笑んで長い脚を組む。
「だから後の決め手はスムーズなやり取りができる窓口の有無じゃないの?」
そう言ってディーンを見やると、ふ、とディーンのめんどくさそうな雰囲気が変わった。碧の目をキランとさせて身を乗り出してくる。
「営業としての話なら、もちろん誠心誠意やらせてもらうぞ。アフターフォローもサービスも期待してもらっていい」
「あ、ごめん。その話はおまけだった」
サムはあっさり手を振って、ディーンは顔をしかめると席を立ちかける。慌てて止めにかかるサム。
「ねえ、頼むよディーン。そう、三か月でいいから」
無理に座らせると、ディーンの好きなバーボンの瓶を取って、なみなみとグラスに注ぐ。
「俺はほぼ完ぺきに女の方がいいんだよ!」
「分かってるってば。恋人ですなんて大っぴらには言わないよ。友人ですって言いつつ女の子連れないでディーンと遊んでれば、周囲が勝手に勘ぐってくれるだろ」
「はあ!?友人付合いならわざわざこんなとこに呼び出さなくても構わねえよ」
「あ、良かった。いいいよそれで。ただ周囲がうるさくても三か月は付き合ってくれ」
「…なんで三か月なんだ」
「御爺様と会うのが二か月後なんだ。あんまり直前から付き合うのも、会った直後に迂遠になるのもダミーってばれる。多分前後結構な期間、お目付け役が僕を見てるだろうしさ」
「だけどそのじーさん対策、そんなもんで足りんのかよ」
「だから、御爺様に何か言われた時は、今はディーンと付き合ってるって言わせてもらうよ」
「男と付き合う時点で婚約避けとしては無駄なんじゃねーのか?諦めてだれか良い子と真面目に付き合えば簡単じゃねえか」
たいへん率直に言われて今度はサムが顔をしかめる。
「そこまで考えられる子がいないから頼んでるんだろ」
…いかん、終わらん。
まあそんな感じに始まりますが、友人付合いっぽくするということで、一緒にレース
見に行ったり、スカッシュしたり、フットボールの試合に行ったりクラブに行ったりと、ずーーーーーっとつるんで過ごすようになるんですねー。
で、実はちょっと触れたようにサミーは実は昔からこのタラシな軽い幼馴染が好きであったと。
なのでガールフレンドがいなくてもこの期間大変楽しく過ごしてしまえて、そして周囲は狙い通りに「友人と言ってるけど今の恋人は男」として騒ぐ。
実はディーンもサムのことは憎からず思っていたけど、まあ近すぎて遊び相手じゃないなと思ってあえて引いていたとか。
そーして偽装のはずが、ディーンの誕生日に昔壊れちゃってパーツがなかったインパラを直してプレゼントしたり、ディーンの秘密の絶品チーズバーガーの店に連れてってもらったり、週末に二人でバーベキューしたり、そういうのが洒落にならないほど楽しくなってくる。
そして途中でやはり恋を自覚するんだな!
そして偽装との兼ね合い問題をどうするかとかでモダモダするんだな。
そして最後はハッピーエンドだななんとしても。
冒頭で終わってしまいましたが、ネタ出しと停滞防止が目的なのでここまででアップしまーす!いやでも定番は楽しいよ…
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