本編終了後二人そろって生き残った兄弟。できてません。
どっかに家借りて住んでるとしましょう。まっとうな仕事も何か見つけて暮らしてると。サミーは弁護士…と言いたいところですが、まあ大学中退、ロースクールも行ってないではいきなりは難しいでしょう。なので何か普通の仕事。
ハンター辞めたから、運動量は当然落ちてるわけです。なのに兄貴はやっぱり食事当番になるとジャンクフードばっかり買ってくるわけです。
中性脂肪が高すぎて色んな病気になる話などを見聞きして心配になったサムですが、野菜ばっかり出すと、兄貴はふて腐れて食べたがらないし、無理矢理食べた後に「口直しだ」とか言ってどっかにジャンクフードを求めていってしまいます。
で、ある日サムが料理当番の時に、安く買ったジャガイモを細めに切って油で揚げた料理を出す。
「珍しいな」
って兄貴が驚くと、サムが眉間に縦ジワ寄せて、
「店の油は古いし、色々添加物もあるから、どうせ食べるなら家で作った方がましだよ」
とか言う。兄貴が
「また説教かよ。ジジイかおめーは」
と言いながらつまむんだけど、サムの好きなオーガニックのジャガイモで、オリーブオイルか何かで上げて、揚げたてだからそりゃーんまいわけですね。
「おわ!うめーなこれ!」
とか兄貴がコロッと態度を変えて喜んでバクバク食べるわけです。
それ以来ディーンは揚げたてじゃないポテトをあまり食べなくなってサムに当番の度に「作ってくれ」とねだるので、サムもまんざらでもない。一つ好きになると人参やらズッキーニやらパプリカやらも一緒に揚げると食べるようになって、食事管理の面でサムも満足。
その次には、パンケーキとかも焼くのが上手くなって、これまた兄貴は
「なーなー、あれは?」
とかリクエストするようになる。
そんなこんなで平和に過ごしているわけです。
そしてある日、サムの職場で何かの話でサムが最近料理自分の好みじゃない料理の開拓をしてる、という話になって、
「餌付けしてるんですよ」
「誰を」
と訊かれて、30越えた実の兄貴とか何となく言いづらくて、
「まあ、とある相手を」
とか答えちゃう。で、余計に勘ぐられてしまってとほほと思いつつ家に帰ると、またなんでだかその話をしたのが兄貴に分かっちゃって、
「なんだそりゃ」
って兄貴に(やっぱりポテトをつまみ食いしつつ)馬鹿にして笑われる。
「だって何か侘しすぎるじゃないか、一生懸命料理作ってる相手が兄弟だなんて」
とサミーがプンスカすると、兄貴もうんうん頷いて、
「そうだなあ。早く彼女ができるといいよなあ。でもお前も菜っ葉しか出さない男より、フライドポテトやサルサソースや美味いチリが作れた方が絶対相手に喜ばれるぞ」
とか言う。サムも皿に料理を盛りながら、
「そーだね。あと、兄貴に料理上手な恋人ができるんでもいいんじゃないの?」
なんて言う。その後食事をしながら、
しかし控えめに言っても散臭い身の上で、果たして自分たちはに、ちゃんとしたおつきあいをする彼女ができるだろうか。
ってな話になる。
「兄貴はきっとできるよ。リサとも一年暮らしてたんだろ」
「お前こそ、あの大学での美人もいたし、獣医の美人もいたしな」
「・・・・」
「・・・・」
二人は何となく互いの過去の恋人を思い浮かべ、それから自分の付き合った彼女のことを思いおこし、
「そういえば、長く女性と付き合う時って、こいつが(兄貴が)傍にいない時期で、兄弟が近くに来ると速攻でダメになってるな」
という不思議な共通項に気付くのです。
「「あれ・・・・?」」
と思いつつ、
まあ、深い意味はないよな、と思いなおし、お互い何も言わずにもぐもぐと食事は続き、サムのヘルシーかつボリューミーな料理レパートリーは増え続けると。
そして、兄弟はやっぱり気が付くと兄弟二人きりで暮らしているのでしたとさ。
めでたしめでたし
ほら、今日は平和だ!でも萌えポイントをまた見失った!!うがあ。
[30回]