更新がなくてあまりにもつまらない!!
自分で原稿に集中しておいてなんなのですが大変につまらない!
…ので、こんなときの携帯食料、フリーペーパーを転載いたします。
11月のムパラと通販におつけしたやつですね。
持ってる方はおなじもんですみません。
SW本をご覧になってない方でもだーいじょうぶ!スミス部長とコールセンターのバイトがくっついてるだけです。(身もふたもないのう)
まったくもって大したことはないんですが(当社比)間違って入った方はちょっとピンク風味なのでゴーバックしてくださいね!!
「うあ、」
ディーンはラグの上で這いずりながら呻いた。打ち合わせじゃなかったのか、と抗議しかけて、前回も同じようなセリフを口にしたことを思い出す。
「ちょっと待てって」
「やだ」
背中から伸し掛かられると、じれったげな手に手探りで緩められたネクタイと、一部だけボタンが外されたシャツの間からサムの手が慌ただしく入ってくる。辛うじてスーツの上着は脱いだ後でよかった。何する、というのもばかばかしい。それでも文字通り部屋に入った途端に床に引き倒される性急さにだけは抗議したかった。肩越しに振り返って相手を睨み、即座に後悔する。発情しきった目をしたサムと、バッチリ目が合ってしまった。ディーンはこの目に弱い。いい年した男が、とかごつい体触って嬉しいか、とかむず痒くて揶揄するあれこれがきれいに蹴散らかされてしまう。
文句を言い損ねた間に視線が絡み、逆に顎を掴まれて強く口を吸われる。ぐう、と喉の奥が鳴った。
小刻みに息を吐いて、衝撃をやり過ごす。最初の違和感だけは回数を重ねても慣れることがないが、いつのまにやらその後の快楽への期待で耐えられるようになってしまった。
奥まで突き入れられる感覚に四つん這いでいるのがしんどくなり、腕が崩れてラグに額を押し付ける。息が苦しくて横を向こうとすると、コーヒーテーブルの脚が目に入った。
何だか前もこんな視界になっていた気がする。
サムの部屋だ。広くもないスペースだが、それでも隣の寝室にはベッドがあるし、狭いながらもバスルームもある。それが何で来るたびに俺は大人しくリビングの床に転がされてるんだろう。
「何考えてんの」
ぼんやりした思考に、掠れたサムの声が割り込んでくる。
「…え、」
答えかける間もなく、一度抜かれ、無造作に体を返される。
と、これまた遠慮会釈なく足を掴まれて、正面から性急に交わった。また喉からうめき声が漏れる。見上げると微かに滲む視界の中で、天井を背景にサムがユニフォームを脱ぎ捨てるところだった。それがいかにも嫌そうな仕草で、こんな中なのに少し笑える。こいつは本当にコールセンターの制服が嫌いだ。
照明を背にしたサムの身体は、一日中ブースに座ってるくせになんでそんなことにと言いたくなるくらい筋肉質だ。その首を流れる汗を見ていてふと、自分の格好に意識が戻った。じたばたしているうちにあらかた脱げたが、ほとんどはだけたワイシャツと、ネクタイが鬱陶しい。脱いでしまおうと手を伸ばすが、引っ張られてるうちにネクタイは妙に結び目が固くなり、なかなか解けなかった。
「なにやってんの」
言いながら急に揺すぶられて息が詰まる。
「みりゃ、わかるだろ」
だからちょっと待てと胸を押し返そうとするのに、サムは止まらない。それどころかネクタイにかけていたディーンの手を無理やり引きはがして指を絡めてくる。
「おい」
「いいじゃん、そのままで」
抗議する声はあっさり無視され、大きく突かれて思わず高い声が出る。動きの感じから、そのまま最後まで行く気なのが分かった。
「あく、しゅみだ、ぞ」
かなりムカついたので本気で睨むと途端にサムの眉が下がる。
「だ、ってさ、今日一日、このシャツ見ながら、触りたいな、と思ってて、でも触れなくて」
情けない顔をすると、不当な主張が通るなんて思うのは大間違いだ。そう思いつつも自分が結局このでかい体を跳ねのけもせず受け入れてしまうから、こいつは同じことを繰り返すのだろう。理不尽な言い分を認めたわけじゃないのに、必死な顔でディーンに手を伸ばして来られるとどうも弱い。
何を言ったわけでもないのに、ディーンがほだされたことだけはちゃんと感知するらしい、小憎らしいでかい男はホッとしたような顔をする。
「…怒んないでよ」
「…うるさい」
なだめるようなキスをしてくるのが生意気だ。だけど繰り返されるそれに何となく黙り込み、次第に無言で身体をぶつけ合う。
「………好きだよ」
言われた時に身体が震えたのはたまたまだ。そして直後にサムが感じ入ったように呻いて達したのも、たまたまに違いなかった。
・・・・・
早々に脱いだスーツの上下は無事だった。
しかし無体な目にあったシャツは壊滅的だ。これを着て帰った日には、追剥にでもあったのかと思われるだろう。
「泊まっていけばいいよ」
心なしかいそいそと夜食の準備をしているサムが言う。
「まだ本題の話をしてないしさ」
「だれのせいだ」
なかなか床から立てないディーンが低い声を出すと、
「僕だよね、ごめん」
と、素直に謝った。
謝りゃいいってもんじゃないぞ。
そう思いつつ重い体を引きずってバスルームに向かう。これまでの体験から、あまり長いこと動かないと、でかい男がいそいそと一緒に入ろうとか阿呆なことを言い出すのが分かっていた。挙句もう一ラウンド始まってしまったりしたら本気で動けなくなる。
長風呂をすると真剣に倒れそうだったので、ほどほどに切り上げる。と、
(しまった)
着替えに持ってきたのが見慣れないTシャツだった。泊まりも多いので服は一式置いているのだがどうもサムのと混ざったらしい。普段なら他人の物など着ないが、ひどくめんどくさくなっていたのでそのまま被る。首周りはともかく、袖まで長いのでたくし上げた。
「ディーン、大丈夫?」
いつの間にか長くなっていたのか、キッチンにいたサムが覗きに来る。と、振り返るディーンを見て目を丸くした。
「わるい、シャツを借りたぞ」
「いいけど…」
一応無断借用を断るとサムはこくこくと頷き、しばらく沈黙した後に急に顔を抑えて下を向いた。そしてばたばたとバスルームに入ってくる。
「どうした!?」
「何でもない!」
ディーンを押しのけて洗面台に突進する姿に一瞬焦るが、その手の間から血がぽたぽた落ちてくるのに仰天した。
「怪我か?」
「違うよ!」
どうやらそれが鼻血らしいと気づき、続いて突然の出血の原因に思い当る。
「……………まさかお前、さすがにそれは寒いぞ」
我ながら冷たい声が出た。
「うるさいなしょうがないだろ!あんたこそ自分の格好鏡で見てみろよ!」
真っ赤になったサムは鼻を押さえてキーキー言うが、ディーンとしては全く同意できない。鏡に映っているのは勿論いい男だが、大きめのTシャツの袖をたくし上げて、いささか疲れた顔をしている仕事帰りの三十男の姿に鼻血を出す心境など全く分からない。
その後サムが、「携帯で写真撮っていい?」と言い出し、二人はまたひと悶着した。結果夕食はどんどんずれこみ、挙句幽霊のゆの字も話題に上らぬまま、その日も終わってしまうのだった。
そんな感じで終わる。
覚醒待ってるザカリアさんきっと大激怒