監禁のトムがクレイを避けるネタには困りません(きっぱり)。
同居人宣言をして、しばらくした時に、何かの拍子にトムがひどく険しい顔をしたとします。
久しぶりにハリーが出たのかと思って、クレイはいささか驚きながらも(もういらんから出てくんな)の思いを込めて思いっきりぶん殴ったとしましょう。
相手は連続殺人鬼です。先手必勝油断大敵。人がモグラたたきのモグラが顔を出すか出さないかのタイミングでハンマーを振るうように、クレイは(不意をついても俺はいつも臨戦態勢だぞ)を思い知らせるべく、気合をこめてやっつけました。
ところが、それはハリーではなくて珍しくちょっとムッとしたトムだったわけです。
何せ元の顔が整っている分、本気でムッとすると結構迫力があったわけですね。
ですが、ムッとしたことを口に出す間もなく筋肉ムキムキのクレイに『対ハリーモード』でぶっ飛ばされてしまったわけです。きっと流血沙汰です。流血しなくても内出血はしたと思います。
トムとしては、クレイが『対ハリー』だったことはわかったとします。
しかしながら、気が付くと体のあちこちに怪我をしている状態で、一応冷静なクレイに「僕がやった」と言われるのと、リアルタイムで鬼のような形相のクレイにぶん殴られるのは怖さが違います。
(いかん、だんだんこのクレイ、くりまいの犯人像みたいになってきた)
なので、それ以来トムはクレイが、
「あ、髪になにかついてる」
と手を上げたりしたときも、思わずびくっと避けるようになってしまったわけです。当然ですね。
そんでもって同居のクレイなら、「わあ!ごめんトムだったんだね!」とかおろおろしそうなもんですが、こっちのクレイは、
「なにビクビクしてんのあんた」
とかムッとしそうです。ムッとするけど、「避けんなよ」と言いつつ髪についた葉っぱを取り、トムが体を固くしてるのにへこみそうです。ははは、自業自得。
あまりにへこんで、そのうち「髪になんかついてる」とか手を上げずに顎をしゃくるようになりそうです。
トムの方はそれ以来クレイがムッとすると身体が脱出臨戦態勢になってしまうとよろしいです。きっと意外に素早いです。
クレイの方も臨戦態勢だったら、トムも逃げられないでしょうが、あいにくと最近のクレイは正気のトムを殴る趣味はないので、何かあるごとにビュッと逃げるトムを苦々しく見ていると。
そしてトムの方が何となく「殴られる前に逃げる」のを無意識のゲーム感覚で楽しみだす。
なので、けっこう延々と避けられ続けるんじゃないだろうか…
終わりが見えないけど、そのうち触りたくなったクレイが、
「ちょっと来なよ」
とか言って座らせて、
「目つぶって」
とか言って手を上げるのが見えないようにさせてやっと触るんじゃなかろうか。トムが、
「なんだ?」
とか言って目をつぶったままもぞもぞするのに、
「うるさいな」
と黙らせて(黙らないけど)触るんですね。トムが触られるのは嫌いじゃなかったことを思い出すのに時間かかりそうですね!
考えてみると避けるのは簡単だけど、その後の回復に時間がかかりそうなことがわかりました。そして今一つ素直にくよくよしないねクレイ!
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