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海外ドラマの超常現象の兄弟(SD)を中心に、頭の中にほわほわ浮かぶ楽しいことをつぶやく日記です。 二次創作、BL等に流れることも多々ありますので嫌いな方は閲覧をご遠慮くださいませ。
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いいふーふのひ(同居クレトム)

ぜいぜい。
間に合った。
何をむきになってるのか自分でも意味不明ですが、いい夫婦の日。

これまたお久しぶりの同居クレトムです。監禁してる殺伐した人たちじゃないです。あの人たちには縁のない日です。

もちのろんろん一発書きです。
いろいろぼろぼろだと思います。









いい夫婦の日

あなたのパートナーに大切な気持ちを伝えましょう。


つけっぱなしのテレビの声が不意に耳に入って、トムはディスプレイから目を離した。


国際情勢やらアジア市場の動きやらで、トムの持ち株はここ3日間上昇を続けている。
そろそろ売って利益を確定するか、もう1日待つか。
ネット上のコメントはまだまだ強気なものが優勢だが、欲をかいて売りタイミングを逃したことも再々なので考えどころだった。


そんな中、市況と全く関係のなさそうな話題だ。
待ちゆく人にレポーターがマイクを向けている。


(語呂合わせか)
たしか以前に「パイの日」もあったし、この間は「ビシソワーズの日」だった。
なんでその日なのかさっぱりわからなかったが、何となく食べたくなりビシソワーズ作りに挑戦してしまったので覚えている。もしかするとジャガイモ販売団体の戦略なのかもしれない。
ふらふらと放浪している時は聞き流していたが、嘘のように呑気な日を送っている最近は、やたらとこういうどうでもいい情報が耳に入る。


横目でちらりと画面を見て、トムはチャートに目を戻す。
売却の決断を揺るがせるように、株価は多少の上下に振れながらも、じりじりと上昇していた。


『男性の方に訊いてみましょう』
レポーターに捕まった仕事中らしいサラリーマンは、だがやや照れたような顔で
『花とケーキを買って帰るよ。店の開いてる時間に間に合えばだけど』
一方主婦らしい女性は
『パイを焼くわ』
だの
『ミートローフを作ろうかしら』
だのの声が多い。


(夜をどうするかな)
男女問わず延々と食べるものの話が続くので、トムの頭もついそちらに向いた。
ここのところ豆の煮込みだのキャセロールだの、節約気味の食事が多い。
クレイが食事に不満や注文を言うことはないが、やはり肉や揚げ物などボリュームのあるものの時は食べるスピードが違う。
最近トムは自分があまりがっつりしたものを食べるともたれるので避けていたが、たまにはクレイの好みに合わせようかと思いつく。


(どうせならいい肉がいいな)
時計をちらりと見る。まだ昼前だ。これから車を出して少し離れた店に往復する時間はある。
「よし」
まだ伸びるかもしれないが、マウスに手を伸ばして持ち株をいったん全部売却した。


 


 


「ただいま」
「ああ」
おかえり、と振り返りかけてトムは固まった。
「…なんだそれ」
帰宅したクレイが何となくはにかみながら、明らかにケーキの入った箱と小さな花束を差し出してくる。
「ちょっとね。たまにはお土産」
「…なんで花まで」
「なんとなく」
今日見たテレビが思い浮かび、いやいやまさかと打ち消す。
固まっているトムに苦笑して、クレイは花束をちょっとトムの顔の前にかざした。
「やっぱり似合う」
「……目が変だぞ」
トムはげんなりして答える。別に花は嫌いではないが、男が土産に差し出されて受け取るには抵抗がある。似合うわけもない。


「相変わらずだね」
手を出さないトムに笑って、クレイは「ケーキならいい?」と箱の方を手渡した。
「ああ」
両手で受け取ったところでついでのようにキスをされる。
「おい」
「ん?」
目を細めて笑うクレイは満足そうだ。それはいい。別にいいのだが。
ケーキの箱を渡しつつキスをする男女の映像も今日何度か見かけたような。


「飯、食うか?」
「うん」
追及するのは止めて、さっさと食事をしてしまうことにする。
せっかくいい具合に熟成したステーキ肉を買ってきたので、気を付けて焼かないともったいなかった。


「わ、なんか今日すごいね」
着替えて戻ってきたクレイがテーブルの上を見て驚いたような声を上げる。
「まあ、何となくたまにはな」
ほら、と温めた皿にステーキと温野菜、マッシュポテトを盛り付ける。
どうせやるなら、と作ったスターターとスープも並べた。
本当に徹底するなら順番に出すのだろうが、その辺はトムの関心とちょっとずれるのだ。


感心したように眺めていたクレイが、急にはっとした顔をしたのでトムはドキリとした。
「トム、これって」
「今日は売却が上手くいったんだ。だから、」
どもりそうになるのを堪える。
実際午前中で売却したのはいいタイミングだった。あの後大量に出た利益確定からなにかの統計数値が悪かったとかで、午後になって株価は軒並み急降下したのだ。
実際のところは買い物の決断と売却の順序は逆だが、そこは言わなければわからない。
はずなのだが。


「…冷めるから食えよ」
「う、うん」
なにやらクレイが顔を赤らめてナイフを取り上げるのがいたたまれない。
キッチンのシンク脇で待機中のケーキの箱もいたたまれない。


いい夫婦の日。
違う。違うぞ。たまたまだ。
相手が下らない語呂合わせに気が付かなければ、ひっそりと満足できたのに。


「このステーキ、美味いね」
「だろ」
視線を合わせづらくてぼそぼそしゃべりながら食べる。


「栗のケーキ買ってきたから、食後に食べようね」
「デザートか。優雅だな」
「まあ、たまにはね」


喜びは倍に。悲しみや辛さは半分に。
良く言うセリフだが、この場合二人そろって同じ想像に行き着いたことでこっぱずかしさは2倍以上だった。


 


おわりだよ


もう、同居クレトムは平和なんですよ。
喧嘩もしないの。
いい夫婦の日のうちにアップすることに意義があるのだ

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