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海外ドラマの超常現象の兄弟(SD)を中心に、頭の中にほわほわ浮かぶ楽しいことをつぶやく日記です。 二次創作、BL等に流れることも多々ありますので嫌いな方は閲覧をご遠慮くださいませ。
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サルベージ(ロボサム幸せ話 没版)

皆様お元気ですかー?
すっかり週刊かいってな更新頻度になっておりますが、今週末で暑さもひと段落という天気予報が心の支えです。
頭は相変わらず煮えていますが、週1くらいは更新しないと本当に廃墟になりそうなので、また没ネタのストックを掘り出して再利用に走ります(それはやらない方がいいのか、という説もありますが)

というわけで6月のムパラで出したロボサム幸せ本の試行錯誤ネタです。
本では「兄貴が死の騎士との取引に失敗した後」というIF設定で書きましたが、最初は「魂が戻ったのに人格ロボサムのままだったら」という設定でした。(そして行き詰まった)

というわけで更新がないよりはよかろう、ということで最初のネタを書いたとこまでのっけます。

なにせ同じ頭から出てきた同じ二人(兄とロボサム)のネタですので、同じような部分もあるかもしれませんが、その辺は気にしないよん、というお方はどうぞー。









自分を殺すかもしれない毒物を、無理矢理身体に入れられそうになったら、抵抗するのが当たり前じゃないのか。
何かあっても死ぬのも後遺症を負うのも自分なのに、それが嫌だと言ったら魂がないせいになるのか?

 


 


サムはぱちり、と目を開けた。
ボビーの家だ。見慣れたパニックルームの天井が見える。黒い服の死神に、魂を無理矢理戻された時見上げたのと同じ風景だ。
ゆっくりと瞬きした。生きている、と思う。
ボロボロになった魂を身体に戻されたら終わりかと思っていたが違ったらしい。
自分は生きている。そして感じる範囲では魂が戻される前と変わった感じはしない。起き上がろうかと思ったが身体がひどく重く、指一本も動かせなかった。今の瞬きだけで力を使い果たしたような感じがする。引き込まれるようにもう一度目を閉じた。


次に目が覚めると昼間のようで部屋のなかも少しばかり明るい。喉も乾いたので起きることにした。今度は身体もスムーズに動く。寝台の上に起き上がってから、そういえば縛られていた手足が、今は解かれていることに気付いた。
(魂が戻ったら拘束不要か)
よってたかってサムを死なせるかもしれなかった兄とボビーにどう対応するかはなかなか微妙だな、とサムは一人ごちる。立ち上がると少しふらついた。何日たったのだろう。そういえば『眠る』のは随分と久しぶりだった。


サムが書斎に入っていくと、何か話していたらしい兄とボビーが一斉に振り向いた。驚きと喜びが混じった表情。だがまだ緊張もある。それはそうだろう、本来の重要事項が残っているのだから。


「サム」
名前を呼んだきり、次の言葉をつながない相手に、サムはとっとと現状を伝えることにする。そして気付く。これはもしかしてディーンの「ボロボロの魂を戻しても何とかなる」という根拠ない主張が正しかったことになるのだろうか。そう思うと多少憮然とする心境になった。
「生きてるよ。めでたく」
両腕を軽く広げてみせる。
「・・・大丈夫か。気分は?」
「悪くない。腹が猛烈に減ってるけどね」
「魂が戻って何か変わったか」
「さあ?自分ではわからないけど」
肩をすくめてみせるとディーンの表情が固くなる。やはり魂が戻ればサムがコロッとリトルサミーに戻ることを期待していたらしい。そこの期待は外れたわけで、サムとしては少しばかり胸がすいた。
天使も悪魔も止める危険行為から生還したのだから、兄がハグくらいしてくるかと思ったがどうやら来ないので腕を下ろした。
「目が覚めて良かったな」
机の向こうに座っているボビーが口を挟む。
「ありがとう」
「それで?何か俺に言うことはないのか」
じろりと視線をくれながら顎をしゃくる。魂が戻らないようにするために殺しかけたことを言っているのだとサムにもさすがにわかる。
「ごめん。魂が戻されたらもう終わりだと思ってたから必死だったんだ。大丈夫だとわかってたらあんなことしなかった」
「・・・つまり、お前は自分の安全と引き換えになったら父親同然の俺を殺す方を選ぶわけだな」
「もうしないよ、ごめん」
それって生物としては自然なことじゃないかと思ったが、これに関してはサムの分が悪い。ここはしおらしく謝るが、ボビーはそれには反応しなかった。
「もう身体は大丈夫か。動くのに支障はないのか」
言われてサムは頷く。
「大丈夫。元気だ」
それを聞いたボビーは頷き、手を振った。
「よし、ならさっさと出て行って二度と来るな。お前の顔は見たくない」
「おいボビー」
「早く行け」
慌てた様子で立ち上がるディーンに、ボビーがテーブルに置いてあった飲みかけの酒瓶と封筒を押し付ける。
「ボビー」
ディーンに向かってボビーが顔をしかめる。
「何かあったら電話しろ。だがサムは連れてくるなよ。見たら思わず撃っちまいそうだからな」
そして脇に置いてあったショットガンを掴む。どうもさっさと動かないと本当に撃って来そうなので、サムも大人しく出ていくことにした。まあ、父とも絶交しつついざというときは助けてくれた男だ。今は腹を立てているが完全に敵に回ったわけでもないだろう。


「ディーン、サムはもう元には戻らん。今のそれでサムの全部だぞ」
ドアを出る際のボビーの声に、前を行くディーンが振り返り、暗い目でボビーを、次いでサムを見た。確かに欠けていた魂も戻ったし、事実なのでサムは頷く。それに対してディーンはなにも言わずに目をそらすと、歩きながら小さくため息をついた。


裏手に停めてあったインパラに向かう間もディーンは無言だった。
「ボビーがあんなに怒るなんて」
サムが呟くとディーンが荒い動作でドアを開ける。
「そうだな。殺しかけた相手に『出て行け』なんて言われるなんざびっくりだよなあ」
吐き捨てるように言われるのは最早どうしようもないので聞き流す。


「何だ?さっさと乗れよ」
言われて、自分がインパラの前で立ち止まっていたことに気づいた。ボビーには絶縁されたが、どうやら兄の方はサムと袂を分かつことは考えていないようだ。


「それ、仕事?」
ディーンが酒瓶と一緒に渡された封筒を視線で指す。
「ああ」
「どこ?」
「ペンシルバニア」
「わかったじゃあ、行こう」
そう言うとディーンがなんともいえない顔をする。
「お前、意識が戻ったばっかりだろうが」
「大丈夫。どこも悪くない」
肩をすくめると、ディーンは視線を向けずにハッと鼻で笑った。言い返そうとサムが口を開くと、腹が盛大な音を立て、サムはそういえばさっき酷く空腹だったことと、喉の乾きを思い出す。
「ディーン、僕はどのくらい寝てたんだ」
訊くとディーンはミラーの中でチラリと視線だけを動かす。
「十日」
「ふうん」
地獄の檻でボロ雑巾のようにされていた魂を突っ込まれたにしては早い回復というべきなのか。だが確かに、狩に入る前に何か食べた方がよさそうだった。


 


適当なモーテルに部屋を取り、サムがとりあえず食料を調達して帰ってくると、部屋になぜか天使がいる。
「ディーン?」
「キャス、サムを見てくれ」
兄はサムの問いかけを無視して、天使にまた勝手な依頼をしている。
「この前確認した」
ぼそぼそ呟く天使は、どうやらサムが倒れている間にも魂の確認をしているらしい。
「あの時はサムは意識がなかった。魂が戻ったが中身が変わらねえのは何でだか知りたい」
「勘弁してよ。僕は腹ペコなんだけど」
サムがウンザリと手を振ると、ディーンが黙って銃を向けた。
「ディーン!?」
「大人しくしてろ」
言う間にもカスティエルは近づいてきて、無言でサムを椅子に座らせる。そしていつぞやのように腕をまくり始めるのでサムは諦めて手近なタオルを掴み、噛み締めた。
遠慮会釈なく天使がサムの身体に腕を突きこみ、その内臓を掴んでかき回されるような感覚にサムは呻く。
そういえば天使はディーンが嫌がることは止めても、サムが嫌がってもなにかをやめることは余りない。


「魂はある」
サムの身体から腕を引き抜いた後、天使はぼそぼそ言った。
「じゃあ、なんでこいつはイカレたままなんだ」
「わからない」
天使の返事にディーンは苛立たしそうに歩き回るが、サムとしても疑問ではある。あれほど重要だと思っていた魂を戻したというのに、何も変わらないとは。
「だが、前も言ったようにサムの魂は生きながらスライスされているようなものだ」
カスティエルの返事にサムは目を見開き、ディーンは暗い目をする。
「それはサムが変わらないことと関係しているかもしれない」
「もっとはっきりしねえのか」
ディーンはカスティエルに詰め寄るが、天使の表情は動かない。
「ディーン。私は人間の医者ではないし、地獄の檻に墜ちて戻ってきた人間も、ルシファーに切り刻まれた後肉体に戻った魂も見たことが無い。ここにいるサム以外には」
天使はやや不機嫌に言い切り、さすがに黙った兄にちらりと視線を向けるとそのまま消えた。


少し部屋を見回したディーンはため息をつく。
「もういい?」
「ああ?」
「飯食いたいんだけど」
放置されたコーヒーはとっくに冷めている。
「食えよ」
短く言うとサムに背を向けた。サムも息をつくと、紙袋から包みを取り出す。サムが食物摂取に励む横で、ディーンは無言でボビーからもらった酒を注いでいた。
「がっかりしてるね」
「まあな」
少し腹が落ち着いてきたので合間に話しかけると、ディーンはそっぽを向きつつも返事はする。
「お前がイカれたのは魂が欠けたからじゃなかったってわけだ」
「そうみたいだね」
呟きを肯定すると、深い深いため息が返ってきた。
「…だがまあ、いい」
続く声が予想外に明るかったので、サムはやや驚いてディーンに視線を向けた。
「もう、お前の魂はここにいるわけで、くそ天使どもに切り刻まれているわけじゃないしな」
少し振り向いたディーンは、グラスを持った手でサムの胸の辺りをちょい、と指す。目を伏せて微かに笑う顔は、サムの記憶にはいくつもある、柔らかい表情をうかべている。
「ここっていうか、僕だよ」
「まあな」
言いつつもディーンの視線は胸の辺りから離れない。
「遅くなって悪かったなサミー。檻から出られて良かった」
「僕だってば」


魂が戻ろうと地獄の記憶はない。だから兄にしみじみ喜ばれてもピンとくるわけもない。
だが魂が無いときは昔のサムを、戻った今はボロボロで機能しているんだか怪しい「魂」だけを本物のように呼ぶディーンに、サムは不要なはずの苛立ちをちらりと感じた。


とりあえずこのへんまで


こんな感じで書いてて、「幸せに行き着かん!」と路線転換をしたのでした。
お目汚しでございましたー


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