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海外ドラマの超常現象の兄弟(SD)を中心に、頭の中にほわほわ浮かぶ楽しいことをつぶやく日記です。 二次創作、BL等に流れることも多々ありますので嫌いな方は閲覧をご遠慮くださいませ。
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暑い夜(淡々SD版)

拍手ぱちぱちありがとうございます~
あんまり暑いので、もう暑い日のSDにしました。それなら書けた。
めりけんの気候は無視です。
気温は36度、湿度は70%はあるめりけんのどこかです。
あんだけ広いんだから、どこかにあるに違いありませんそんな蒸暑い土地が!!



ひどく蒸し暑い夜だった。

空調の効いたオフィスから一歩外に出たとたん、むっとような空気に包まれ、一日の仕事を終えた疲労が一気に増したような気がしたサムは顔をしかめる。
駐車スペースに停めた車に乗り込むと、シートは昼の熱をまだ残しているようにじっとりと熱い。舌打ちしそうになるのを堪えてエンジンをかけ、上着とネクタイを取ると助手席に投げる。車内が冷える前に自宅につくのは分かっていたが、エアコンのスイッチを入れるのはすでに習性だった。
明日の案件についてつい考え出しそうになる自分に、ダメだダメだと言い聞かせながらマンションの階段を上がる。
サムは残業はするが、極力家に仕事は持ち帰らないようにしている。働きだして早々に意外と切り替えの下手な自分に気付いたからだ。
(夕食を買って帰るのを忘れたな)
だが思いながら部屋のドアを開けた途端、クライアントも夕食も一気に頭から消えた。
明るく空調の効いたリビングには血の匂いが満ちて、昨日から出かけていたディーンが、顔をしかめながら肩の傷を縫っているところだったからだ。
「よお」
ディーンは特に慌てた様子もなく、サイドテーブルとソファに置いた鏡で背中寄りの傷口を見ようと身体をひねっている。
「・・・ただいま」
サムはとりあえずアタッシュケースをその辺りに置く。
ハンターとしては騒ぐこともない程度の傷なのは狩を離れて久しいサムにもわかった。
「それ、縫おうか?」
言いながらサムはいっそ鮮やかなほどに違う兄と自分の日常に感心する。
「覚えてんのかよ」
「ボタンつけならよくするし。似たようなもんだろ」
憎まれ口を交わしながら、ざっと傷の様子を見る。
「何にやられたのさ」
「犬と混じったようなこえー女幽霊」
「狂犬病とか持ってないだろうね」
「泡とか吹いてはなかったから大丈夫じゃねえか?」
「ふうん」
チャンネルが切り替わると、物事の基準も変わる。

命があった。
後に響かない傷で良かった。

そんな生活が嫌で自分は離れ、それしかできないとディーンは残った。
今さら気にしても意味はないのに、ちくりと心の一部が痛む。

「…やっぱりエアコンの効いた部屋は最高だ」
久しぶりに針を持ち、慎重に傷を縫っていると唐突にディーンが呟いた。
「…なに言ってんの?」
何だか自分の心が覗かれたようでギクリとしながらサムは返す。
「今日はくそ暑かった」
「まあね」
「安モーテルだとエアコンがぶっ壊れてることも珍しくないしな」
「確かにね」
「この部屋のシャワーもいいしな。湯がずっと出るのはいいよな」

慰められているのだろうか。
とりとめのない呟きは、家族を捨てて安全で豊かな生活を求めたサムを責めてはいないと言っているような気がする。

「テレビもでかいよなあ」
「何なのさ、さっきから。別に慰めてくれなくていいよ」
ついに居たたまれなかってサムは口を挟む。と、突然堪忍袋の緒が切れたようにディーンが怒鳴った。
「なに寝ぼけてやがんだバカ!!さっさと縫えってんだよてめーがチンタラチンタラ終わんねえから、こっちは必死で気をまぎらわしてんだろうが!」
「ああ、なんだ」
「なんだじゃねえよ俺は早く酒でも飲みてえんだこのグズボケ!」
立て続けに罵られてサムはほっとした後ムッとする。
「うるさいなあ、かすり傷なんだろ」
反省した分、ひどく損した気分になってきたので、サムはあれこれ考えるのをやめて一気にブスブスと針を進める。ディーンは呻き、しかし当たり前のことのようにそれには文句をつけずに黙る。
縫い終わった傷口は見事にギザギザだ。
「文句が多いんだから医者にいきなよ」
サムは糸を切り、ざっと手を洗う。
「あほかお前は。保険もねえのにいくらかかると思ってんだ」
「会社で入ってくれないの?」
「俺の雇用条件には入ってない。偽造の保険証なら前作ったのがどこかにあるけどな」
「偽造はよせよ」
「だろ?」
傷の周囲の血をざっと拭いて、念のためテープも貼った。
「おし、後は抗生物質飲んどけば十分だ」
サンキュ、と呟いたディーンは平然とした顔で冷蔵庫を漁り始めた。
サムは兄の肩のジグザグした縫い目を少し切ない気分で眺める。
それでも自分が今後応急手当ての腕を上げようとするかというとそんなことはなく、やっぱり法例の解釈に時間を使うであろうことも分かっていた。


数日後
「ディーンこれ」
早めに帰宅したサムは、折よく家にいたディーンに小さなカードを差し出す。
「何だよ」
「保険証。僕の事務所で入ったから、持っときなよ」
ディーンはビールを飲みながらチラリとカードを見るが、手は出さなかった。
「頼んでねえよ」
「頼まれてないね」
でも、ともう一度突き出す。
「本来従業員かその扶養家族用なんだよ。30過ぎの兄貴を入れるのなんて偽造みたいなもんなんだぞ」
「へー。偽造なら持っとくか」
途端にニヤニヤしながらカードを受け取る兄にため息をつく

実際はサムが保険料を家族分の掛金負担する形で、偽造でもなんでもない。
だが、言葉が商売道具だというのに、他に兄を説得する言葉はさっぱり浮かんできはしないのだった。



おわり


あり?
暑がれ!!と思ってはじめたのにあまり暑がってないですね。
生きるか死ぬかのハンター兄貴を前に、湿気がとかぶーぶー言っててスミマセンでした・・・とさみーは思うんですね。
でも私はやっぱり暑いだすどす。

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