今日はオフです。昨日(というか今朝)書きかけて沈没してたふーふSD。(またもふーふ)
兄の度重なる(積み重なる)妥協にも関わらず、今日も弟の呪いは続いている。
モーテルの管理人はちょっと年は行ってるけどグラマーな美人なのに。
隣のダイナーのウェイトレスも可愛い子が揃ってるというのに。
今日もバカサムはダブルの部屋なんか取りやがった。
ディーンは窓枠に塩を巻きながら、深々とため息をついた。
おにーちゃんは心配だぜ。正気に返ったお前が、アメリカ全土どこのモーテルに行っても
「あ、あの時爽やかな笑顔でダブルを頼んだ男二人連れのでかい方ね!」
なんて言われ続けて、枕を抱えてしくしく泣くんじゃないかってな。
バーに行くたびに「よう、あのでかいゲイの夫婦だな」とか言われたらどうするんだよ。
つか、正気に戻った暁には、それくらいの恥をかきやがれ。
「もう、ほんとに嫌だ・・・・」
『あー、まあそうだろうな』
だんだんボビーへの電話も相談なのか愚痴なのかわからなくなってきた。
「ほんとに一回やっちまったら元に戻るのかな」
『・・前にも言ったが、思い込みが満足したあたりで正気に戻ることが多いぞ』
「なんかさ、やっちまうだけじゃあいつ満足すんのかよくわかんない気がしてきた」
『あー、そういう夫婦の問題は自分らで話し合え。俺を巻き込むな』
「ふーふじゃねーし!」
やばい。つい大音量で叫んでしまった。
シャワーは流してるとはいえ、自慢じゃないがディーンの声はよく通る。
「ちくしょう、サムに聞こえちまったかな」
『わからん。が、思い込みを急に訂正されて、そのまま倒れた例もある。早いとこいって様子見て来い』
「わかった」
結局シャワーはしないまま、バスルームを飛び出すと、案の定、サムが深刻な表情でこちらに来るところだった。
ここしばらく見かけなかった眉間の皺が復活している。
「サム、あのな」
「ディーン、」
待って、と大きな手で制される。
「どうも変だと思った。わかったよ。呪いなんだね?」
青くなるディーン。全身の血が冷え切って、指が震えるのがわかる。どうしよう、サムが倒れたら。俺がついていながらサムを守れなかったら。
「ディーンは僕らが夫婦じゃなくて兄弟かなにかだと思い込んでいるんだね」
「は?」
がしっと抱きすくめられた。ポンポンと背中をあやすように叩かれる。
「大丈夫。すぐに解呪の方法を探すから待ってて。大丈夫だから」
瞬間冷凍された全身は、瞬間解凍されたが今度は脱力感に襲われた。そーくるかよ・・・
「俺は正気だ。というか、正気じゃないと思ってる相手にいきなり『呪い』なんて言うんじゃねえよ。反動で殺す気か」
いささか邪険にサムの腕を振りほどく。
そーだよな。お前は人と自分と意見が違ったら、とりあえず自分が正しいと思う性質だ。今日はその性質のおかげで危機回避したことになるが。
「なんだ。よかった。ディーンが僕らのこと忘れてしまったのかと思った」
ホッとしたようにサムが笑う。それはディーンが好きな笑顔だったけれども、眩暈を感じる。
お前は一体何を覚えてるんだっつの。俺とお前で教会でも行ったのか!?
「しょうもない話は終わりだ。明日の予定を決めとくぞ」
「そうだね」
精神的体力が尽きてきたので、仕事の話に切り替えるとサムもうなずいた。
狩りに関する部分ではサムは以前と何も変わらない。(地図を広げる前にごめん、とか言いながらキスを髪にしてきたが、いつものことなのでほっておく)
打ち合わせを終えて、改めてシャワーを浴びてから寝るかな、とディーンがぼんやり考えていると、後ろからサムが懐いてきた。
でかい身体に似合うぶっとい腕でディーンを抱きこんでくる。
腕が回ろうが、頬が触れようが、くっつくだけなら別にいいんだよなあ・・・・とぼんやり目線を上げてディーンはぎょっとした。
暗くなったモーテルの窓に、後ろから抱きしめられている自分の姿が映っている。
なんだこの顔は!
許しがたいものを見てしまい、離れようとするが、サムの手が今度は離さない。それどころかでかい手で目隠しをしてくる。
「見なくていい。だから逃げないでよ」
電気が消される音がして、手のひらが外された。
部屋の中に二人の呼吸だけが響く。
背中と首と、腰に回された腕から伝わる体温。
(ダッド、本当にどうしよう・・・)
空を見上げてみたけれど、星が返事をするわけもなく。
残るはまじで夫婦の話し合いをすんのか?とディーンはまた深々とため息をつく。
自分のテケトーな設定以外に、恐ろしい歴史が捏造されていそうで怖い。
全然兄の苦労がわかってない弟が、わかってないくせに抱きしめる力を強くしてきた。
いい加減ボビーで締めるのを止めようと思ったらまた変なことに・・・
無理はしないで今後もみとこーもんのように最後の4行はボビー締めでええじゃないかと思う今回でした。