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海外ドラマの超常現象の兄弟(SD)を中心に、頭の中にほわほわ浮かぶ楽しいことをつぶやく日記です。 二次創作、BL等に流れることも多々ありますので嫌いな方は閲覧をご遠慮くださいませ。
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監禁クレトムのその後

T師匠が6月のムパラにクレトム本出してくださるっておっさるので、嬉しくなって途中放棄していた監禁クレトムの続きを書いてみました。
きっとまだ手直しいっぱい要るけど、とりあえず上げてしまいマフ。

拍手お礼がまた遅くなっててすみません!サイレントぱちぱちもありがとうございます~
ししゃもにも暖かい拍手をいただいて嬉しい!



つれてこられたクレイの家は、一人暮らしにしてはまあまあ広めといった程度の中古アパートだった。
「あんたは今日からトム・ミラー。僕の従兄弟」
その言葉が、どの程度本気なのかもわからないまま、クレイは一番奥の部屋にトムを入れると
「出るなよ」
と扉を閉めた。
それきり扉越しにクレイが食事をしたり出かけたりする気配は伝わってくるが、実際にクレイの顔を見るのは日に食糧を渡されるとき1,2回だ。大概は前と同じようなジャンクフードや缶詰が多かったが、たまに買うのを忘れたらしい時には、クレイの食事の残りらしいものを持ってくるときもある。

「うんともすんとも言わないから、あんたがいるの忘れてた」
ある日煮詰まったシチュー鍋の底をこそげたようなドロッとした物体をトムが口に運んでいると、どことなく不貞腐れたような声でクレイが言った。
「?物音をなるべく立てるなと言っただろう」
トムが尋ねると、
「まあね。邪魔にならなくていいけど」
とクレイはソファの上で伸びをする。ベッドから少し離れて置かれたそこはもっぱらクレイが座るためのものだ。
「そうか」
トムは頷く。クレイの生活の邪魔になっていないなら問題ないだろう。

「退屈しないの」
なんであんたの皿を僕が洗うんだ、とクレイが眉をしかめたので、バスルームの水道でトムが皿を洗っていると、後ろからぼそりと声がした。振り返るとクレイは声をかけた割にトムの方を見るでもなく、退屈そうに手元の雑誌をめくっている。
「慣れてる」
トムが呟くと、
「へえ」
と気のない返事が返ってきた。

実際のところ、クレイが家にいる間は、扉越しにでもその気配を感じるし、留守の間も窓の外は結構人通りのある住宅街だ。配達の車や自転車の音、スクールバスが通る時間は子供の声もする。
あの廃ビルや、それ以前にも療養所にいた日々もあって、そんな周囲の物音を聞きながら一人でぼんやりと時間を過ごすことには慣れていた。
それにこの部屋にはバスルームまでついているのであのビルより格段に楽だ。
この部屋に入って湯が出るシャワーを浴びた時には、久しぶりのその感触に感動し、気持ちよさにうっかり湯が冷めるまで湯船で熟睡してしまうほどだった。

「これ」
と洗い終わった皿を差し出すと、クレイはむっつりとそれを受け取る。
渡す瞬間に手が触れた。微かにクレイの表情が動いたように見えたが、何も言わずに出て行く。
そういえば、この部屋に連れてこられて以来、クレイと触れたのは初めてかもしれない。
閉じた扉を見ながら、トムはそんなことを思った。



「この部屋って誰かいるの?」
ある日、扉のすぐ外で声がして、トムは身体を起こす。
結婚話を蹴ったと言っていたがクレイは結構もてるようで、部屋には女の出入りが多い。だが、トムのいる部屋に関心を持たれたのは初めてだった。
「従兄弟だよ。具合が悪いので僕が引きとってる。」
「優しいのね。でも私お邪魔していいの?」
「もちろん」

もしも扉が開けられたら、名乗らないといけないかもしれない。
クレイの従兄弟、トム・ミラー。
トムは心の中で繰り返し、少し緊張して身構えるが、幸いにもそれで女の関心は薄れたようで、声は遠ざかる。そのうち笑い声と何か食べている気配、次第にもっと別の声がしてきて、トムはどうやら扉が開く心配はなさそうだと緊張を解いた。喧嘩だろうと睦みごとだろうと、物音自体は壁の薄いモーテル生活で慣れきっている。他人の動向を気にしていては何もできない。
だが食事にありつけるのは明日かもしれないなと思いつつ目を閉じた。





ふいにシーツを剥がれた肌寒さにトムは目を見開く。
「なんだ…?」
「黙れよ」
寝台に覆い被さるように黒い影がある。クレイだということは訊かなくても分かった。
「お前、さっきの彼女は・・」
「帰った」
言いつつクレイの手が乱暴に服の中に入ってくる。
ついさっき、女と過ごしていたはずのクレイが、今は意図も明らかにトムの服を剥ごうとしている。
何がどうしたのか理解不能だ。思わず押し返しかけるが、シャツを破かれそうになって諦めた。
トムが大人しくなると、心なしかクレイの手も穏やかになる。のし掛かる背に手を回しつつ、クレイから女の匂いがしないことに少し安堵する。だがそんな事柄を気に留める自分がひどく女々しく思えてトムは暗くなった天井を見上げつつ唇を噛んだ。





荒い息をつきながらクレイが身体を離し、トムはほっと息をついた。
簡単に後始末をすると汗が引くのを待つのも面倒で、ベッドの下に落ちた服を拾って身につける。
久しぶりの行為で身体があちこち痛かったが、口にするほどでもない。背中越しにクレイも同じように身支度をしたのを感じていると、ふいに背中から腕が回ってきた。そのまま倒され、シーツがかけられる。
「おい?」
「なに。寝なよ」
ぶっきらぼうに言ったきりクレイは口をつぐみ、どうやらこのまま寝るつもりらしい。
「クレイ、よせ」
トムは動転した。クレイと身体を繋げたことはあっても、こんな風に一つの寝台で眠ったことなどない。
「なに。嫌なの」
「寝るな。危ない」
「なにが」
「ハリーが出たら」
「出ろって言ったって出てこないじゃないかずっと」
「出たらどうするんだよ!」
いくらクレイでも眠っていたらハリーに殺されるかもしれない。目が覚めたら同じベッドでクレイが死んでいるかもしれないなんて嫌過ぎる。腕の中で身をよじって振り向くと、不機嫌そうに顔をしかめたクレイが、ちょっと目を見開いた。
「なに泣いてんの」
「泣いてない」
「じゃあ、なに泣きそうな顔してんの」
していない、はずだが確かに泣きそうな気分ではある。トムが言葉に詰まっているとクレイはフン、と鼻をならした。
「まあいいけど。僕の家なんだから好きなところで寝るよ。おやすみ」

そのまま本当にクレイは目をつぶってしまい、トムは途方にくれた。
抱え込まれた腕は拘束というほどきつくもないが、抜け出すほど緩くもない。こうなったらせめてハリーが出てきそうな気配があったらクレイを起こそう、とトムは決めた。
幸いにもここのとこひたすら寝ているので睡眠は足りているし、クレイの腕は固くてお世辞にも寝心地は良くない。
そう決めるとやや落ち着いて目の前のクレイの顔を見る余裕も出てきた。
初めて見るクレイの寝顔だ。
自分より年下なのは確かだと思うのだが、目を閉じていると却ってその眉や口元は大人びた線なのが目立つ。最初に会った時は髪もボサボサとして髭の手入れも適当だった。今は髪もサラサラしていそうだし、髭もさっぱりと剃られている。
どうせ寝ないならちょっと髪に触ってみたくなり、腕を上げようとするがクレイの腕が邪魔で動けない。
身じろぎをするとクレイが目を閉じたまま唸り、却って拘束がきつくなる。
暑い。
硬い。
髪を触るどころではない。息のしやすい向きを探してトムは抱え込まれた中でジタバタする。
そのうち落ち着く場所は見つけたが、あまりに近いと顔をみるどころでもない。
トムは仕方なくクレイの寝息を数えて一晩過ごした。


「馬鹿じゃないの」
無事に朝を不寝番で迎えたのだが、クレイは目の赤いトムから事情を聞きだすと鼻先で笑った。
「あの部屋には凶器になりそうなものは置いてないし、あったって僕の方が強い」
「そういう油断が」
「大体、あれだけ密着してるとそうそう動けないんじゃないの」
「・・・ああ」
それは確かに。
無理に動こうとしたら、それこそクレイを起こすことになりそうだ。納得したトムが頷くと、クレイはもう一度鼻をならして立ち上がった。


トムには寝苦しい夜だったが、それ以来どういうわけだかクレイはトムの部屋で寝ようとすることが増えた。最初のうちトムは初日と同様朝まで起きていたのだが、次第にあきらめて一緒に眠るようになった。クレイが不寝番の意義を全く認めないこともあったし、いかに睡眠が足りていても疲れる状況になっているということもある。


しばらくそんな日が続いた後、ある日仕事から帰ってきたクレイはスーツのままトムの部屋の扉を開け、窓際から振り向くトムに顔をしかめて言った。
「出なよ」
「?」
意味が分からず見返すと手を掴まれ、奥の部屋から連れ出される。久しぶりに歩く廊下は記憶よりも明るくて少し目がチカチカした。そのままリビングにトムを連れてくると、クレイは手を離し、ため息をついた。
「あんた馬鹿じゃないの」
「なにが」
「普通、いくら『出るな』って言われたって物も言わずに何日も何日も部屋にこもってないだろう」
「・・・そうか?」
あの廃ビルの日々やハリーのことを思えば、普通など考えても意味が無いと思うが、言うとクレイが逆上しそうな気がして口をつぐむ。じっと見つめると眉をしかめたままクレイが言った。
「あんたを押し込めてるのにも飽きてきた。そろそろ自分のことは自分でやりなよ」
「わかった」
頷きつつクレイの意図が見えずに少し悩む。
「確認するが、それはこの家の中でのことか。それともこの家を出ろと言う話なのか」
言うとやはりクレイの眉がキリキリと吊りあがる。
「家の中で自分の飯や洗濯くらい自分でやれって言ってるんだ」
「わかった」
確かにトムの服やシーツ類の洗濯や皿の片付けなど、トムがやった方がいいだろう。廃ビル時代には食事の包装紙も血や何やで汚れた服も丸ごと捨てるだけだったので面倒がなかったのだ。
トムは了解して頷くが、クレイはまだ顔をしかめたままだった。

「どうした?」
見上げると不意に腕を掴んで引き寄せられる。至近距離にクレイの顔が近づき、まさかと思う間に唇に体温が触れた。一度触れて離れ、もう一度重なる。
おい、と言おうと口を開いた分接触は深くなり、小さく濡れた音を立てた。
「・・・クレイ?」
なんだこれは。どういう意味だ。
トムが固まっていると、クレイはフン、といつものように鼻をならした。
「意味が分からないなら僕がいない昼間に考えてなよ。暇つぶしになる」
そして着替えてくる、と自室に向かう。

リビングの真ん中に突っ立ったまま、トムはこの事態を考える。
クレイは物好きだ。
クレイは自分を飼っている。
自分はクレイの従兄弟と言うことになっている。
クレイは時々トムを抱く。
先ほどはキスをされた。

「・・・・・・」
どうも自分の頭ではイカレた発想しか出てきそうもない。確認が必要だとトムは心に決める。
クレイがバスルームから出てきたら、今度はトムの方からクレイにキスを仕掛けてみよう。
殴られれば勘違い、応えたら当たりだ。


だが実際は
「あんたホントに馬鹿じゃないのか!」
と怒鳴りつけられた後でその場で床に引き倒されたので、トムが事態を本当に飲み込むのには結構な日数がかかったのだった。


おわり
そしてやっぱりラブラブ同居への道を切り開いて終わる・・
きっと1年後にはもう一個のくれとむと区別がつかないに違いない

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