ガス欠になりつつまだ終われない兄誕ウィーク。
幼馴染の整備工&学生時代なら
1月24日は平日なので、サムもディーンも大学や仕事がある。
でもサムは
「ちょっといつもの店に寄らないかー」
なんて友人の誘いに振り向きもせずに、
「ごめん、先約があるから!」
とバイクに向かって一直線。心の中は(先約があるって素晴しい!!)とか意味不明に浮かれている。
付き合いだして初のディーンの誕生日なので、そりゃーもう、頭はぱっつんぱっつんに違いない。しかしながらぱっつんぱっつんな所を見せたくない見栄もあるので、超微妙な顔になってるに違いない。
しかしながら学生は見事なまでに金はない。
どうしようかなあと思い悩みつつディーンの働く工場へ。
「ディーンいます?」
なんて覗くと、
「おお。でもまだ作業中だから、ちょっと待ってろ」
とか顔なじみのおっちゃんに言われたりする。
しばらく待ってると、整備終わったらしいディーンが手袋外しながら出てきて、
「くわーっ いいなああのエンジン!」
なんてちょっと興奮気味に言っている。整備で汚れてても分かるほど顔が紅潮してたりする。
その後仕事が終わって、駐車場に向かいながらも
「いつかあのエンジン載せてえなあ」
なんて言ってるので、サムが思わず、
「いくらすんのそのエンジン」
「へ?」
とディーンが目を丸くする。
目を丸くされたサムはへどもどして、
「いや、ディーン誕生日だしさ。いくらするのかなって・・・」
そうするとディーンがブッと噴出す。
「よせよせ、お前が上の学校行くために貯めてる金が吹っ飛ぶぞ」
メカ好きのディーンがうっとりするくらいだから、数十万か百万くらいするのでしょうきっと。
ぐぐぐとなるサムに、
「それに、貧乏学生にローン組ませてあのエンジンインパラに乗っけてもなあ。ま、将来バンバン稼ぐ弁護士になったらどどんと寄越せ」
とか言って笑う。
「で、どーする今日は。どっかに食いに行くか?何か買って俺んちで食うか」
「食事してからディーンの家でもいい?」
「おお、いいぞ」
「ディーン、何食べたい?」
「んー、チーズバーガーとか」
「それじゃいつもと一緒じゃないか」
「俺はいつもチーズバーガーが食いたいんだよ!」
「でも誕生日なのに」
なんというのか、雰囲気的にサムの顔からは
『今日は僕がおごるのだ!』
という決意がメラメラと見えるので、サムの財布の中身をまあまあ知っているディーンとしてはそんなに高い店は言いづらい。
「えー、じゃあピザ」
「却下」
「そんならドーナツ」
「だめ」
「お前、俺の好みを無視すんなよ」
「でも誕生日なのに!」
とかとか。
わいわい言いながら楽しく過ごすのでしょう。うん。
クリスマスもきっとそんな感じですごし、もうすぐ来るバレンタインもサムが興奮して挙動不審になるといい。
[31回]
PR