クレトムの場合。
クリスマス。
クレイは勤め人してるので、当然と言うかクリスマスは休み。トムなんか年中休み。
「もうすぐクリスマス休暇だな」
トムにこにこ。
「うん、そうだね」
クレイもニコニコ。
株式市場は大荒れで、トムはちょいと撤退気味だってり、クレイの会社もなかなかに不景気で懐具合は2人とも寂しかったりする。
だがしかし、もとが農場の季節雇用者たちの大部屋だの、土木作業員の大部屋だの、かび臭いモーテルだの、下手すれば野宿だので過ごしていた身の上だったので、基本的に屋根のついた部屋で過ごしていられれば不満はない。
ターキーが欲しいだの、ツリーはどこだだの、プレゼントはティファニーがいいわ、なんてことは2人とも言わない。(2人とも相手がもしもティファニーが欲しいわ、とか言ったら本気で他の経費を削って買い込みそうではあったが)
いざ、クリスマス当日は安い肉をマリネにする技を覚えたトムが肉でも焼いて、クレイがいつもよりもちょっといい酒を買ってくる、そんなもんでしょう。
クリスマス休暇なので普段は飲み過ぎないようにしてるウィスキーでも買ってきて、二人ともガンガン飲んだりする。
ソファーでベタベタして、トムが「おい、よせよ」とか言っても、「だってクリスマスだもんいいじゃない!」とクレイ。
ラジカセでクリスマスソングなんか流してるのに、酔いがまわったあたりで「よし、踊ろう!」とか言ってトムを捕まえてくるくる回り、「おい」とトムが戸惑うのにも「いいじゃん、クリスマスだし!」で言い切るクレイ。
そこで「よくない」と言ったトムがクレイを引き剥がし、しょぼーんとしたクレイに、
「俺が年上なんだから俺がリードするのが筋だ」
とか言って、ちょっと怪しいソシアルダンスをしちゃったりするとよろしい。坊ちゃん昔仕込まれただろうけど、○十年経ってるからところどころうろ覚えになってたりする。
でもクレイはダンスしてくれれば女性パートでも全然オーケーな感じで、わーいわーいと2人でグルグル延々と回ると。
普段飲まないウィスキー飲んで、グルグル延々回るんですから、それはもう行き着く先は知れたもので、クリスマス休暇の半分は悪酔いにうんうん唸るにちがいない。
それでも2人とも不満はないので勝手にしゃーわせ一杯のもーほーカプであると。
ま、クレトムのクリスマスはそんなかんじ。
書けたらまた他のネタを上げよう。
二つ目
幼馴染SDのクリスマス
まだ学生と整備工の時代。
付き合いだして最初のクリスマスなので、サムはもう
「クリスマス!どうしよう。クリスマスだ!何しよう。試験がある!!レポートもある。バイトもある。だけどクリスマスだしーーーーっ」
という錯乱モード。
ディーンの方は、
「お前落ち着けよ。俺とお前でどーすんだよ今更。大体ママメアリと過ごすのが筋だろお前は」
と、年の分だけ辛うじて落ち着いている。でも実は、
「去年までは向かいのガキだったわけだが、今はまあ一応付き合っているわけだし、そうするとプレゼントの一つもやるべきか?しかし俺ははっきり言って男用のプレゼントなんぞ買った覚えはない」
なんて別口で悩んでいたりする。
男友達にはある。酒だのポルノ雑誌だのポルノビデオだの鞄の中に女性下着を仕込むだのビックリ箱だの。しかしながら恋愛経験豊富なディーンは、この場合サムにそれは適用できないことをもちろん知っている。
女性にもちょっとしたものを贈った事は数限りない。花とアクセサリーは鉄板だ。その子の普段使っているアクセサリーのテイストと合わせれば大概外さないし、付き合ったばかりで好みが分からなければ定番に近いものにしておいた方がリスクは低い。一緒に歩きながら、彼女が足を止めて「いいなあ」と言ったものが懐具合と合えば、それを買ってあげるのも手だ。
しかしながらそれもサムには適用できない。
このあいだ一緒に歩いていた時にサムが「いいなあ」と足を止めたのはなんたら言うパソコンの処理能力を早くするとかいうソフトだった。
100歩譲って買ってやってもいいが、果たしてクリスマスの気分が盛り上がるかと言うと疑問だ。
そんなこんなで2人とも挙動不審気味に過ごしていると、今年はイブに珍しくジョンパパが帰ってきて、
「ターキーでも買って来るか」
とか何とか言っちゃったりする。ディーンはひえーっとなって、
「いや、その、ごめんダッド。実は帰ってくるか分かんなかったので別に約束しちゃってて」
なんてへどもど。パパは
「おおそうか。じゃあ行って来い」
なんて言いつつ、少しだけがっかりモード。言わないけどね。態度にも出さないけどね!ディーンはパパっこだから分かってしまうわけだ。うわああああああごめんダッド。
そこにダッドが、
「先方に行くなら手土産くらい持って行けよ」
とか言って少しくれたりして、ますますいたたまれないディーン。
そこに学校も試験もレポートも終わってすっかり背景がばら色になったサムが、
「お待たせディーン!どこいこっか?」
なーんて飛び込んできたりする。
ジョンパパがいるのでサム硬直。
「なんだ、約束の相手はサムか」
相手がナチュラルにばれてディーンも硬直。
あっと言う間に家族になし崩し的にカミングアウトですか!?
・・・てなクリスマスとか。
おかしい。付き合い始めのきゃっきゃうふふなネタを書こうと思ったのに。
三つ目!
ロボサムと秘書のクリスマス
社長がやらかしてくれるあれこれで残業疲れの秘書。
気晴らしにクラブに来てみたりする・・・・つもりだったのだが、どういう勘なのかここのところ出張続きだったボスが
「どこに行く気だ?」
とか言ってくっついてきたりする。
考えてみるとこいつ、いつの間にやら口の聞き方が偉そうだよな、と思ったりする。
気晴らしのはずが隣の席にどーんとロボ社長が座っていて、くつろぐとかなんとかいう気分じゃない。あーあーと思いながらグラスを傾けてるディーン。
それでもサムが一緒だと、相手が無事に帰るまでは見届けないとかんと思ってしまうので今ひとつ緊張が取れない。
そんなディーンの様子を横目で見て、サムが
「つまらないならそろそろ帰るか」
なんて言ったりして、ディーンはむっとして「誰のせいだ!!」と言ったりする。そうするとサムは怒りもしないで、
「そろそろ帰らないと、明日は長旅だ。きついぞ」
「はあ?」
今度はどこに連れてく気だ。言っとくが明日からはクリスマス休暇なんだから俺は仕事しねえぞ。
てなことをぶーぶー言ってると、ロボがふう、と呆れたように息をつく。
「見事に右から左だな」
「何がだよ」
「クリスマスには父が一緒に過ごそうと言っていると伝えただろう」
「・・・・・」
そういえば、早く籍を入れようと言われるたびに、釣り餌のように「ジョン」がチラつかされた。
しかしながらまだ籍は入れていないので、その餌は与えられないと思うのだが。
そこまで考えてぎょっとする。
まさか、知らないうちに婚姻許可を取られてしまったのだろうか。
疑いつつサムを見ると、思考を読まれたかのようにフンッと鼻で笑われた。
「結婚生活は平均寿命から行っても長く続くんだ。いきなりトラブルになるようなことはしない」
まことにもっともなのに、恐ろしく説得力が無い。
「あのな!」
振り向いた拍子にグラスの酒がこぼれ、サムのデニムをぬらす。
「あ。悪い」
あわててハンカチを出して拭こうとする。と、濡れたのが太ももの部分だったので必然的に手をサムの太ももに当てる形になって、なんか気まずい。
「自分でやれよ」
とか手を離そうとすると摑まれて・・・・・
・・・・なんか長くなりそうなのではしょろう。(書いててディーンがハンカチ持ってるのにびっくりだ)
「いや、でも俺がそっちに行くとマムが一人になるから行かねえよ」
とディーンが言うと、
「メアリはうちに招待済みだ。もう着いてる頃だ」
とか言われちゃう。なんだそりゃ。確かにここんとこ実家に連絡してなかったけどいつの間にそんなことに。
そんなこんなでジョンパパの家にどきどきしながら行っちゃう秘書であると!
なんだこりゃと私が言いたいな。
まあいいや次行こう!!
[21回]