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海外ドラマの超常現象の兄弟(SD)を中心に、頭の中にほわほわ浮かぶ楽しいことをつぶやく日記です。 二次創作、BL等に流れることも多々ありますので嫌いな方は閲覧をご遠慮くださいませ。
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ふーふもメリクリ!(SD夫婦クリスマス)

何かクリスマスだというのに荒んだブツを上げてしまったので平和モードも思い出そう。
これまた一発書きのふーふのクリスマス。

リクエストはまた改めて一発ではなく書きますのでもう少々お待ちくださいませね。

今回もピンクも事件もなんもない平和な光景です。あれ、なんか一家と似てきたな。



オーブンからこんがりと焼けたチキンが出される。
(すげえよな)
ディーンは皿を並べながら考える。料理なんてものは一生縁がないと信じて疑わなかったのだが、呪の療養をしている間にずいぶんと慣れた。とはいってもディーンはもっぱら肉を焼くかシチューを作るかくらいだったが。
「いいにおいだね」
「だな」
エレンが取り出した丸焼きを大皿に乗せ、ジョーがテーブルに運んでいった。

クリスマスが近くなった時にちょうど「夫状態」に突入したサムが、
「今はちょうど狩の情報もないしさ、ボビーの家でクリスマスを過ごさない?」
と言い出した。サムが実は大変にイベント好きらしいことはもう色々身に染みていたのでディーンはあっさり了承してボビーの家に押しかけた。そこでまたサムが、
「どうせなら久しぶりに何か作ろうよ」
とさらに言い出したことから、今の事態になっている。
確かに呪にかかっていた最中は、結構自炊する習慣がついていたのだが、それだってステーキを焼くとかシチューを作るくらいだ(サムのヤギの餌系は知らない)。こんな時の料理なんかはレパートリーと力量をはるかに超えている。

無論ディーンは「めんどくせえ。買ってこようぜ」と主張したのだが、その場に例によってエレンとジョーもいたのがまずかった。さらに言えばイブ前日に手ぶらで来たのもまずかった。
「いいわね。買うと高いし」
「じゃあ、買出し行って来て。野菜洗って、グラス磨いて」
矢継ぎ早に指令がだされ、昨日から男2人は女性陣の使役と化している。
しかしながら、塩コショウにローズマリー、野菜などを腹に詰め込んだ鶏がこんがり焼けて出てくると、さすがに気分が上がってくる。いかにステーキくらいなら焼けるようになっていても、ディーンとサムだけでは自宅で鶏を焼こうなぞと思わない。エレンは七面鳥が焼きたかったらしいが、ボビーの家のオーブンには入りそうもないので諦めた。ちなみに何年も使っていなかったそれを掃除させられたのはディーンだ。
ポテトサラダや温野菜も大量に作られているので、ヤギの化身であるサムもニコニコしている。
(実のところ野菜類は、中性脂肪が多いと言われたボビー向けにエレンが作ったものだが)
ツリーはないが、今日の面子はまあそう細かいことにはこだわるまい。

「なんか、初めてだねこういうクリスマス」
サムがくすぐったそうに笑うのに、肩をすくめる。
「まあな、お前なんか特にチビの頃からこういうのこだわってたよな」
以前天国で見たサムの思い出の風景も、手料理の並ぶディナーの光景だった。
言ってしまってから、今サムが「夫」状態であることを思い出した。呪の反動は恐らくないとは分かっているが、一瞬ひやりとする。
だがサムは平気でニコニコ笑っており、反動の心配はいらないようだ。
「そうだね。よくぐずってディーンを困らせた」
「おお」
答えながらディーンは困惑する。こいつは今一体どういう認識でものを言ってんだろう。
呪状態にあるときの信じ込みやすさというのは一種驚異的だったが、兄弟としての思い出と、思い込みが並列することなんてあるんだろうか。あるのかもしれない。
ディーンがぐるぐるしていると、サムが横を通るジョーの皿から、ジンジャークッキーを失敬している。
絵本の中でしか見たことがないような物体だ。ディーンも4歳までは母がいて、いわゆる普通の家庭にいたわけだから、クリスマスのクッキーくらい食べている可能性はあるのだが、悲しいことに母がいる風景で覚えているのはあの炎の夜が一番鮮やかだ。
「ほら」
と目の前に差し出されたクッキーを一口かじる。
母の作ったクッキーもこんな味だっただろうか。物心つくとはよく言ったものだ。見事なくらい思い出せない。
「もっと食べる?」
何だか妙にしみじみとクッキーを咀嚼していると、気に入ったと思ったのかサムがクッキーをもう一度差し出してきた。
「ん」
無意識にかじった後、妙に視線を感じて視線を上げると、エレンとジョーが何とも言えない顔でこちらを見ていた。
「なんだよ」
と聞くと、
「いーえ別に」
とジョーが妙につんけんと言い、エレンが
「じゃれてないで手を動かしなさい」
とやれやれと言わんばかりの口調で言う。確かにまあ、フォーク類を並べかけて止まっていたのは事実だが、クッキーのつまみ食いくらいでそんな顔をしなくてもいいと思うのだが。
そう思いつつフォークやナイフを並べ終わった時、見たくないものを見たようなボビーの顔が視界に飛び込んできた。なんだか散々見たことがある顔だと思って記憶を辿った途端、さっきから自分がクッキーを食べている状態を認識した。
これはいわゆる「あーん」状態。
なるほど、それはエレンとジョーが正しい。自分なら死んでも見たくない光景だ。

「夫婦なんだから怒らないでよ」
サムがまたとどめのように横から口を出す。
「怒らないから鍋を運びなさい」
エレンがビシッと言い切り、サムは笑って「はいはい」とキッチンへ移動した。

無意識だったのが自分で怖い。
ここは一つ酒でも飲むしかないなと思って棚に近づくが、
「だめよ、ウィスキーは食後にしなさい」
と付いて来たジョーに扉を閉められてしまった。「おいおい」と見下ろすが「大体ボビーの酒瓶でしょ」と譲らない。
「席についてよ。料理が冷めちゃう」
急きたてられて食堂に戻った。改めて見ると、掃除され、クロスがかけられ、料理と皿とグラスの並んだボビーの家のテーブルが、なるほどここは家族の集う食卓なのだという風景になっている。
「あ。やっと来た」
と笑うサムが手招きした。家主としての役をエレンからおおせつかったボビーが妙に慣れた手つきでローストチキンを切り分けている。
「結構上手く焼けたと思うのよ」
ジョーが自分が焼いたかのように誇らしげに言い、ディーンは何だか微笑ましくなって笑う。
「乾杯」
「乾杯」
夫モードのサムに邪険にすると後が面倒だという思いで来ただけだったが、こういう夜も意外に悪くない。
だが、
「まあ、自然になってきたならあんた達にもいいことよね」
「ディーンはああ見えて恥ずかしがるんだから、からかわないでよ」
エレンとサムの会話は断固聞かなかったことにした。
「・・・ちゃんと食べた後ならウィスキー飲んでもいいわよ」
ジョーが何だか慈愛深く言ってくれるのがありがたい。
クリスマスディナーは始まったばかりだった。


そんだけ!メリクリー!!!


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